2008年06月30日

■本間さんの浄法寺の漆かきだより3

今年の日本うるし掻き技術保存会の長期研修生、本間健司さんから、昨日うるし掻きの様子が届きましたexclamation
もう、かなり『辺』※重ねる傷の数 が増えているはず…。
きっとうるし樹液もそろそろ採れていることでしょう… どきどき。

6/30 本間さんの掻き傷
いま4日でまわってます。最近漆山元気足りないかんじ…。四辺と五辺で出る量かわらず、150〜200g。<6/29 本間さん>

やっぱり、上手いです!
(本間さんは、本数は多くないですが地元の茨城でもうるし掻きをされていたんですよ〜)

傷は、もう5辺目に入ってるんですね。^^
↑コメントによると… いま、1日に採れる漆の量が150〜200g、ということです。(一日約50本くらいの木を手がけています)
本当にだいたいですが、この量はお茶碗に半分くらいの量でしょうか。
たいへんな作業なので、一日がんばったら「もっと量が欲しいなあ」と思うところだと思います。
でも漆のシーズンはこれから…
うんと出る真夏まで、しっかり仕事を続けることが大事ですね。

面白いのは、本間さんが先生のうるし掻きさん、佐藤春雄さんのことを「赤ペン先生みたい」と言っていたこと。
『こんな形にキズを付けなさい』と幹に下書きしてくれるそうなんですが、その印が赤なんだそうです。(ちなみに、大森俊三さんは『白チョーク』でした)
こんなベテランのうるし掻きさんに、教えてもらって、とても恵まれていますねえ…。

シーズンはこれから、ますます経過が楽しみです。^^


posted by 宮崎佐和子 at 20:49| Comment(2) | TrackBack(0) |   本間さん研修報告(2008年)

2008年06月28日

■浄法寺の「遅霜」の被害について。

香川県では、今年は順調な天候で、工房の庭の漆の木も元気な姿を見せてくれています。
しかし、肝心の漆樹液生産地である岩手県二戸郡浄法寺町ではどうなのでしょうか?

実は、日本文化財漆協会で『5月に協会の植栽地(熊沢地区、吉田地区)遅霜の被害があった』という報告があって、とても気になっていました。(協会の植栽地と、浄法寺でうるし掻きをしているところはすごく近いのです。ほぼ同じエリアといっていいくらい)
そこで、いつもお世話になっている浄法寺町の漆掻き職人、大森俊三さんにお聞きしたところ、「霜?そうだよ、5月に霜にやられて、今年の新芽がだめになってしまったよ」とのこと。(…さらっと言われてしまいましたが)
がく〜(落胆した顔) ええっexclamation
…いちばんの新芽って大事なんです。

東北地方は寒冷地なので、こんなことがあるのでつねづね心配はしていたのですが。

どんな状況か、すごくすごく心配だったですが…。
東京展の準備で忙殺されてそのままになっていました。
(葉っぱの様子、写真がみたいけどなあ… 新人研修生の本間さんに頼むのも悪いしあせあせ(飛び散る汗)
…と思っていたところ、昨年の研修生の竹内さんが浄法寺入りしているという話を、東京滞在中に本間さんから聞きました exclamation

そこで、さっそく竹内さんに電話。
(そう、竹内さん、しっかり今年の漆掻きのお仕事に参加していました!)
そして、
「もう、だいぶ新しい芽が伸びちゃって分かりにくいかもしれないけど」と、霜被害の名残の写真を撮ってくれることになったのです。


バッド(下向き矢印)そして先日、いろんな写真を送ってくれました。
6/28竹内さんの浄法寺の漆の写真2
五月の中頃に遅霜に芽がやれて、次の芽が育ってきたところです。今年は掻けません。<竹内さん>


わ… 葉っぱが少ないです。たらーっ(汗)

竹内さんが「今年は掻けません」と言っているので、今年はこの漆の木たちからうるしを採る予定にしていたのでしょう。
こんな状態ではがんばってキズを付けても、うるしは出ないです。
せっかくの貴重なウルシの木…。
来年以降に見送ったという判断は、賢明だと私も思います。

6/28竹内さんの浄法寺の漆の写真3
もう一枚。通常なら、びっしり葉が茂っているはずの枝先ですが、まばらにしか葉が付いていません。

バッド(下向き矢印)この写真なんか、分かりやすいです。
6/28竹内さんの浄法寺の漆の写真
先の芽がやられ、次が延びています。<竹内さん>

…木もがんばってます。ふらふら
でも、新芽を傷めて最初の葉っぱが出なかった影響は大きいですね…。こんな少ししか葉をつけられないなんて。

似たような事例が、うちにもあります。(うちの場合は霜で春の新芽が焼けたのではなく『新芽をもいで食べた』んですがあせあせ(飛び散る汗)) →新芽を採った3ヶ月後の枝
地域の違い、経過時間の違いはありますが、こんなふうに木は、無くした葉をカバーしようとするんですね。

バッド(下向き矢印)そして、最後にまったく雰囲気の違う木の写真。
6/28竹内さんの浄法寺の漆の写真1
吉田の谷、向かいの斜面は霜があたらなかったようです。<竹内さん>

わっexclamation 
ほんと、こっちの地区の木の葉っぱはとってもきれいによく茂っています。
霜の被害のあったという吉田地区ですが、その向かいではそれといったダメージを受けずに、こんなに木が生き生きとしているんですねえ。
ほんの少しの条件の違いで明暗が分かれるなんて、ほんとうに自然界はシビアです。

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…さて、読んで下さっている方の中には「葉っぱが茂っているかどうかが、そんなにうるし掻きにとって大事なの?」と、不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
葉っぱが大事かどうかと言われると… 大事なんです。

「ヘチマ水」なら、ヘチマが根から吸い上げた水分を切ったヘチマの茎の断面から、どんどん採ることができますよね。
でも、うるし樹液は、ヘチマ水とは違います。
うるし樹液は、葉っぱが光合成をして作っているものなんですね。
なので、健康な葉っぱがたくさん茂っているかどうかは、品質のいいうるし樹液が、その木からたくさん生産されるかどうかに大きく関わってくるのです。
つまり、葉はうるしの生産工場みたいなものなんですね。

葉っぱ、とても大事です…。

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posted by 宮崎佐和子 at 23:59| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ 浄法寺町の漆かきだより

2008年06月27日

■古墳時代の「うるし採取あと」を見て来ました。

さて、先日、ちらりとお知らせしましたが…。
東京での作品展が終わった翌日の6/24、すぐに香川に戻らずに埼玉県に寄って帰りました。

バッド(下向き矢印)吉見町の「吉見百穴」に行ってきたのですが…。
6/26百穴

実は、この遺跡を見に行ったのではないのですね…あせあせ(飛び散る汗)

古代(古墳時代)の漆掻きあとを見に行ったんですexclamation

ごらんになっている方の中には「えっ、漆ってそんな昔からあるの?」とびっくりされている方もいらっしゃるかもしれません。
日本の漆製品の出土は、古くは縄文時代からあります。(有名なのは是川遺跡ですね。是川遺跡には私たちも何度か行きました。→ここ
北海道・南茅部町の垣ノ島B遺跡で出土した漆製品は、なんと推定9000年前のものと判定されました。
それまで「一番古い」とされた中国の河姆渡(かぼと)遺跡の約7000年前の漆製品をはるかにしのぎ、漆文化の中国起源説を大きくくつがえす資料となったのです。
(この『世界最古の漆製品』と世間を沸かせたこの漆出土品も、2002年に残念ながら火災事故で消失してしまいました…。もうやだ〜(悲しい顔) )

さて、前置きはこのくらいで…。

「吉見百穴」遺跡の隣りにある、吉見町埋蔵文化財センターにおうかがいしました。
古代人の漆掻きの仕事…。
現在の漆掻きびと(この場合は松本)の目にはどのように映るのでしょうかexclamation&question

(以下、出土品の写真撮影・『和うるし日記』での紹介については、吉見町教育委員会からの許可を得ています)


バッド(下向き矢印) 調査員さんに、その出土品を保管室から出していただきました。(この包みの中に…どきどき揺れるハート
吉見町埋蔵文化財センター

バッド(下向き矢印)これが1300年前の漆の木です。
 クリックで拡大します。(以下の写真、同)
吉見町から出土したうるしかきあとの残る杭
漆かきあとの出土品は3本あります。


この出土品は何かといいますと…。
吉見町の広報誌に掲載された埋蔵文化財センターの資料から、抜粋いたします。

昨年12月の公開以来、注目されている西吉見町条里遺跡(流川耕地内)から発見された「漆採取痕のある古代の杭」について紹介したいと思います。
発見された3本の漆採取の痕跡を残す古代の杭は、平成13年度に実施した西吉見町条里遺跡の古代道路跡の発掘調査で出土したものです。
ちょうど古代道路が旧河道(小さな河の跡)を横切る部分であり、その川岸の両側には、約300本の大小さまざまな大きさの杭が地盤の補強材として打ち込まれていました。
その約300本のうち5本がウルシ材であり、さらにそのうちの3本については杭の表面に幅5〜8mm、深さ約1mmのキズが材を一周するようにいくつもついているのが確認されました。
おそらく、最初は漆を採取するために利用されていたものが、やがて良質の漆が取れなくなり、古代道路を作る際の土木資材としての杭に転用(2次利用)されたものと思われます。
この杭の年代は、その出土状況と放射性炭素年代測定法の結果から、古代(7世紀後半〜8世紀前半)のものであることが判明しました。
現在、漆を採取した痕跡の確認できる資料が出土している遺跡は、全国でも3例しかなく、今回の西吉見条里遺跡で4例目となります。しかも古代の遺跡では2例目という非常に貴重な発見となりました。
※漆採取の痕跡が確認できる資料が出土した全国の遺跡
(1)東京都東村山市下宅部遺跡(縄文時代)
(2)石川県かほく市指江B遺跡(古代)
(3)富山県小矢部市桜町遺跡(近世)
(4)埼玉県比企郡吉見町西吉見条里遺跡(古代)

※この(1)の下宅部遺跡の縄文時代の漆採取あとの出土品は、発表から間もない頃に、松本と見に行ってます。今回の吉見町の出土品も、下宅部遺跡の調査員さんが東京の作品展に来てくれて、その時に「ぜひ」と教えてくれたので、今回予定を調整して埼玉に行くことにしたのでした。


このウルシの木は7世紀後半の遺跡から「杭」として使われていたもの。
300本というたくさんの「杭」が出土した中、念のため樹種鑑定してみたところ、うち5本がウルシ材と言うことが判明したんだそうです。
さらにその5本のうち、3本が「漆樹液を採取したらしい傷あと」が確認されたのでした。

吉見町の古墳時代のうるし掻きあと
うち、2本は保存処理済みということで
手に取って見せていただきました。


以下、続々といろんな角度で撮った写真をアップします。

バッド(下向き矢印)クリックで拡大します。(以下同)
吉見町から出土したうるしかきあとの残る杭
ウルシの木の皮は柔らかいので無くなっています。

吉見町から出土したうるしかきあとの残る杭
奥の材と、色が違うのは保存処理の違いだそうです。(奥のはもろいので、触れません)
でも、この黄色っぽい色が生々しくってリアルです。実際のウルシの材もこれにかなり近い色をしているんですよ。
吉見町から出土したうるしかきあとの残る杭
これらの古代の人が漆を採った仕事の痕跡を見て、松本は「すごい技術だ、今とほとんど変らない」と驚きを隠せませんでした。
キズがややらせん状になっているのは、採った人のクセかもしくはその土地のやり方ではないかと。
調査員さんも、興味津々です。
漆かきについていろいろ情報交換をして、男性どうし、いろいろやりとりが楽しそうでした。

(↓こんな感じです)
「あと、漆採取の道具とか見つかればねえ」
「ほんと、ほんと」
「漆を使える人って、当時もすごく限られていたはずなんですよ。だからそんな仕事をしていた跡地でも見つかれば」
「本当に、相当早い時期から技術が完成されていたみたいですね」

吉見町から出土したうるしかきあとの残る杭
「杭」に加工されているので、こちら側は
削って加工されています。

もともと、これらの「杭」は、古代道路造成にともなって(当時、たいへん規模の大きい道路が造られていたのです)地盤改良のために、打ち込まれていたものだそうです。
大きな工事に大量の杭が必要になったので、漆を採ったあとの廃材をリサイクルしたのでしょうか。

吉見町から出土したうるしかきあとの残る杭
吉見町から出土したうるしかきあとの残る杭

今までこのような角度で検査したことがなかったそうなのですが、確認してみたら近辺でも同様のウルシ材が出土しているんだそうです。(こういったことはよく聞きます。あまりにも膨大な出土品の数々を細かく精査するのは限界があって、中には見逃してしまうものもあるかもしれないんだそうです。←でも、人の手と目でするものなので仕方ないですね。あせあせ(飛び散る汗) それが難しいところですが、こんな事例が出てくると、その視点で調査することができるので、今まで見逃されていたであろう出土品が確認されて、新事実が判明することもあるらしいです)

今回は、急に無理を言っておうかがいしたのにも関わらず、本当にありがとうございましたexclamation
短い時間でしたが、とても有意義なものを見せていただきました。^^

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さて、話はがらりと変りますが…。

バッド(下向き矢印) 埋蔵文化財センターの施設内に「勾玉つくり体験」のコースがあります。子供向きの教室なのですが、せっかくなので二人で体験させていただくことにしました。
6/27勾玉を削る松本
…松本は夢中でけずってます。笑
ストレスが溜まっていたらしいです。

コースの内容は、好きなロウ石の角材(いろんな色があるんです)を選んで、勾玉の型紙を当てて下書きの線を入れ、それに合わせてヤスリ等で削っていくんです。
これは子供にはけっこう難しい作業ですねえ。あせあせ(飛び散る汗)
(特に勾玉って立体に削り出すのには、かなり難しい形だと思います、体験コースではモース硬度1のロウ石ですが、硬いヒスイや水晶を古代の人たちはどんな道具で美しい勾玉に加工していたんでしょう?)

6/27作った勾玉
できました! 左が松本、右が私です。
好みの色の紐でペンダントにしてくれました。


実は、この体験コースで「琥珀の勾玉作り」というものもありまして…。
それも二人とも参加していたのですが、夢中になりすぎて、びっくりするような時間になっていましたexclamation 
で、私は材料だけ持ち帰らせてもらいました。(松本は手が早いので、調子にのって?琥珀の勾玉も完成させましたよ… おかげで帰りの新幹線はギリギリでした)

そんなこんなで、東京〜埼玉と、珍しくハシゴして貴重な体験をしました。
それにしても、漆って、本当に不思議ですねえ。
昔の人たちに恥じないような仕事をしたい、と思いました。



posted by 宮崎佐和子 at 23:37| Comment(4) | TrackBack(0) |   漆の出土品について

2008年06月26日

■和うるし作品「お気軽デザートセット」

お気軽デザートセット
「お気軽デザートセット」2008年6月制作 
(クリックで拡大します)

<デザートセット・カップ>
木地固め/2005年 岩手県 大森俊三の枝漆 (精製)
すり漆(5回)/2005年 岩手県 大森俊三の枝漆 (精製)
 2006年 岩手県 大森清太郎・貴太郎の盛漆 (生)
銀 彩/2007年 岩手県 大森貴太郎の盛漆 (生)
上塗り/2004年 岩手県 大森俊三の盛漆 (精製)
木 地/トチ 無垢材ろくろ削り出し

<デザートセット・スプーン>
木地固め/2006年 岩手県 大森清太郎・貴太郎の盛漆 (生)
すり漆(5回)/2007年 岩手県 大森清太郎の盛漆 (生)
 2006年 岩手県 大森清太郎・貴太郎の盛漆 (生)
中塗り/2006年 岩手県 大森俊三の末漆 (精製)
    2006年 岩手県 大森俊三の裏目漆 (精製)
銀 彩/2007年 岩手県 大森貴太郎の盛漆 (生)
上塗り/2004年 岩手県 大森俊三の盛漆 (精製)
木 地/トチ  無垢材 手削り


好評の漆のフリーカップ&スプーンの2個組を、保多織さんであつらえていただいた袋に入れて、持ち運びができるようにしたセットものです。

お気軽デザートセット
カップの内外にはもちろん、スプーンにも
可愛らしい梅紋を銀彩で描いています。

お気軽デザートセット
カップは重ねて、袋におさまります。


あえて、持ち運びはしなくても、こんな袋に入れて器の組み物を収納していれば、いざ使うときも、きっとわくわく楽しいのではないでしょうか?
名前は『デザートセット』にしていますが、スープをいただいたりとお使いになる方によって、いろんな使い方ができることと思います。^^

お気軽デザートセット
ちゃんとスプーン入れの袋も
同じ布に包むことができるんですよ。



バッド(下向き矢印) さて、これはちょっとした『おまけ』ですが…。
お気軽デザートセット
保多織の袋には、小さな漆のブローチを付けています。


少しまでは、お椀単品とかやたらいっぱい作っていて「組み合わせて使う」という楽しさをあまり考えていませんでした。
でも「こんな場面でつかったら…?」と一度考えるととても楽しくて。
まだまだ研究中ですが、こんな遊び心のあるうつわたちを増やしていきたいなあ、と思っています。ムード



posted by 宮崎佐和子 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ■ 和うるしの作品

2008年06月25日

■漆のいろんな葉っぱ。

さて、1週間以上も工房を開けていたのですが、昨晩にやっと戻りました。^^
家の中も何ごともなく、良かったです。(厳密には『何もなかった』わけではないのですが… 家に入った瞬間、空気の悪さにびっくり。すごく湿気ていたらしく保存野菜がカビていました…あせあせ(飛び散る汗)

バッド(下向き矢印) 庭の漆の木も大きくなった気がします。
6/25庭の漆の木
(クリックで拡大します)
ちらほら、黄色い葉っぱが混じってます。


木たちは、本当にのびのびいきいきつやつやしていますexclamation うらやましいくらいです。
昨年、一昨年はへんなお天気が続いて、木も元気がなくってあまりきれいでなかったのですが、今年は『これが同じ漆の木?』と疑ってしまうくらい、良好です。
ほんとうに、環境って大事ですねえ…。
木は、動けないから特にそうなのかもしれません。

バッド(下向き矢印)伸び悩みぎみだった、年長の木の枝もよく伸びていました。(クリックで拡大します)
6/25漆の枝の伸びぐあい
工房立ち上げ時期に植えた、7才くらいの年長さん(阿波うるし)です。庭の土も痩せているし、大きくなって土地がせまくなり隣りの木と近づきすぎたので、もう伸び悩みだと思ったのですが…。(渇水の年には1年で数センチしか伸びなかったことも)
今年は、みずみずしく伸びています。

この子たちは、漆掻きをする目的で植えているわけではないんですが…それでも、いきいきとしてる姿を見るのはなごまされます。^^

バッド(下向き矢印)こんな黄葉した葉っぱも出てきました。
6/25黄色くなった葉っぱ
クリックで拡大します。

この『黄色い葉っぱ』は、この年の木が、成熟してきた証しなんです。いよいよ今年の盛りを迎えてきているんですね。


…さて、この漆の葉っぱさんたちですが…。
この黄色い葉のほかに、ちょっと雰囲気の違う葉っぱがいろいろあることに気づきます。
例えば…

バッド(下向き矢印)なぜかすごくツヤツヤの葉っぱ。
6/25つやつやの葉っぱ
この子は、浄法寺の実生の木なんですが…。
『あれ?こんなだっけ?』と思うような、濃い緑のぴかぴかした葉っぱになっていました。
漆の葉っぱ、というよりも、見ようによってはカキの葉かツバキの葉に見えちゃうかも。

バッド(下向き矢印)そして、マットな葉っぱ。
6/25 マットな葉っぱ
これは、新しく出てきた葉っぱです。

漆の葉っぱは壮年期を迎えると、水っけのない、かさかさごわごわした硬い和紙のような手触りになります。
今までは結構早い時期にそんな葉っぱになっていたんですが、今年はまだみずみずしいです。
香川県は、全国的にも雨の少ない土地なので、降水の少ないあまり今まではカサカサ期が来るのが早かっただけのような気もしてきました。あせあせ(飛び散る汗)
(今年は、けっこう雨がゆるゆる続いています)

工房の立ち上げから数年間は、ずっと忙しくて木をゆっくり観察する余裕がなかったのですが、ここ2〜3年は日記をつけている事もあってなるべくよく見ていると思います。
けっこう、あっという間に大きくなった漆の木ですが、もっと小さい時は気づかないだけでいろいろささやかな変化があったんだと思います。



さて、工房のネコさんも日常に戻っています。
6/25むぎ君
玄関の床でくつろぐむぎ君です。



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posted by 宮崎佐和子 at 23:59| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ ウルシの木の記録

2008年06月24日

■「吉見百穴」に行ってきました。

作品展の終わった翌日の24日は、すぐに香川県に戻らず、埼玉県まで足をのばしていました。
行ったのは、埼玉県比企郡吉見町。
東京から電車で1時間くらいの、のどかな風景の町です。

バッド(下向き矢印) 吉見町名物、吉見百穴の前で。6/24 百穴
どきっとするような、奇岩がそびえていますexclamation
6世紀末〜7世紀末に造られた横穴墓だそうで(遺跡なんですね)、まだ解明されていない謎の部分の多い、神秘的な文化財です。
戦時中は、地下軍需工場がつくられていたそうです。その跡地だという穴の中に入りましたが、ひんやりとした固い空気が重々しくてなぜだか緊張してしまいました。あせあせ(飛び散る汗)
(あのヒカリゴケも自生しているんだそうで…)


さて、今回この地に寄ったのは、実は他に目的があるんです。
私たちに関係のある、とっても興味深いものを見て来ました〜。^^

詳しくは、後日ご紹介したいと思います。

posted by 宮崎佐和子 at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) |   展覧会鑑賞・イベント参加

2008年06月23日

■作品展、ぶじ終わりました。

6月17日から始まった、三越日本橋本店での作品展、本日やっと終了しました。1週間、お世話になりました。

とにかく、本当にたくさんの方に見ていただきました。
最終日ということで、再度足を運んでくださった方も何人かいらっしゃいましたし、お仕事がら月曜しかお時間がなかったという方も駆け込んでくださいました。本当にありがたい限りです。

それから、美味しいものもいろいろいただきました!
お菓子、ケーキ、きれいなジャム、お茶、可愛らしいビワの実などなど、とっても嬉しかったです。(もうすでに胃袋の中に入ったものも…あせあせ(飛び散る汗)
本当にありがとうございました。

6/23三越会場
最終日の会場です。
すっかり展示物が減ってしまいました。


今回は、東京という場所柄も手伝ってか「漆といえばあの方」というような輪島の作家さんに、恐れ多くもお会いすることができました。(桐本泰一さん、角有伊さんです。ちょっと緊張…)
両肩に多くのものが乗ってらっしゃるにもかかわらず、それをみじんも感じさせないにこやかな方たちでした。、第一線で奮闘されている方の姿勢は、本当に励みになりました。


…さて、一仕事終わったとなると、とたんに工房で残してきた仕事やネコたちが気になります。納品がせまっている仕事もありますし、今回もいろいろご注文いただいているので、そちらの手配もさっそくしないと…。
(ネコさんたちは、3匹仲良く??同じ部屋で過ごしているそうです。預かっている両親の話によると、ライバルむぎ君とうり坊の積年の確執も緩和されたらしいです、にわかに信じられませんが…)
うんと作品も減ってしまったので、秋に向けての作品づくりもそうそうに開始したいと思います。^^

1週間、本当にありがとうございました。


posted by 宮崎佐和子 at 23:54| Comment(8) | TrackBack(0) |   作品展の様子

2008年06月22日

■本間さんの浄法寺の漆かきだより2

最近の浄法寺の様子ですが、雨があまり降らず(降ったとしてもぱらぱらと小雨程度)本間さんも休みなしに山で研鑽しているそうです。
(雨が降ると漆かきができないので休みになる)
「ほんと、ハードな仕事っすよexclamationと屈託なく本間さんは話してくれます。

バッド(下向き矢印)本間さんの3辺目の傷です。
6/21
3辺目です。 なかなかカンナが思うように使えなくて苦戦中です。厳しいたたかいになりそうです。<6/20 本間さん>


そして、今日からいよいよ4辺目に入るんだそうです。
…そろそろ、漆樹液(初漆)が採れるころですね。(最初の傷で出る汁は、漆になりきっていないので出ても取らないものなんです)

さて、本間さんの毎日の様子を聞きました。

本間さんの受け持つ漆の木は約200本。(うち150本が保存会の支給林、50本が本間さん個人で用意した木)
朝、6時半〜7時頃に家を出て、師匠の佐藤春雄さんの家に行ってその日の予定を報告し、車で30〜40分かけて漆の木のある一戸市へ。
そして、その日の計画にのっとって山でもくもくと傷を付けます。最初の2週間は、佐藤さんと一緒に仕事をしていましたが、あらかた一人でできるようになると、ほぼひとりで過ごしているとか。(新しいステップに移る時は、また佐藤さんと一緒にやっていろいろ教えてもらうそうです)

そんな本間さん、今の仕事でむつかしいことは?と聞くと…。
「辺の長さ(傷の長さ)を決めるのがむつかしい」んだそうです。経験が少ないので、仕事の全体像がうまくつかめなくて「これくらいかな??」と悩みながら傷をかさねているんだとか。(前の傷の上部に、新しくさらに少し長い傷をつけて重ねていくが、その傷の形や形状にも意味があり、出てくる漆樹液の品質に大きく影響する)


それにしても、山の仕事って疲れます。あせあせ(飛び散る汗)
(私も漆かきを体験しているのでよく分かります…)
※山の中は時々ハプニング?もあって、本間さんも愛車(レガシィ)を漆林におっことしてしまい、なんとか引き上げてもらい無傷ですんだという事件もあったとか。(わ〜気を付けてくださいね。>_<)

どうして、漆かきのおじいちゃんたちは、あんなに軽々と山の中を駆け巡るんでしょうか…!?
本間さん、若者世代の代表としてうんとがんばってくださいexclamation

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posted by 宮崎佐和子 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) |   本間さん研修報告(2008年)

■東京展、明日最終日です。

1週間は本当に早いもので、明日、最終日を迎えます。
この土日は、またしてもたくさんの方がお越しくださいました。
本当にありがとうございます!
(この『和うるし日記』をごらんの方も、いらっしゃいました)大事な週末に、わざわざ足を運んでくださるなんて嬉しいことです。本当に、漆に感謝しないといけないですね。^^

最終日の月曜日は、平日なのでもうそんなに忙しくないと思います。
でも最後の日なので、大事に過ごしたいと思います。


posted by 宮崎佐和子 at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) |   作品展の様子

2008年06月21日

■岩手・宮城内陸地震。浄法寺は…?

6月1日に、漆かきの研修のために元気いっぱいで浄法寺入りした、本間健司さん。
あの衝撃の岩手・宮城内陸地震から今日で1週間。…はたして、浄法寺は、本間さんはぶじだったのでしょうか??

…無事でした。(ホッ)


バッド(下向き矢印)実は震災のあった6月14日のお昼前、本間さんからこんなものをもらっていました。
漆の畑
これがぼくの研修林です。高速道路のとなりで掻いてます。<6/14 本間さん>

…「漆畑の写真を撮る」って私と約束していたので、よりによって震災のあった日のお昼前に思い出して、林を撮っておくってくれたらしいのです。(本間さんの研修林が、八戸自動車道のフェンス横にある)
つまり、本間さんは朝早く山に出たきりで、その日の朝8時40分に同県内で大地震があったことにぜんぜん気付いていなかったのです。あせあせ(飛び散る汗)
(研修林わきの八戸自動車道に、やたら救急車やパトカーがけたたましく通過していたので『?なにかあったのかな』くらいは気付いていたけど、ぜんぜん揺れなかったとか)

岩手県は大きいので、県北の方(青森寄り)の方はまったく大丈夫だったみたいです。
…本当によかったです。
また、能登の震災も癒えないのに、輪島だけでなく浄法寺も…と思ったら本当にたまらないところでした。

しかし今回の震災は、「日本で無事なところはない」という思いを強くしました。多くの方が思わぬ被災に遭われて、お気の毒でした。御悔やみ申し上げます。

(本間さんの漆かき研修、続きます)

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posted by 宮崎佐和子 at 23:55| Comment(4) | TrackBack(0) |   本間さん研修報告(2008年)
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