2007年12月28日

■「漆芸の伝統技法/佐々木英」

漆芸の伝統技法


「漆の仕事を覚えたいんですけど、何を読めばいいでしょうか」と聞かれた時に、真っ先におすすめするのがこの本です。
この「和うるし日記」でも、漆芸の材料等について説明する時に、文章を引用させていただくことも。
素材、道具、歴史、塗りの技法、加飾の技法を、たんねんに詳しくそして大変分かりやすく書かれており、今なお混乱した時には、該当する部分を読んで、スッキリすることもあります。
10代の松本の愛読書だった…ということからお分かりになるように初版が1986年、20年以上も前の本ですが、とにかく分かりやすいのです。

難しい言葉、まわりくどい表現は一切使わず、家を土台から丹念に組み立てていくように、漆の仕事について解説するさまに、初版を待たずに故人となった著者の人柄がしのばれますが、その淡々とした色の奥にひそかに燃える情熱を感じるようです。

本書はかなり前に廃版となり入手困難…という話がもっぱらだったので、人におすすめしても読んでいただくことが難しいかなあ…と思っていたのですが、今年の5月に増版されてました。
漆に興味のある方にぜひ読んでいただきたい良書です。

※理工学社



posted by 宮崎佐和子 at 20:22| Comment(8) | TrackBack(0) | ■ BOOK
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