2007年01月13日

■漆刷毛の切り出し/1


漆の仕事で欠かせないものの一つに「刷毛」があります。
これは特殊な道具で、まっすぐに梳いた女性の髪を糊漆でぴったり固め薄い板で貼り合わせ作ったものです。
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まだ一度も使っていない、全通し(端から端まで毛の通った刷毛のこと)の刷毛。
力をこめる仕事が多いので、補強を兼ねて麻布を漆で貼って朱漆を塗っています。
このままでは使えません。持ち主自身が先を切って毛を出し刷毛の用をなす部分を作らなくてはいけません。それを「切り出し」と呼んでいます。
その仕事の出来いかんで、その後数年間以上におよぶ漆の塗り仕事の質に影響が出るので、慎重かつ丁寧にやらなくてはいけません。

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完全に毛の通っていない端っこは角度を付け切り落とし、切り口を鉋などで揃え、それを基準面とします。

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刷毛の毛の長さを決め、毛引きでその長さ分切り込みを入れて、印をつけます。この長さ決めは、塗り仕事の内容や刷毛の厚みなどによって自分で決めるのですが、その“きめどころ”は微妙です。

刷毛6.jpg
「へら太刀」でまず片面、板を削ります。

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返してその裏の面も同様に削ります。

刷毛8.jpg
刷毛9.jpg
側面から見ると凸型に切り出せました。
(次回続く)


この「切り出し」の仕事は、自分の道具のメンテナンスの一つなのですが、めったにする機会がありません。
なのでこの機会に記事で様子を紹介していきたいと思います。


posted by 宮崎佐和子 at 23:18| Comment(6) | TrackBack(0) | ■ 工房の仕事
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