2008年02月08日

■「日本残酷物語/平凡社」

2/8日本残酷物語

当書は、歴史から忘れられた人々の暮らしや叫びを、やや古い時代は資料をたんねんに調べ、近年は当事者の人々の声を書き留めて集めて作られた、識者数名のグループによるノンフィクション。
貧しい農村、宗教の迫害、病気の差別、棄民同様の北海道開拓民、孤高の山の民、炭坑の人夫。そんな底辺を強いられた人々の暮らし。そしてその人々の残り血を吸うような搾取するものの存在。
今の豊かさはほんの皮一枚、表面に張り付いているだけで、ちょっとしたことで、その苦しみが今なお容易にむき出しになり、今の私たちを睨みつけ、どきりとさせられるのです。
以前、北海道の作家さん数名を取材した時も、出は四国出身だという人がたくさんいて驚いたものですが、多くは地元の暮らしに見切りをつけて新天地にわたった開拓民の人々の子孫なのでした。
また、以前私が倉敷に住んでいた時、美観地区のとある古く情緒あるホテルのことを「ここに泊まると幽霊が出るのよ」と地元の子が言っていて「まさかあ」と当時笑っていたのですが、今思えばそこは某紡績工場跡で当時たくさんの女工さんが若い命を落としていた地なのでした。

漆の樹液がまだ採れる東北も、そんなドラマに尽きません。
現役の漆かき職人の最高齢者である新潟県朝日村の渡辺勘太郎さんに松本が取材した時も、真っ先に語ってくれたのが「昭和の飢饉」でした。
続く凶作、飢餓、子を捨て娘を売る選択が村にあり、それは寒冷地耐性の新品種の苗、化学肥料と農薬が普及するつい先日まで続いており、渡辺さんが苦しみながらも漆掻きをやめなかったのもそれに起因しているそうでした。
昭和の漆かきは飢えないために、平成の漆かきは最高の素材を求めて漆を採る…。
そんなギャップを思い出しつつ読み続けています。
平凡社らしい渾身の書です。
日本残酷物語全5巻。1959年〜1961年に平凡社から刊行。
〈1〉貧しき人々のむれ〈2〉忘れられた土地 〈3〉鎖国の悲劇〈4〉保障なき社会〈5〉近代の暗黒

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posted by 宮崎佐和子 at 23:59| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ BOOK
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