2006年04月30日

■分根の発芽、大きくなりました。


2006/4/30 分根の芽

4/21にご紹介した、高松市の畑(国道沿いの田んぼです)に今年の3月に植えた漆の根っこたち。芽が出ているものをアップしたのですが、その後また大きくなりました。
2006/4/21/芽※4/21に撮った写真

芽が出ていたのは3つほどだったのですが、今日は5つに増えていました。これからもっと仲間が増えるでしょう。
この子たちはときどぎ様子を見るだけで、そんなに手を焼いていません。なのに自らの生命力で日々動いているんですね… 今年のが楽しみの一つです。

先月(3月15日)に高松市内の土地に漆の分根をしていました。(新しい漆の苗を作る作業です)※分根の様子


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posted by 宮崎佐和子 at 23:51| Comment(0) | TrackBack(1) | ■ ウルシの木の記録

■「ソロモンの指環」


ソロモンの指環

動物行動学の先駆者、ローレンツ博士の動物たちとの日常“珍”エピソード集。
私の大好きな1冊です。
ローレンツ博士の名前は知らなくても「ヒヨコの“刷り込み”行動」はきっとご存じだと思います。それを世に知らしめたのがローレンツです。
アルテンベルクの田舎村に住み、研究に没頭する彼は、一見白髪口ひげのいかめしい風貌の老紳士。しかし、彼の「奇行」に村びとは頭を悩ますのです。(笑) 博士の屋敷には、いろんな動物(ペット、半野生、野生動物含む!)が自由に出入りします。(また博士も人よりも動物とのコミュニケーションに長けているようで…)

屋敷を“カラス屋敷”にした初代コクマルカラスのチョック、ガンの子マルティナ、賢いオウムのコカ&パパガロ、努力で美人妻から略奪愛をした雌カラス、ある朝突然屋敷を去った美しいカイツブリの夫婦、危険な動物から身を守るため“檻”に入れられた博士の幼い長女‥exclamation&question 動物(特に鳥たち)の愉快でじんとするエピソードがぎっしりなのです。

人間の“個人”を覚え、ひどい目に合されると「あいつだ!」と“復讐”しかけない賢いカラス相手の研究。博士は、カラスに顔を覚えられないよう“変装”してカラスの巣の観察をするのですが、真夏の昼、真っ黒な祭り用悪魔の衣装に全身身を包み、屋根に登ってナニやらしている博士に、村びとは青ざめて鈴なり見上げて。博士はそんな純朴な村びとに悪魔のシッポを振ってあげるという大サービス。(すごい人だ)ダッシュ(走り出すさま)

また“刷り込み”発見のもとになった、ガンの雛・マルティナの“子育て”話も大好きです。
ハイイロガンの卵の孵化をじっと見ていた博士。生まれたばかりのマルティナは、ウィンクして(近くの物を認識する時、片目をつむるらしい)彼を見上げた感動的な瞬間が、恐るべき博士の“子育て”の始まりでもありました。マルティナは一時も博士から離れず、毎日湖まで彼女を連れてお散歩。マルティナは昼は2分おき(夜は1時間おき)に「ヴィヴィヴィ“お母さん、そこにいる?”」と呼びかけ、博士が「ガガガ“ここにいるよ”」と答えないと、彼女は「ママがいない!」と大パニック。しまいに博士は寝言で「ガガガ」と答えられるようになったんだとか。
そんなマルティナも大人になり飛び立ちますが、やがて素敵な夫(マルティンと名付けられる)を連れて屋敷に凱旋するのです。

『ソロモンの指環』の由来は、ソロモン王の持つ動物と会話できる魔法の指輪からちなんだもの。
ノーベル受賞者のローレンツは論文をたくさん出ており、どれも立派な文献です。が、この著作はそこからこぼれた彼の“秘密の宝石箱”のようなものでしょうか? 美しいアルテンベルクの自然、与えずでも裏切らずに生きる動物たち、素朴な村びと、聡明で変わり者、でも優しくユーモアセンスにあふれた老博士、そして愛する彼の家族‥。

初めて読んだのは私が高校生の時。偉大なローレンツ博士ももう亡くなりました。今みるとやや古い見解の話題も多いのですが、今でも私にとって大事な一冊です。ムード

※早川書房/1963年発行、1998年文庫化

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2006年04月29日

■漆の芽がきれいな葉に。


一時は暴風で傷んでしまった漆の葉ですが、すくすくと新しい部分は順調に育っています。
2006/4/29阿波漆
これは、阿波うるしの葉。もう立派な葉っぱです。房のようなものは今年の種になる部分です。(もう少し経つと白っぽくて控えめな可愛い花が咲きます)ムード 
4/29/土佐漆
こちらは、土佐うるしの葉です。阿波うるしとはやはり雰囲気が違います‥ 人に例えたら相変わらずスマートで端正な美人といった感じ。阿波うるしの方は、私の中の勝手なイメージでは“賑やかで愛想がよい”という感じです。

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posted by 宮崎佐和子 at 19:00| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ ウルシの木の記録

■漆の木の住人 3


さらに、ウルシノキに住み着く生き物が増えてきました。
4/29/ハナグモ
擬態するハナグモ。ハナグモなんて、最近めったに見ないのでちょっと嬉しいです。(マーガレットのまん中で構えていたりしていたなあ)足の先の造型まで、スマートで美しいクモです。
4/29/カメムシ
カメムシ。汁を吸うので木にとってはあまりうれしい存在ではないですが‥ 多少は仕方ないですね。
4/29/アリマキ

ついでですが、カラスノエンドウに群がるアリマキ軍団。これは駆除しましたが、いろんなところに発生するのは避けられません。(心なしか、アリマキはマメ科の植物がお好みのような気がします) アリマキもありがたい存在ではないんですが、虫愛でる私としては、もう少し時期が下ればテントウ虫が集まるのでそれを見るのも楽しいかな、と思っています。

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posted by 宮崎佐和子 at 18:53| Comment(0) | TrackBack(0) |   漆の木の住人

2006年04月27日

■漆の木の住人 2


日々、葉が茂っていく工房の庭の漆。新たな住人を見つけました。みごとな保護色の持ち主なのですが、分かりますか?2006/4/27/虫さん
どうやらお食事中のようです。(しかも反対側にはちびミノムシが‥) きっと汁が美味しいんでしょうね。こんな虫たちがかなり集まってきたので、アマガエルが居着くのもうなずけます。

だんだん葉が開いて、きれいな形になってきた所もあります。
2006/4/27/葉


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posted by 宮崎佐和子 at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) |   漆の木の住人

■漆かぶれについて3


漆かぶれの苦しさ‥ これは体験した人でないと分からないでしょう。
では、いったいどんな状態になるのか? これは個人差が大きいので一概に言えないのですが。私の場合、過去最大にかぶれたのは研修生1年の春。肌の弱い両手首が赤っぽく熱をもってパンパンに腫れ上がりました。この腫れ方も水気を持ったなんだか独特の湿潤な皮膚の状態が、特長だと思いました。そして急に太った人みたいに手首を曲げるのにも抵抗を感じました。さらにもう、かゆいのったら! かゆいかゆいかゆ〜い。一般の人が体感することの多いかゆさは「蚊刺され」と思いますが、あんな表面的なかゆさではなく、じっとり深いうじゃうじゃするようなかゆさなのです。かゆみは、一日中忘れることはありませんが、やや波があってちょっと気にならない時もあります。しかし、一日の中でそれが吹っ飛ぶことが必ずあります。

「お風呂タイム」ですexclamation
温まって、血行がよくなるとかゆみは最大限に達します! もう我慢できません。「かぶれてもできるだけ掻いてはならない」これが漆に関係する人たちの共通意見なのですが、もうそんなことは言ってられません。「今が大事」なのです。必死に患部を掻くと「極楽」が訪れます。“シアワセ”を感じる瞬間です。
しかし「楽」あれば「苦」あり。腫れた患部は掻き傷が必ずできて、今度は「猛烈にかゆくて“痛い”」という二重苦が待っているのです。バッド(下向き矢印)

こんな状態をしばらく続けていけば、水気を持った“腫れ”は少ししぼみ、心なしか勢いを失ってきます。そしてかぶれも自分で作った掻き傷もだんだん治癒していくのです。痕は残りません。(私の場合) ただ、掻き傷が大きいと治りも痕が消えるのもちょっと時間がかかります。
漆がよく付く指の甲もけっこうかぶれていました。この部分は小さな水泡もよくできました。(もちろんかゆい) また、どんなに気を付けていても漆は爪の間によく入り、また入ったら落ちません。爪の下の部分が腫れてしかも爪も真っ黒だし、「いつも不気味に汚れた手をしている若い女性」って傍から見てきっと怪しかったと思います。(^.^;) 勉強しながらサービス業のバイトをしていた同級生の女の子が、お客様に変なことを言われて落ち込んでいたこともあったなあ。私も同い年の友人が可愛いネイルときれいな指輪をしているのを見て、「私には一生縁のないことだな」とよく思ったものです。

そんな体験をしてたいていの人は、漆に対する耐性がついて、そんなにかぶれなくなっていきます。(でも全くかぶれなくなるということは、なかなか‥) 仕事がうまくなって漆を付けずに仕事ができるようになっていくのも理由の一つかもしれません。

さて私の場合は、高校時代に漆を習い、ブランクを経てその後本格的にその世界に入ったという経過の人間です。漆職人の家に生まれ子供のころから漆を使いつづけて25年以上、しかも漆掻きまでするという松本和明は、まったく違うかぶれ経験を持っています。松本が了承したら、いつかご紹介したいと思います。

★カテゴリの「漆かぶれについて」一覧の記事もぜひごらん下さい。(^_^)

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posted by 宮崎佐和子 at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) |   漆かぶれについて

2006年04月26日

■前ネコ、にぃーのこと。


にんとぽこ

1年前の今日、トラネコのにぃーが交通事故死しました。昨年、とても悲しかったことの一つです。前の晩から行方不明になり、翌日の夜に国道で死んでいるのを見つけました。
変わり果てたにぃーは、浄法寺漆の木の下に眠っています。この木はにぃーの墓標でもあるんです。
4/26/にんの木

ちょうど福知山線の事故の真っ最中の出来事でした。

たった1年半飼っていたネコを失っただけでこんなに辛いなんて。
「あの夜、外に出さなければよかった」「翌朝すぐ探しに行けばよかった」 たった一つの命も守れなかった事実。本当に悔やまれてなりませんでした。
これがネコでなく我が子や家族だったらどうだろう?。いつもどおり「行ってきます」と元気に出かけた子が二度と帰ってこなかったら? 無惨な姿で帰ってきたら? 報道で流れるニュースがただの情報ではなく、身に迫ってきた出来事でした。
4/26/にん

元気なころ、わがままいっぱいのにぃー。

4/26/ミルとにん

でも、外で恐い目にあった日は、妹・ミルミルにしがみついています。

posted by 宮崎佐和子 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ■ 工房のネコ

■五色台の漆畑


ひさびさに五色台(香川県高松市の山)にある、松本のうるし畑の様子を見てきました。
4/26/五色台の漆

先日の嵐で、工房の庭のウルシノキの葉はかなりダメージを受けていたので、ちょっと心配だったのですが…      芽の伸びがちょっと遅めだったので大丈夫でした。よかった。とってもきれいで素直な葉っぱです。
ここは、瀬戸内海を臨むパノラマ状の地形でとても景色がいいところです。(向こうに、瀬戸内海が見えますね)

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posted by 宮崎佐和子 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) |  五色台の漆畑

2006年04月25日

■新しい器の木地固め。


今回の作業に使う漆を濾しています。
4/25/漆漉し作業
4/8に彫りこんだ椀ですが、木地が落ち着いたので今日、予備に作った木地と一緒に木地固めをしました。
さて、先日(4/16)に行ったフリーカップの固めに使ったのは枝漆。今回の器は、透けのよい仕上げにしたいので、大森俊三さんの盛り漆(真夏に採る漆。一般的にウルシオールが多くて一番品質が良いとされる)を使うという選択をしました。もちろん、いつもどおり溶剤は一切使いません。
4/25/固めの作業

さらさらの琥珀色のうるし(私的には琥珀でもコニャック・アンバー色という感じです)が、白い木地にどんどん吸い込まれ、なじんでいく。とたんに器に命が吹き込まれたように様変わりします。
4/25/椀重ね


4/25/室の中

「室」に入れました。これからが楽しみです。

ところで“和うるし”は、一言で「日本産漆」と、ひとくくりに言われることが多いことをよく感じます。認識の違いは、皆さんそれぞれなので申し訳ないのですが、私にとっては外国の人に「日本酒」を“サケ”と総称されてしまうような、そんな感覚に陥ります。
米も違えば産地も蔵も違う、流儀や目指す方向性も違うさまざまな「酒」が存在します。
そんな日本酒同様、様々な漆の中で、いちばんいいと思える漆、または扱いにくくても個性的で魅力あふれる漆を、最大限活かして使おうと日々精進していこうと思います。

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posted by 宮崎佐和子 at 22:12| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ 工房の仕事

■うるしの木の住人。


木には、たくさんの生き物が集まってきます。それは虫だったり、縄張りを主張するモズだったりするのですが、葉が増えてくるにつれて「住人」も増えてきます。
4/25/カエル

今回は、アマガエル。(私はアマガエルを見ると、その子がきちんと餌を食べて太っているかとっても気になります。(^^;)
ウルシの木にカエルやクモがいるようになったのは、きっと虫が集まるようになったからでしょう。もっと季節が進むとこの木も“生き物のアパート”のようになります。(うちの猫のミルミルも、おもちゃが増えて大喜び)

木って、ほんとうに“命の集い場”なんです。

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posted by 宮崎佐和子 at 21:58| Comment(0) | TrackBack(0) |   漆の木の住人
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