2007年04月12日

■漆器の修理について。

「傷んだ漆器」を持って心の負担にされている方がどのくらい大勢いるんだろう、と思うことがよくあります。
各地での作品展会場でも、お客さまと必ず話題になり、そして、かならずといってもいいくらい「自宅に(ひびが入った、剥がれた、欠けた、等の)漆器があるのですが、修理してくれませんか」とお問い合わせがしょっちゅうあります。

4/12 壊れた椀
輪島の骨董屋さんで求めた少し前の椀。


大変申し訳ないのですが、うちの工房は「和うるし工房あい作」のものしか漆器類の修理等は、お受けしないようにしています。
なぜかというと、まず、二人だけで何とかやりくりしている工房なのでどんどん受けてしまうとほかの仕事がストップしちゃうから…というのがあります。^_^: (スミマセン、自作品でさえ遅作なのです。)
「いつまで待ってもいいから」とおっしゃっていただいても、そうはいきません。そう決める以前(工房立ち上げ間もないころ)は、修理等をいったんお受けしてしまったものの本当になかなか手が付けられず、辛かったことがよくありました。あせあせ(飛び散る汗) 
そのうち、基本的に「修理修繕」と「和うるし作品の制作」は、仕事のベクトルが異なるということに気付きました。
そういう経緯を経て「安易に引き受けてはかえってご迷惑をおかけしてしまう」と分かり、かんたんなご相談等は対応していますが、他作の修理を引き受けるのは丁重にお断りするようにしています。
また「和うるし工房あい作」のものしか修理はしない、というのは他にも理由があって、やはり下地の種類や工程が違う他作のものは手をかけにくいというのもあります。

さてさて、お客さまが“直したい”と思っている漆器を私たちはよく見る機会があります。作品展会場に「ちょっと見て下さい」と現物を持参される方がけっこうおいでなのです。
どうやら“漆の作品展”と聞いて、ハッとしまい込んだままの漆器を思い出し「もし直るなら」と思い立って来られるそうです。
そんな漆器は、長らく放置されたうえに下地から問題あることが多くて拝見しても「う〜ん、どうご説明しよう」と、こちらも最初の返答に困ったりすることが多いです。

さて、そんな修理のご相談があったときはどうしているかというと…。
修理に関してはお求めになったお店や工房にお尋ねするようお勧めしています。ほとんどのお店が修理のお問い合わせに応じて下さると思います。中には「昔のもので、どこで求めたか分からない」というものは、お話をお聞きして、よいと思われる相談先をご案内しています。(輪島か漆器組合等が多いです)それが最善かどうかわかりませんが、なんらかの糸口となり眠った器が蘇ることを祈って…。
それにしても、どれだけ多くの方が傷んだ漆器をしまい込んだまま、心の負担とされているんだろう?

この「漆器・お椀の修理」については、あまりにもお問い合わせが多くそして問題も根深いので、しょっちゅう考えさせられます。

そういえば先日の徳島展で、
ふちがほんの少し欠けた輪島の蓋付き椀を持って来られたご夫婦がいました。とても品のよい黒の塗り立てで、落ち着いた蒔絵がほどこされているものでしたが、比較的丈夫な作りらしくわずかな欠け以外はまったく傷んでおらず、私自身が「そのままでいいから欲しい」と思ったくらいです。笑 
こういったお椀は悲しいほど壊れていることが多い中、とても気持ちのいいお品で、ちょっと心があたたまりました。晴れ
時にはちょっとした珍しいお品もあったり、漆がご縁でつながるものに、不思議な気分になったりすることもあります。


posted by 宮崎佐和子 at 19:53| Comment(4) | TrackBack(0) |   思うこと
Powered by さくらのブログ
y
<!-- [FC2 Analyzer] -->