その開会式に松本と行ってきました。^^
初の本格的な個展です。
私たちが香川県漆芸研究所の研究生(松本は研究員)だった頃、太田先生は籃胎蒟醤の講師として指導されており、たいへん熱心に教えて下さいました。
その太田先生の作品が60点も鑑賞できる…ということもありますが、これほどの方が個展を開くということは大変なこと。
数年かけて準備をされたというその晴れ舞台は、ぜひ目にしておきたい気持ちが強かったのです。


籃胎という竹を編んだ素地に下地を施し蒟醤で加飾する太田先生のスタイルは、おそろしく高度で精細なもの。
蒟醤は刃物で表現する技法で、鋭い表現もみごとですが、柔らかい表現には目を見張るものがあります。使い慣れた筆でさらさらと描くような、時には友禅のようにそっと染め重ねたような、または大島紬のように丹念に織り上げたような、人の手技の極地とも言える仕事です。
また、たいへん自然を愛される方であり、モチーフも天真爛漫な童心あふれるものです。かまきりやバッタなどの小さな虫のユーモラスな肢体、庭に訪れる小鳥たち、四季の可憐な花々を、愛情あふれる視線で、美しいパステルカラーでこれでもかと繊細に表現していくさまは、漆がまったく分からない方でも吸い込まれるように見てしまうはずです。
この個展のお話があった4年前、太田先生は退院されたばかりで体重が18キロも落ち疲労困憊されていた時でしたが、やるなら満足のいく内容にしたいとこつこつとご準備されたそうです。
そんな中やっと迎えた初日、多くの方々に祝福され、熱心に見る地元の小学生の質問にもにこやかに答えてらして、とても幸せそうでした。
また、後日出直して、ゆっくり鑑賞したいと思います。
今日は本当におめでとうございました。