
今回の視察地の茨城県は、岩手県に次ぐうるし樹液産地。
視察研修会は、準会員を中心にほぼ毎年、行われています。
今回は「浄法寺以外のうるし産地を見学して、情報交換したい」という希望が通って、視察地が茨城になりました。
今回は茨城の様子を視察させていただくのと同時に、今まで保存会と茨城の結びつきが弱かったので、若いうるし掻き後継者たちがうかがうことでお互い活気が出るきっかけになれば…という願いもあったのです。

さて今回の参加メンバー。準会員(元研修生)と今年の研修生たちの8人と茨城の漆かきの飛田さん・神長さんです。

そして案内していただいた、茨城県大子町の西金うるし生産組合・奥久慈山方漆生産組合の方々。(うしろの二人は、松本と保存会の瀬古君です ^^:)

大子町にある漆畑の見学。若手で荻房の富永さんが今年掻いています。木は岩手のものとは雰囲気が違って、やっぱり南(中四国)の漆の木に似ています。右の男性は、西金うるし生産組合の飛田さん。
松本は2年前に文化庁の研修でもお世話になりました。

茨城の漆かきは、4辺目でした。

苗床の見学。岩手と違って分根で増やしています。
植えて10年以内で確実に漆が採れる、
現実的な苗作りをめざしています。
(岩手は実生。分根は親の性質をそのまま受け継いだ苗ができる)

あの「壱木呂の会」の主軸でもある荻房さんで。
ろくろを見学させていただきました。

推定樹齢50年のウルシの木。記念樹です。
みんなが見られる所(なんと小学校・中学校の間)
にあるのが産地らしくって、いいなあ〜。^^
日本で2番目の生産地、といわれる茨城県ですが、
しかし慢性的な後継者不足で、現在プロとして漆を採っているうるし掻き職人さんは、たった二人なのです。当然、生産量も多くありません。
直視するのがつらい現実がそこにあります。
「1年で1キロの国産漆を使おう」と漆芸家の方々が集まってできた会『壱木呂の会』では、毎年、この茨城の漆を使っています。この会の発足に関しての言葉に、茨城をはじめとする日本産うるしの現状について端的に述べられているので、よろしかったらごらん下さい。 ※壱木呂の会
短い日程でしたが、今回は出席率もよく、松本もひさびさに漆かきの仲間に会えてとても嬉しそうでした。
専門学校を出れば、誰でもすぐプロになれる訳でないように、漆かきを学んだ仲間もすぐ漆かきでやっていくのは厳しいです。また、どんなスタイルにしろ、ビジネスプランを立ててそれなりの下ごしらえが要ります。
でも、誇りと夢があれば、なんとかやっていけるような気が…。
主義主張は違えど、やはり同じ「日本産うるし」にかかわる仲間と将来の夢を語り合えたのは、松本もとっても刺激になって楽しかったらしいです。(工房に戻ったら、私と現実的な話ばかりになるもんネ。^_^;)
少しでもこの現状が良くなるよう、頑張っていこうという思いを新たにしました。