2009年01月30日

■「日本産漆(国産漆)」というタブー。

国産漆だけの漆工房「和うるし工房あい」を立ち上げたのは、2001年の春になります。
なんやかんやで今年の春で9年目になるわけですね… 本当に「今までよくやってこれたものだなあ」と我ながらびっくりしつつも驚いてしまいました。

1/30漆の発芽
工房立ち上げ時の時に、松本が撮った漆の芽の写真。
工房の庭で、初めて発芽させたものです。


国産漆、つまり「日本産の漆」は漆の世界では異質で奇妙な存在です。言葉を変えれば「タブー」的な存在になっている、といっていいでしょうか。
すごく不思議でしょう? でもそうなんです…。
きっと一般の方は「えっ、どうしてなの?」と意外に思われることでしょう。
でも本当なのです。
この「タブー」という言葉、何げなく辞書で見てみたのですが、あれっと思わず見入ってしまいました。

タブー【taboo/tabu】
《(ポリネシア)tapu(はっきり印をつけられた、の意)から》
1 聖と俗、清浄と不浄、異常と正常とを区別し、両者の接近・接触を禁止し、これを犯すと超自然的制裁が加えられるとする観念・風習。また、禁止された事物や言動。未開社会に広くみられる。禁忌。禁制。「宗教上の―を犯す」
2 ある集団の中で、言ったり、したりしてはならないこと。法度(はっと)。「彼にはその話は―だ」


思わずハッとする内容に見えました。
そして「そうか、日本産漆って本当に『タブー』だったんだ…」と、今さらながら考え込んじゃいました。

お客様にとっては、決してタブーには感じないと思います。
しかし漆を使う世界では、日本の漆は忌み嫌われているやっかいな存在、と言っても過言ではないでしょう。
なのにその反面、日本の漆は憧れの存在だったりするんです。なんだかとっても矛盾しているでしょう?
話せば長いことながら、近世の歴史の流れで、こんな状況になってしまいました。
そして日本の漆は、今なお神秘のベールに包まれたままになっています。その素顔を知ろうとする人はまだまだ数少ないです。
そんな中、うちの工房は、その神聖な?「タブー」を平気でやぶっているとも言えるわけで…たらーっ(汗) 本当に若さの勢いで、怖いものなしでやってきたもんだなあ〜と、今さらながらドキリとしてたりします。
でも、その姿を偏見なく正しく正面から見すえれば、日本産漆は乗り越えてあえて近づきたい!と思うほど、たいへん魅力的な素材だったのです。
その真の姿を人々に見られることなく、日本から消えてしまうのはあまりにも惜しい…と素直に思って、いまの仕事の形をとることとなりました。

そういえば、ネットで検索すると「国産漆で作りました」とコピーのついた商品の多いこと多いこと。また、そこまで言い切っていなくとも「ぜんぶ国産の素材でできているんだ」と、ごらんになった方が誤解するような説明のものもいっぱいあります。
国産漆の内情を知っている私たちは「あ、またあるね〜」と思うだけですが…。(量産品は、国産どころか天然の漆を使われていること自体が少ないんです)よく分からないふつうのお客様は、きっとよい方に信じてしまうだろうなって思います。
そんなページは辛くなるので、なるべく見ないようにしているのですが、こういったものも、日本産漆の真の姿をより分かりにくく、さらに厚いベールをかけているんだなあ…とちょっとさみしく思ったりしています。

うちは本当に小さな漆工房ですが、漆を愛するお客様と仕事を支えてくれる方々のおかげで、やってこれました。
早いもので1月ももう終りますが、今年は工房にとってちょっと節目の年になりそうな気がします。
あらためてになりますが、今後ともよろしくお願いいたしますね。^^

MUGI
今日もダイエット続行中の、むぎ君です。
この子のぜい肉も漆でできてるんですね…。
本当にありがたいことです。;;



posted by 宮崎佐和子 at 23:12| Comment(10) | TrackBack(17) |   思うこと
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