2007年05月17日

■「漆」の仕事でご飯が食べられるのか/1

ふつうにお勤めをされている方は、工芸家をはじめとする作家さんがどうやって生活しているが、ほんとうに不思議なことと思います。
私も以前は、会社勤めしていた人間だったので「どう収入を得ているんだろう?」と思ったわけですが、そこんところを深く突き詰めずに若さあまっての勢いで?漆の世界に飛び込んでしまいました。

そして、
「漆をやっていると食べていけない」
…というため息まじりの言葉を、この世界に入ってからあちこちで聞くこととなったのです。がーん。がく〜(落胆した顔)(もう遅いってあせあせ(飛び散る汗)

「漆」を職業にされている先生、先輩方がどうされているかというと、

・学校の先生をして主な収入を得ている。
・実家が漆の職業の名家で、家業を継いでいる。
・漆教室を開催して、収入を得ている。
・親か配偶者に養ってもらっている。
・年数回のコンクール出品以外は他のアルバイトで収入を得ている。
・自転車操業で作品を売ってぎりぎりの収入を得ている。
・「漆」と名の付く仕事を何でも引き受けて何とか踏ん張っている。

という、厳しい現実が見えてきました。(うちは、下から2番目の形態が近いですね…) たぶん、上の項目に行くほど、収入は安定しているのですが先生の仕事はそうそうない上、誰でもなれるわけではありませんし、時間は授業や生徒さんとの交流に費やされて、なかなか自分の制作の時間が取れないことも。
けっこう名のしれた方でも、意外と安泰でなかったりします。

でも、これは漆に限らず陶芸の方、画家の方等、芸術の仕事をしている方も変わらないんだろうなあ…。
でもどのみち「漆」の仕事できちんと生計を立てて、家を建てて家族を養ってそれなりの程度の高い暮らしをされている方は、よほど家が裕福でない限りごく一部の方ではないかと思います。

私の友人は、
「あれ?工芸の仕事をしている人は、みんな補助が出て暮らしているんじゃないの??」

…と、すごい勘違いをしていました。そんなわけ、ないじゃん〜〜。(厳密に言うと、ごく特殊な技工の場合は認定を受けて“スズメの涙”の補助が出ている場合もある→でも拘束がひどくて割に合わない)

人並みな生活をしたいのなら、芸術家・工芸家指向の配偶者は選ばない方が賢明かもしれません…(と分かっていても、そうはいかないのが人間だったりするんだけど) 続くiモード



posted by 宮崎佐和子 at 16:30| Comment(4) | TrackBack(0) |   思うこと
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