昨日はこの秋一番の冷え込みでしたが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
実は昨晩、不思議な出来事がありました。

このキジトラ猫の
むぎ君(3才)なのですが…。

今から振り返ってもよく分からない、不思議な体験でした。
すごく冷えた夜で、むぎ君はいつものように、松本のおふとんに入って寝ていました。(松本は湯たんぽのようなむぎ君と一緒に寝るのが好きです)
人も猫もあったまって、私をはじめみんなスヤスヤ

と寝ていたのですが…。
夜中の三時、突然松本が、むぎの異変に気づいて飛び起きました。
「むぎ!むぎ!どうした?」
松本の尋常でない声で私も起きてしまいました。
「え…むぎがどうかした」
「むぎが、おかしい」むぎは、松本の枕元で寝ていました。
…が、様子がふつうでないのです。
「こいつ、からだがこんなに冷たかったか?」
「え…」
触ると、むぎの身体がしんと冷たくなっています。
しかも枕元でうずくまるその姿は、生きたツヤツヤした猫の姿ではなく、生気のないけば立った毛のかたまりでした。
それを見て、ゾッとしました。
それは以前、見たことのある姿でした。
ミルミルの死んだ兄猫が道路に横たわっていた姿とそっくりで、いつものまるまるとしたむぎの身体がしぼんで見え、ぐったりと身を置いているのです。
「むぎ、むぎ」と一生懸命呼ぶと、むぎは生きていて少し目をあけましたが、やはり普通の様子ではなくもう少しも動きたくないといった風情でした。
犬でも猫でも小鳥でも、生き物の臨終を見たことのある人なら分かるかと思いますが、もうほとんど魂が抜けかけているような、戦うのをすっかり諦めて来るべき時を静かに待つ姿のように見えました。
そんなむぎの体は、不思議なくらいしぼんで小さくなっていました。
どうしよう、と思いましたが、時刻は深夜の3時。
人間なら救急車を呼びたいところですが、ペットはどうしようもありません。
「もう、朝まで持たないかもしれないな」
「でもどうして、元気だったのに…」
むぎが死ぬ、このままでは死んでしまうと心がざわめいてドキドキするのですが、何もできません。
しかたないのです。
むぎとお別れです。
むぎは、ミルの死んだ兄猫の代わりに私が探して連れてきた猫でした。同じトラネコというだけで、ミルの兄猫とはぜんぜん違う猫でしたが、すぐにミルと仲良くなり可愛がられるようになりました。
「…うちに来てくれて、ありがとう、むぎ」
松本と私はすっかりあきらめて、突然来てしまったむぎの最後を、どう楽に迎えさせてやるかだけを考えていました。
…とそこへ‥。
ストーブの横で寝ていたうり坊がむずむずと起きてきて、何やら騒がしくなった私たちとむぎのいる部屋に「うあ〜〜(なになに?)

」と叫んでダッと飛び込んできました。
そのうり坊のKYぶりに、私はドキッ。
あわてて「うり坊、お前はあっちに行っておいで」とうり坊を部屋から閉め出しました。
その時、さっきまで力なかったむぎの目玉がカッと開きました。うり坊が近づくのが嫌だったのです。
「ーお前、最後までうり坊を許さんかったなあ‥」
そんなむぎを見て、松本はあきれたような残念なような言葉をぽつりと漏らしました。
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‥さて、むぎはどうなったかというと‥。
工房のネコは3匹から2匹になったかというと、幸いながらそうはなりませんでした。
むぎはその後、みるみる気力を取り戻し、
朝日が出る頃には普通になっていました。
あれ? じゃあいったいあれは‥!?
でも朝日の中のむぎは、やっぱりいつもよりしぼんで見えるし、間違いなく松本も私も、瀕死になったむぎの姿を見たのです。
このままにはしておけません。
原因究明のために、いやがるむぎを連れて行きつけの獣医さんに行って診ていただきました。
その結果‥。
どこも異常なし、なんです。
血液検査もしていただきました。


むぎは尿石症(ストラバイト)の病歴があって、私もてっきり腎臓かもしくは肝臓の障害かと思ったんですが、おしっこも溜まっていないし、腎臓の数値は高いもののそんなに症状が出るほどではないとのことでした。
一度も調べたことがなかったので、猫エイズや白血病も心配だったのですが、どっちにも感染していないそうです。(ほっ)
結局は原因不明で、獣医さんも思い当たらないとのことでしたが、むぎの血液が少々粘っこかったのを気にされてました。(ドロドロ血液ですか;)でも、むぎは3才で若いし、この程度ではなんとも‥と。
しかし、やっぱり原因不明の突然死はときどきあるそうで、気をつけてみてあげてくださいと言われました。
そして、むぎの体重が
6.78キロもあったのを、これを機会にとたっぷり先生に怒られて(いつものことですが

)この不可解な事件?は、一応終息したのでした。

今日のむぎ君です。元気でした。

庭で摘んできた草を食べています。
これからダイエットします。
うり坊が来て以来、3匹それぞれの食事の量の調節ができなくなり、仕事が忙しくなったのを理由に細かいことをしなくなっていました。
反省です。
それにしても、世の親御さんはたいへんです。
松本も私も三人兄弟ですが、仕事が忙しいと両親はなかなか子供の面倒を細かく見るのが大変だったと思います。
そして三人のうちどの子かが病気になると「どうしてちゃんと見てやらなかったのだろう」と気をもんだのでしょうね。

とにかく、むぎ君は短命の気があるかもしれません。
マヌケな顔を見ていると、にわかに信じられませんが‥
突然頓死のパターンも考えられるので、その時は覚悟しておこうと思いました。