2007年07月17日

■「かぐや草」さんと漆塗りの床。

昨日は、東京からのお客様と一緒に、東かがわ市五名の「かぐや草」さんに行きました。

7/17かぐや草1
こちらは、木工家の山地裕之さんの自宅兼ギャラリー、「かぐや草」。香川県と徳島県の県境というへんぴな場所にもかかわらず、多くの創作家やお客様が出入りしているスペースです。山地さんは、矢澤金太郎氏に師事した後に地元に帰り、染色家の奥さんの染仁さんと一緒に活動をされているのです。
山地さんは松本とは年も近く、話もすごく合うので(素材が好きなんですよね)仲良くさせてもらってます。そして、ここにおじゃますると、必ず長丁場に…。火がついた男二人は話が弾みすぎて日が暮れても帰りません…!!(奥さん、いつも御免なさいあせあせ(飛び散る汗)

7/17かぐや草2
ここは4年ほど前に、山地さん自らも参加して建てた家です。
建材は地元の木材を使い、建具や床も少しずつ手を加えて出来た手作りの家。久しぶりにいくと、さらに外壁も手を加えられていました。笑

7/17かぐや草3
「かぐや草」の中…。一つ一つの造作にこだわりがあります。このスペースに山地さんご夫婦の作品が展示されているんですね。^^
そして、この印象的な「床」は、日本産漆のみで仕上げられているんです。

7/17かぐや草4
もうすぐ1才になる長男、紘生くん。お父さんが大好き。はだしで元気にあちこちハイハイしています。晴れ


今思えば、もう4年近く前。(平成15年9月)
山地さんと松本との二人で、この漆の床材を建築地となりの倉庫で一緒に仕上げたのでした。その時の様子をちょっとご紹介します!

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7/17大森俊三の漆1
漆の準備の様子。
7/17大森俊三の漆2
使った漆は、岩手県の大森俊三さんの末辺漆(秋の漆)。3貫(約12キロ)使いました。

7/17床塗りの様子1
床材などに、漆を施すにはいろんな方法があります。
今回は、床に貼る前の状態の材に、先に漆仕上げをしました。そうでないと仕事が難しくなり、乾かす時も大変です。
漆の作業内容は、すり漆2回と塗り放し1回。全部の作業は屋外で行いました。
7/17床塗りの様子2
この床材は四国産の杉なのです。
地元の材を家に取り入れたい、という素直な気持ちは素晴らしいことです。(奥の建築中の建物は本宅のかぐや草。写真に写っているところが玄関になります)

7/17ブルーシート室1
さて、こうした野外の仕事の時にどうするかが「漆室」。
この時は、倉庫内に骨組みをした囲いを作り、そこにブルーシートで包んで「漆室」を作りました。その中に水を打ち、湿度を保ったわけです。
7/17ブルーシート室2
「漆室」の内部。漆塗りをした床材をこんなふうに並べています。


そもそも、こうなったいきさつですが…。
友人の山地さんが家を建てる、という話を聞いていろいろそのこだわりぶりを知ったのです。そこで、松本が「日本産漆の床にしない? 漆持ってくから、一緒にやろうや」と勧めてみたのでした。
お祝いがてら、もの作りの友人に実際に使ってもらって、率直な感想とかも聞きたいなあと考えたのでした。
ここは山地さん夫婦のギャラリースペースにもなっているので、作品とともにたくさんの方に見て実際に触れていただいているのです。

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さて、こんなふうにして漆塗りの床が誕生したのですが…。
どんな具合になっているかというと。
7/17漆塗りの床1
完成1年後の様子。色が濃く、そして艶があったのでとても重厚感たっぷりですが「お寺の床みたい…」との感想が。^^:

7/17漆塗りの床2
そして今回。かなり色が透けて木目がはっきりしています。

確かに漆塗りの床は美しいですが、場所によってはやはり気になるところもありました。日の当たるところは紫外線による劣化が激しいのです。

7/17漆塗りの床3
直射日光による劣化。

ここの家は今風に窓も広く日差しが床によく当たる場所があります。非常に強い素材の漆ですが、泣き所は日光。紫外線で分解されるのです。この部分は紫外線で杉材の表面塗膜がなくなり、表面がチョーキング状態に。材に漆が染み込んだ状態で、表面に保護膜がない状態になってます。こうなると材に直接汚れが触れて、染みが取れなくなってしまいます。(漆が変色したのではなく、漆が無くなった杉材に汚れが染みた状態)
解決法は、再び漆を施してやることでしょうか。
数年おきに塗り直しするか、直射日光が射さない部屋に使うのが長く楽しめて良いかもしれません。(障子があるだけでぜんぜん違います)

さて、ここの隠れたおすすめはお風呂!
7/17漆の風呂桶1
なんと大きな杉樽のお風呂なんです。
(完成1年後の写真)
もちろん、漆で仕上げています。

7/17漆の風呂桶2
私も入ってみたりして… うわわ気持ちいい!!

「これっていいんだよね、サッと拭くだけでぜんぜん
手間要らず。ラクなんだよね!」と山地さん。
いいなあ… 私のところも漆のお風呂にした〜い。


さて、私は「かぐや草」さんには出来てから一度も行った事がなかったので(作業中は何度も行ったのに…)家と暮らしをゆっくり見せていただくことができました。
知らない間にお子さんが増えて山地家はとってもにぎやかになって楽しそう。
7/17こうちゃん
プレゼントの栗の木漆スプーンで
ずっとおしゃぶりの紘生くん。
そんな使い道もあったのか…!!



※追加
以前から気になっていた「漆塗りの家にはゴキブリが出ない」という話。本当にそうかと疑問を持っていたのですが…。
山地さんに聞いたところ「ゴキブリ?出ないよ」とのこと。うわわホントなの?? もちろん、ホウ酸団子とかの駆虫は特にしていないそうです。


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posted by 宮崎佐和子 at 23:58| Comment(4) | TrackBack(0) | ■ 日記
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