軽くて大好きな漆のアクセサリー。
今回は、カジュアルな雰囲気のペンダントを作りました。

これは、漆の木が「胎」なのです。2001年に松本が、徳島で漆かきをした時の漆の木の掻きがらを割いて作りました。だから、白木の時は漆の木独特のくちなしみたいな黄色い木肌をしていたんですよ。
漆のアクセサリーはたいてい木が素体なのですが、これがとーっても時間がかかるんです。
デザイン→木地取り→彫刻刀で木彫→研摩→木地固め→研摩→下地数回→下地固め→研摩→下塗り→中塗り数回→研摩→上塗りの下地(金や銀などの金属を貼る)→固め→上塗り→磨き→固め数回(呂色磨きのため)→呂色磨き→金具つけ等 …といろいろ工程があってすごく時間がかかってしまいます。(螺鈿や蒔絵を施したものはもっと工程が複雑に…)
とてもぷっくり色もきれいな、いい感じのものが出来るのですが、そのぶんどうしても価格に反映してしまいます。(^_^:)
なので漆の良さをいかしつつ、気軽に楽しめるペンダントを作ってみました。ペンダントトップの大きさや木の自然の雰囲気はまちまちですが、気に入ったものを選んでいただけたらなーと思っています。

“仕上げ磨き”。すり漆を重ねたあと、
専用のみがき粉で表面を磨きます。
きちんとした「呂色仕上げ」は、最初は粒の荒い磨き粉→
もっと細かいの→一番細かい仕上げ磨き…
と磨きだけで何段階もあります。
今回のペンダントトップは磨き1回だけ。
木の表情をいかしてラフにしました。
磨きには綿やネルをよく使いますが、
仕上げ磨きに最適なのは人の指先!なんです。
磨き粉の量を調節しつつ指の腹で優しく磨きます。
(何個か磨くと指先が痛くなってきて…指を変えつつ進めていきます)

顔料は伝統的な水銀朱。とてもきれいな赤色になります。
磨きをかけるとさらに色が鮮やかに発色するのです。
今回は磨きは一度だけですが、それでも自然な艶が出て色がうんと冴えてきます。(左/磨く前 右/磨き後)
ところでこの朱漆のアクセサリー、歴史が深くてとても興味深いんです

古くは縄文時代に、この朱漆を塗った耳飾りや櫛などのバラエティー豊かな装身具がたくさん出土されています。それが色鮮やかで美しく、今みても「欲しい!」と思ってしまうものばかり。
「当時の人は、とてもオシャレを楽しんでいたんだな」とうれしくなります。
posted by 宮崎佐和子 at 04:49|
Comment(6)
|
TrackBack(0)
|
■ 工房の仕事