2007年05月19日

■青梅・朱文筵工房の「磯矢阿伎良展」に行きました。

東京都・青梅市にある「朱文筵工房」―――。
漆が大変好きな方ならご存じかもしれません、多摩川ほとりの木に包まれた、人目を避けるようにある漆工房を。
久々に松本とその朱文筵工房へ足を運んでまいりました。(香川県から車で日帰りです)

5/19朱文筵1

そもそもは「磯矢阿伎良展」のご案内をいただたのがきっかけでした。
「工房の改装、やっと終わったんだって」
「うーん、行きたいね」
「手塚さん戸枝さんにもずっとご挨拶していないし… 磯矢先生の作品がこんなに見られるなんてそうそうないよね」
「…じゃ、行っちゃおうか!」
……というわけでネコさんを実家に預けて車で出発。(しかし寝過ごして午前3時発が6時発に!? さて、本日中に着くことができるのか)

5/19朱文筵2
…夕方に着きました。(疲) 朱文筵工房の入り口です。
催事があるということで、一応、密かな入り口に新しい看板が出ていました。(でもほんとに分かりにくい場所です…)

5/19朱文筵3
工房の前に漆の木があります。

この朱文筵工房は、故・磯矢阿伎良先生が「使える工芸」として漆の創作を行い、晩年はここを拠点に朱文筵工房活動として多くのお弟子さんや同志の方と、漆の新しい形を目指しました。それは、現在の「生活の漆」のひな形となっている、といっても過言ではありません。
現在は、お弟子さんの戸枝恭子さん・手塚俊明さんご夫婦が朱文筵工房を受け継ぎ、多くの方たちと足並みをそろえて創作活動を行ってらっしゃいます。
都会から離れた青梅が拠点なのは、磯矢先生の戦争の疎開先として住まわれていたのが現在に続くからだそうです。今は、この多摩川の自然に包まれたひっそりとした工房は、静かに物づくりを営んでいる場として理想郷のようになっています。

さて、私は漆芸研究所を修了後、この朱文筵工房でしばらくお世話になりました。
美術工芸としての漆を習ったのですが「やはり漆は使ってこそ存在価値がある」と思いを強くしていた私にとって、この朱文筵工房はとても惹き付けられる存在でした。なので、とある方に紹介して頂き、国内研修制度の研修生になった時、なかば無理矢理といった形で少しの間、ここで勉強させてもらったのです。
私も今に至るまで何かと不安定な時期があったのですが、そんな時も甘えて支えてもらったなあ…。(恥ずかしいな ^_^) 
そして、松本と結婚した後は、松本までお世話に?なるはめに。工房に漆の木があるので、松本も研修でおじゃまするという二重のおつき合いになってしまいました。

さて今回、磯矢先生の作品は手に取って見ることが出来るという大変うれしい企画。各お弟子さん宅にあった作品も今回集められているので、とても見ごたえのあるものでした。
改めて拝見すると、磯矢先生の器は形がやさしく漆も美しく、箔絵を中心とした加飾も全く気負いがなく、素直で正直なものばかりでした。
無駄な力点はいっさい入っておらず「漆ってなんだろう」という面倒な問いも、ゆったりと呑み込んでしまい、見る人使う人にゆだねる… そんな豊かさと広さに満ち満ちているのです。

5_19_oume_0.jpg
手塚俊明さんと。
お知らせもせず、閉展1時間前におじゃましたんですが、ゆっくり新しくなった展示室と磯矢先生の作品を見せていただきました。(やっとご無沙汰のあいさつができました)
そして閉展後は、手塚さん戸枝さんがお時間を作ってくださってお約束の漆談義に…。笑
「手ぐろめ」と「機械精製」の漆の違いとか、漆の木についてとか、もうキリがありません。
今年、初めて漆の芽を食べたお話をしたら「わあ、あれってすごく美味しいでしょ??」とすごく盛り上がりました。戸枝さんも、手塚さんも、ほんとうに漆を愛しているんだなあ。私たちも「もう帰るから」とか言いながら、けっこう長居してしまいました。あせあせ(飛び散る汗)


5/19朱文筵4
さてさて、朱文筵工房の名物?モリアオガエル。
宇宙人みたいに真っ黒な瞳、
でっかい“ガマ口”といった口、
そしてコインみたいな吸盤の指です。

ここは木々に囲まれた多摩川ほとりにあるので、いろんな野生動物が工房のまわりに暮らしているんです!
5/19モリアオガエル1

このカエルさん、ほらほら、まるで鳥がいるかと思うくらいデッカイんです。(ほんとに小鳥みたいに木にとまっている…)

5/19モリアオガエル2
モリアオガエルさんの卵。
このアワアワの中で卵が育っています。ハートたち(複数ハート)


5/19櫛簪美術館

「澤乃井 櫛かんざし美術館」にも寄りました。小さな櫛にこめられた美の宇宙はとてもすばらしいです。

さて、この東京行きは泊まらず車で往復するだけという強行軍で「エッ?」と周囲の皆さんをすごく引かせてしまいました。あせあせ(飛び散る汗) 片道10時間くらいかかったかなあ〜。いつも遠出する時はこんな感じで、私たちにとっては普通なのですが…。

ランキング参加中、毎日クリック→  人気blogランキング
ブログ村美術ランキング
posted by 宮崎佐和子 at 21:05| Comment(4) | TrackBack(0) |   展覧会鑑賞・イベント参加

2007年05月17日

■「漆」の仕事でご飯が食べられるのか/1

ふつうにお勤めをされている方は、工芸家をはじめとする作家さんがどうやって生活しているが、ほんとうに不思議なことと思います。
私も以前は、会社勤めしていた人間だったので「どう収入を得ているんだろう?」と思ったわけですが、そこんところを深く突き詰めずに若さあまっての勢いで?漆の世界に飛び込んでしまいました。

そして、
「漆をやっていると食べていけない」
…というため息まじりの言葉を、この世界に入ってからあちこちで聞くこととなったのです。がーん。がく〜(落胆した顔)(もう遅いってあせあせ(飛び散る汗)

「漆」を職業にされている先生、先輩方がどうされているかというと、

・学校の先生をして主な収入を得ている。
・実家が漆の職業の名家で、家業を継いでいる。
・漆教室を開催して、収入を得ている。
・親か配偶者に養ってもらっている。
・年数回のコンクール出品以外は他のアルバイトで収入を得ている。
・自転車操業で作品を売ってぎりぎりの収入を得ている。
・「漆」と名の付く仕事を何でも引き受けて何とか踏ん張っている。

という、厳しい現実が見えてきました。(うちは、下から2番目の形態が近いですね…) たぶん、上の項目に行くほど、収入は安定しているのですが先生の仕事はそうそうない上、誰でもなれるわけではありませんし、時間は授業や生徒さんとの交流に費やされて、なかなか自分の制作の時間が取れないことも。
けっこう名のしれた方でも、意外と安泰でなかったりします。

でも、これは漆に限らず陶芸の方、画家の方等、芸術の仕事をしている方も変わらないんだろうなあ…。
でもどのみち「漆」の仕事できちんと生計を立てて、家を建てて家族を養ってそれなりの程度の高い暮らしをされている方は、よほど家が裕福でない限りごく一部の方ではないかと思います。

私の友人は、
「あれ?工芸の仕事をしている人は、みんな補助が出て暮らしているんじゃないの??」

…と、すごい勘違いをしていました。そんなわけ、ないじゃん〜〜。(厳密に言うと、ごく特殊な技工の場合は認定を受けて“スズメの涙”の補助が出ている場合もある→でも拘束がひどくて割に合わない)

人並みな生活をしたいのなら、芸術家・工芸家指向の配偶者は選ばない方が賢明かもしれません…(と分かっていても、そうはいかないのが人間だったりするんだけど) 続くiモード



posted by 宮崎佐和子 at 16:30| Comment(4) | TrackBack(0) |   思うこと

2007年05月16日

■不思議な一つ目カエルさん。

わっびっくりです!!
タイトルの通りの不思議なカエルさん。松本が漆の葉っぱの上にいるのを見つけました。

5/16一つ目カエル
片方の眼球が無いので、先天的な一つ目君らしいです。
でも本人?はまったく困った様子もなくって、ぷくぷくとよく太った、とっても健康的なカエル君です。
もしかしたらおたまじゃくしの頃から、片目生活なのかもしれませんあせあせ(飛び散る汗)
でも、どんなふうに獲物を捕っているのかなあ…。

遠くにいかなくても、身近に不思議なことがいっぱいあるもんだなあ、とつくづく思いました。iモード

ランキング参加中、毎日クリック→  人気blogランキング
ブログ村美術ランキング
posted by 宮崎佐和子 at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) |   漆の木の住人

2007年05月15日

■「陰翳礼讃/谷崎潤一郎著」

陰翳礼讃1

『われゝ東洋人は何でもない所に陰翳を生ぜしめて、美を創造する。美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える』(陰翳礼讃 引用)

電気、瓦斯(ガス)、水道が一般化し、夜が明るくなった昭和初期、日本家屋に電燈がともって座敷の隅々まで照らされるようになりました。
そのいっぽう、日本の暮らしに闇や陰、といった「暗」がなくなったことを嘆きつつも、客観的に指摘する谷崎潤一郎氏の随筆です。
この「陰翳礼讃」は、漆器について谷崎氏が感じるところを詳しく述べているので非常に興味深いものがあります。

………漆とは不思議なもので、漆そのものが闇を抱えている。
例えば電灯ではなく燭台の明かりのほの暗い座敷の中でいただく椀もの。
座敷の空間の闇と、沼のような深さと厚みのあるつやの椀、その熱い汁の椀が掌で赤ん坊のような重みとあたたかみをたたえ、蓋を開けてその湯気とともに闇と同化した汁を口に含む…。
なんともあやうげで、しかも惹き付けられる光景なのでしょうか。
まるで、その場の闇、漆のかかえる闇、椀の中の闇が一体となり、不思議なものとなって舌に乗り、そして深く深く臓腑に染みわたるかのようです。

華麗な金蒔絵の漆器も、こうした日本家屋の「闇」で塗られた空間ではけっして俗悪ではなく、かすかな光の中で厳かな姿を見せてなんとも侵しがたい景色となります。
漆器のつやもこうした住空間の中でこそ、しんみりとしたものに変わり味わい深いものになるのです。

陰翳礼讃2

「陰翳礼讃」で述べられる闇の中の美は、暗い大座敷の奥の金屏風の沈痛な黄金色、老僧侶の皮膚と金襴袈裟の対比、部屋の奥のお歯黒をした女の顔など、はっとさせられる光景ばかり。
鮮やかに精巧に作りこんだものを闇で塗りつぶし、ほんの少し見せることでその余韻を楽しむ、見えない部分を想像して浸る、なんともぜいたくなことです。

そして、この「陰翳礼讃」で特に注目してほしい興味深いことは、谷崎氏の指摘する東洋と西洋の文化の相違のこと。
谷崎氏は「東洋に西洋とは別の独自の科学文化が発達していたら、社会の有様ががらりと変わっているのではないか、日用の機械、薬品、工芸品も国民性に合致するものが生まれていたのでは」と指摘しています。
世界のスタンダードになったすべての便利なもの、これは西洋から発したもので、元来、日本人の肌には合わないもの。その“借り物”の基準に東洋人である我々は合わさざるをえないので非常に「損」をしている。本来の色姿を歪めて合わせているのだ、と。

昭和8年執筆、今から70年ほど前の随筆です。
当時、谷崎氏が「明るい」と感じた昭和初期の電燈も、今はレトロで人々がノスタルジックを感じるアイテムとなり、世の中は信じられないほど明るくなっていることを思うと、日本の変わりようになんだか複雑なものがあります。

※中央公論新社

ランキング参加中、毎日クリック→  人気blogランキング
ブログ村美術ランキング

posted by 宮崎佐和子 at 19:25| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ BOOK

2007年05月14日

■漆の花に、虫たちが集まってきました…!

次々と咲き出した漆の花。
その甘い香りにつられて、いろんな虫達が集合しています。^^

5/14漆の花1
まずはミツバチさん。

5/14漆の花2
長い筆のような口を
花の中に差し込んでいます。

5/14漆の花3
ハナムグリ君。花粉が大好き。

5/14漆の花5
てんとう虫たちも生活を営んでいます。

5/14漆の花6
あらっこんな虫たちも…あせあせ(飛び散る汗)
葉っぱを食べる虫さんは退場してもらいます。


こんなにちいさな、地味なお花ですが「待ってました!」とばかりにお客さまがひっきりなしに訪れて「うるしの木喫茶店」は大繁盛しています。
香り以外、なあんも宣伝もしていないのに…
ちょっとうれしい気持ちです。ハートたち(複数ハート)


ランキング参加中、毎日クリック→  人気blogランキング
ブログ村美術ランキング
posted by 宮崎佐和子 at 19:16| Comment(2) | TrackBack(0) |   漆の木の住人

2007年05月13日

■漆のお花が咲きました!

ついに… 庭の漆の木に、今年はじめてのお花が咲きました。
^^
5/13漆のお花1
夕暮れの中、松本が撮りました。
よく見るとつぼみの中にぽつりぽつりと咲いています。


昨年は5/20ごろには、咲いていました。だから気付かなかっただけで、その数日前には少しずつ咲いていたのかも知れません。

5/13漆のお花2
漆の花は、グリーンがかった白で径6ミリくらい。
よく見ると可愛い星形をしています。

5/13漆のお花3
超アップ。
目立たない花だけど、ひたむきな感じ…ハートたち(複数ハート)


昨年もすこし紹介しましたが、漆の花も木によってかなり違いがあります。
あれから観察してきて、いろいろ気付いたこともあるので、また後ほどくわしくご紹介したいと思います。iモード


posted by 宮崎佐和子 at 20:58| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ ウルシの木の記録

2007年05月12日

■なぜ、漆を塗る必要があるのか。

「なぜ漆を塗るんですか?」「漆を使うとどんなメリットがあるんでしょう?」こういった質問を取材の方からの質問に出ることがよくあります。
たいていは、若い記者さん、ライターさん。
漆工芸の存在を根底から問うような、素朴でしかも大胆、でもふだんこういったものを意識していない方にとってはふと問いたくなるような疑問なんだなあ、と気付かされます。
漆の器でなくても、ご飯は食べることができるし…

なぜ、器に漆を塗るのか。
なぜ、漆で絵を描くのか。

いったいなぜでしょう?? (゚.゚)?

5/12 漆の器1

それは、皆さん持っている「答え」は、きっと違うと思います。
「漆は美しいから」「水、酸、アルカリに強い塗料だから」「漆はいいものだから」「抗菌性があるから」「高級感があるから」「天然素材で安心だから」等、いろいろあると思います。

5/12 漆の器2

私たちは、こうおたずねされた時は、
「日本人だからです」
と答えています。^^

日本人が何千年もの昔から、大事に使ってきた、高級ですばらしい素材なんですよね…。私は「漆」が日本そのものに思えることがよくあります。
松本は「日本人のやせ我慢やなあ〜」とよく言っていますが…。笑

使って心気持ちよく、しっとりとした気分になれるのも漆のいいところですが、それを感じる感受性を持たない人にとっては、漆は関係ないものになります。
漆って、それを必要をする人のために今もあるのかもしれません。


それにしても、若い方の質問にはびっくりすることがたまにあります。
お椀を持って、「このどこの部分が漆ですか?中の木ですか?」とお聞きされたことも exclamation&question
漆って「よく分からないけどかぶれるもの」というくらいしかご存じなくって、木の樹液で塗料と知らなければ、「じゃあいったいこのお椀のどこの部分が“漆”になるんだろう」と思われるのは当然なのかもしれないなあ。あせあせ(飛び散る汗)
いやいや世の中、びっくりすることはまだまだあるみたいです。


ランキング参加中、毎日クリック→  人気blogランキング
ブログ村美術ランキング

posted by 宮崎佐和子 at 22:18| Comment(5) | TrackBack(0) |   思うこと

2007年05月11日

■漆の新しい葉が傷んでしまいました。

今日は全国的に強風だったそうで…
香川県も強い風が吹いて、洗濯物が飛びそうでした。晴れ
さて、気になるのが漆の葉っぱです…。たしか去年の春も、強風で柔らかい葉っぱがあおられてすっかり傷んでしまったのです。

5/11 漆の傷んだ葉っぱ1
風に揉まれて、新芽が…。
黒くなっているのは漆ですね。


5/11 漆の傷んだ葉っぱ2
こんな感じであちこち黒くちぢんでいます。


せっかくのきれい葉っぱが…と思うともったいない気がします。
(漆はこの季節の葉っぱが、みずみずしくて美しいのです。夏になると緑濃くごわごわした感じになります)
でも、葉っぱの生命力はものともせずにあっという間に回復するんです!

でも、こんな時に弱い人が近寄ったらかぶれるだろうなあ…。
ハゼとか山で自生するウルシ科の木も、こんな感じになっているのでは。
強風のあとの山歩きには、用心した方がいいかもしれません。iモード

ランキング参加中、毎日☆→  人気blogランキング
ブログ村美術ランキング
posted by 宮崎佐和子 at 20:55| Comment(0) | TrackBack(0) | ■ ウルシの木の記録

2007年05月10日

■失敗…。

“鎬”のフリーカップです。
1ヵ月ほど前に、上塗りをしたもの。しっとりとしたいいニュアンスのある塗り上がりになったと喜んでいたのですが…
5/10ちぢみ1
これが、失敗作となってしまいました。
こうして並べてみる分には、問題ないのですが…


5/10ちぢみ2
裏に問題が。
5/10ちぢみ3
がっくり…!
鎬のくぼみに、漆の“縮み”が
できてしまいました。がく〜(落胆した顔)


なぜこうなったかというと…
回転室に入れて乾かせていたのですが、ほぼ硬化してきて「よし、いいだろう」と、仕上げに強めの平室に移したのですが、この鎬の部分の漆にまだ流動性があって、下部にたまり、そして縮んでしまったのです。バッド(下向き矢印)バッド(下向き矢印)


この“縮み”、漆工芸をされた方なら、必ず体験されていることですが、知らない方がごらんになったら「えっ何これ?」って思われるでしょう。^_^:
漆は一定以上の塗り厚になるか、乾きが早すぎると、塗膜の表面だけが乾いて収縮するという現象が起きます。そのさじ加減がけっこう微妙なのです。
「いい感じに塗り上がった!」と思ったものに、縮みができたらがっくり。漆工芸をされている方の多くは「縮まず、塵がつかず、希望通りに“乾き”がきてほしい」と願いながら、塗った物を漆室に入れてらっしゃると思います。

これは手直しが必要なのですが、うちではどうしてるかというと…
きちんと乾燥させて、縮みを削り取ります。

5/10ちぢみ4
左半分処理済み、今回はキサゲで削りました。


研究生時代、多くの方と同じように中国産漆で仕事をしていた時も縮みに悩まされました。当時の縮みといえば、その収縮した塗膜の外見は固まってても、その中は未乾燥。その未乾燥の部分が、1年以上経ってもなかなか硬化しなくてずーっとゲル状のままなのです。ちっとも作業が進まないので、結局は強い溶剤で剥いでしまっていました。
今はそんなことはなく、使っている日本産漆は、比較的短期間で漆が中まできっちり硬化してくれるので、カリカリと刃物できれいに削り取ることができます。

そして、再度塗り直します。(こうして調整できるのが、漆の楽しいところですね)


さてこの縮み、漆の特性の一つでけっこうユーモラスな表情もてきて、意図的に縮ませる…というテクスチャのテクニックも無いわけではないのですが、一般的には御法度。
しかも、今みたいな寒暖の差が激しい季節はよーく気を付けないといけません。

今度も、いい感じに塗り上がるといいんだけどなあ…iモード

ランキング参加中、毎日ムード→  人気blogランキング
ブログ村美術ランキング
posted by 宮崎佐和子 at 20:57| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ 工房の仕事

2007年05月09日

■漆の木の住人。

松本が「漆の木にトカゲみたいな生き物がいる」と騒ぐので見に行きました。
岩手県の漆の木の2mくらいの高さの幹に、なにやら見慣れない動物の小さなぺったりとした影が…。

5/9ヤモリ2
接近中…葉影で良く見えません。
(右上にある白っぽい大きな固まりはカマキリの卵)


5/9ヤモリ1
5/9ヤモリ3
じゃん!ヤモリのちび君でした。
かわいい揺れるハート


ヤモリ、といえばガラス窓に張り付いている姿が、もうイメージで定着しちゃってたので、漆の葉影に隠れてじっとしている様子は新鮮でした。
木ってほんとにいろんな生き物が集まりますね。
遊んだ(いぢくった?)あと、この子は木に還してあげました。ミルに狩られないよう、大きくなってほしいなあ。

ランキング参加中、毎日☆→  人気blogランキング
ブログ村美術ランキング

posted by 宮崎佐和子 at 21:07| Comment(4) | TrackBack(0) |   漆の木の住人
Powered by さくらのブログ
y
<!-- [FC2 Analyzer] -->