2009年05月09日

■最近の工房の様子です。

OMエコショップすがさんにアップした*和うるしの器 ≪Special Gallery≫ですが、フリーカップ類は売り切れになったそうです。ご購入くださったお客さま、本当にありがとうございます!
フリーカップはまた納品予定ですので、お待ちの方は楽しみにしてくださいね。^^

さて、最近している仕事ですが、私は指物の重箱類の下地作業をしています。木地は、去年頼んで出来ていたんですが、木地固めのまま置いていたものです。
今年の秋〜年末に向けての仕込みになります。

バッド(下向き矢印)これは八角形の三段重箱。
重箱の木地
…蓋は現在、木地を新しく作り直し中です。
なぜ「作り直し」かというと、もちろん最初に本体と一緒に作っていたんですが、しばらく経つと木地が反ってしまったんですね。;; (合板でなく無垢材なので、いっそう反りやすいのです)
実は、蓋付で同時期に作った木地で完成させた重箱もいくつかあったのですが、数回会場に出しただけで引っ込めてしまいました。ふらふら
ふだん気づかないんですが、デパートさんなどの建物の中は非常に乾燥しています。こうした器物にとっては厳しい環境といえます。
木地に含まれるわずかな水分が抜けて影響を受けるのは、木材を素材としたものの宿命なのですが、特にこんな箱類はシビアです。
ただ幸いにもお客さまに関しては、この指物類のものは、納品が先の別注文のものだけだったので、ほんとに良かったです…。

重箱の木地
こうした指物木地は、木地調整やつくろいに時間がかかります。;;
「指物」は、糊漆を使って、文字通り「板で箱を組む」木地なのです。精巧に組んでも、木地には小さな隙き間ができやすいので、それを漆でキチッと埋めていきます。

重箱の木地
あと、箱の内側の角は、さび漆で埋めて丸くしていくのも大事な仕事。ささいな事柄を細かく指摘することを「重箱の隅をつつく」といいますよね? 意味合いは違うのですが、作業の感覚的にはなにやら近いものがあります。(笑)

ここまでの写真は、小さいデジカメで撮りました。…やっぱり画質がぜんぜんだめだなあ。で、以下は、一瞬稼働したデジ一眼で撮った写真です。

バッド(下向き矢印)上塗りが終わったスプーン類やお箸。
5/9箸スプーン
もうほとんど乾いているのですが、新しい塗膜が十分固くなるまで、湿しの強い漆室に入れています。
塗り肌がしっかりしたら、つく棒をはずしで、お尻を塗る作業をするのです。

バッド(下向き矢印)こちらはフリーカップたちです。
5/9フリーカップの山
…今年の後半に向けて、たくさん作っています。
一段に約20個乗っていて、それが10段ありますから約200個ものフリーカップが積み上げられたタワーになりますね。あせあせ(飛び散る汗)
もちろん、完成品ではなくって、下地であるすり漆の途中なんですよ。


* * * * * * * *

さて、最近おいしいものを贈っていただくことが多いです。本当にありがとうございます。ああだこうだとわいわい話しながら、皆で一緒に美味しくいただいていますよ。ムード

パン
これは、とある方が段ボールいっぱいに入って送ってくださった、神奈川県伊勢原市のブノワトンさんのパンです。お店のコンセプトがうちの工房にそっくりなので、目が離せません。


posted by 宮崎佐和子 at 21:34| Comment(0) | TrackBack(0) | ■ 工房の仕事

2009年05月08日

■神奈川県での作品展のお知らせ。

以前からお知らせしていました、伊勢丹相模原店さん(神奈川県)での催事について、ご紹介をします。

鎬フリーカップとスプーン

和うるし工房特集
会期/5月13日〜26日
会場/伊勢丹 相模原店 本館5階 


****************************************

今回は、珍しく?作品だけの催事となります。
(会場に作家はおりません)
フリーカップ数種類、大常椀、小常椀、孫椀、飯椀、浄法寺椀、粥椀、スプーン数種類 等が並びます。
全部で35点ほどだけの、小規模の展示となりますが…。
いつもと違って、会期が2週間あります。なかなか和うるしの器を間近で見る機会のなかった方、お近くの方、ぜひごらんになってくださいね。^^
展示作品について、ご質問等がありましたら、遠慮なくお問合せくださいますとうれしく思います。

posted by 宮崎佐和子 at 21:44| Comment(0) | TrackBack(0) | ■ お知らせ

2009年05月07日

■漆刷毛を作っています。2

こんにちは、弟子の芝吹です。
前回の刷毛の続きです。

切断した刷毛の周りの木を剥いでいるので、新たに板を貼付けます。板はへらを作る用の檜の板を使用しました。半通し(刷毛の半分まで毛が入っている)に作り変えるので、刷毛の後ろに注ぐ部分も同じ板を削って作りました。

バッド(下向き矢印)接着前の様子

5いた.jpg



刷毛に檜を使用する理由を尋ねた所、「檜でなければならない理由は特に見当たらない。昔は目の通った良い材が手に入ったし、柔らかく加工しやすく見た目もきれいな白木なので、使っていたのだろう。」ということで、後ろの継ぐ部分を漆の木にしたものも作りました。側面は檜です。

6漆板.jpg


2寸程の大きな刷毛から6本とりました。
これを麦漆で接着しました。麦漆は、小麦粉と漆とこくそ綿という繊維くず綿を混ぜて、ペースト状にした接着剤です。厚みを持って乾くので、多少の隙間も埋まります。

バッド(下向き矢印)貼り付け面両面に塗り、貼付けたらしっかり固定します。

7貼付け.jpg

麦漆は乾くのに時間がかかるので、このまま1ヶ月程おいておきます。


乾いた後に、持ち手に摺りをしたり、布を貼ったり、刷毛の毛を切り出して糊をほぐしたり、と使えるようになるまでにはまだかかりそうですあせあせ(飛び散る汗)
ありがとうございました。

* * * * * * * *

宮崎です。
2寸幅の全通し刷毛が、6本の半通し刷毛になりました。
この面倒くさい?作業の意味はと言うと…。
漆刷毛を使うには「手で持つ部分」が必要です。「全通しの刷毛」は、刷毛の毛が頭からお尻まで入っていても、お尻の部分は持ち手になってしまってフルに使えないことになります。
そこで、このような「半通し刷毛」といって、半分は木材で延長する刷毛に作り直してしまうのです。(最初から『半通し刷毛』として作っているものもあります)
こうすると、高価な毛の部分を活かして長い間刷毛を使えます。彼女は、こうして古くて大きい刷毛を、自分の使いやすいサイズの刷毛にカスタマイズしているんですね。^^
使っていくと、刷毛の穂先は消耗するので、タイミングを見て新しく穂先を自分で切り出していきます。

私も、漆芸研究所で刷毛を割って作り直す作業をしましたが… 作業がいっぱいあって、やっと完成した時は嬉しかったなあ。
また、そんなところまで、見てくださると幸いです。ムード


posted by 宮崎佐和子 at 21:43| Comment(0) | TrackBack(0) |   弟子の日記

2009年05月06日

■漆刷毛を作っています。

こんにちは、弟子の芝吹です。
刷毛を作っています。作るといっても、大きな刷毛を切断して小さいのに作り替えるのです。


2寸程の幅の本通し(上から下まで毛が入っている)を横に3分割して、それを縦に3分割して、更に剥いで2枚にして一つ一つ半通し(半分まで毛が入っている)にする予定です。

1はけ.jpg


まず、側面を鉋で滑らかにします。
バッド(下向き矢印)鉋当てた後。

2側面.jpg


鉋の刃はほんの少しだけ出して薄めに削れるように設定します。人毛の逆目に気をつけて、滑らかになる方で整えます。削るときに揺らぐと滑らかにならないので、揺らがないように面をしっかり当てておきました。


バッド(下向き矢印)次に、カッターで剥ぎやすいように布の貼ってある側面の板をのみで剥ぎました。

3板はぎ.jpg



バッド(下向き矢印)カッターで半分に割りました。、、、失敗ですがく〜(落胆した顔) 人毛がぼそぼそになりました。

4はぐ.jpg

刷毛自体の糊の効きがあまく、剥ぐには向いていないようで、剥がずに進めることにしました。


今回使用した刷毛は松本さんのお父さんの購入したものだそうです。息子が使って更には赤の他人の弟子が使うことになるなんて、不思議なもんだなあと思いました。
次回も刷毛の様子です。ありがとうございました。

* * * * * * * *

宮崎です。
この刷毛は、当時、道具オタクだった松本の父が買い集めたものの一つで、幅2寸(約6センチ強)とやや幅広なので、座卓の塗り用として求めたのだと思います。(当時、香川県は漆の座卓の産出が日本一だった時期がありました)
漆刷毛は、毛が切れて漆液のなかにゴミとして混じらないよう、女性の髪の毛を一本まるまる途中で切ることなく、まっすぐ通したものを作ります。その髪の毛は糊漆でしっかり固めていて、刷毛の穂先を持ち主が仕事に合せて長さや角度が自由に砥石や刃物でキリッと作れるようになっています。
割ってみるとこの刷毛は糊漆があまかったんですが、残念ですね。
さてさて、この刷毛は、うつわや小物を作るには大きすぎるので、切ったり割ったりして色んな幅や厚みの刷毛を作ることにしたのですね。^^ (手間がかかるんですが、そんなことができます!)
また、経過をお報せしますので、どうぞ見てくださると幸いです。ムード


posted by 宮崎佐和子 at 20:01| Comment(2) | TrackBack(0) |   弟子の日記

2009年05月05日

■うなぎ椀をいただきました。

ゴールデンウィークももう後半ですね。^^
今日は珍しく三人でお仕事ではない外出をしました。もと塩田で栄えた町、宇多津町(工房のある善通寺市から車で20分)に店をかまえている、公楽さんという料亭さんにお昼をいただきに行きました。以前、友達に教えてもらったお店で、なかなかいい雰囲気なんですよ。
目的は「うなぎ椀」です。

バッド(下向き矢印)公楽さんの前で。宇多津町の古い町並みの中にあります。
5/5公楽
明治の終わり頃に建てられた建物を昭和21年に改築した料亭さんです。
お店の中はとても古いのですが、逆に今はそれが新鮮に感じます。分かりにくいところにあるのだけど、お客様が絶えないお店なんですよ。

バッド(下向き矢印)通していただいたのは、お茶室だったお部屋。
5/5公楽2

お部屋の真ん中に真っ赤な円卓があるのです。作った産地は分からなくいしすごくよいものでもないけどけど、これがなかなか讃岐っぽいというか… 愛着がわく円卓なんです。

5/5公楽3

さて、お目当ての「うなぎ椀」ですが…。
真っ赤な端反椀に盛られた、可愛らしいうなぎのお膳です。
「うなぎ?別に…」という、ウナギに対する態度がクールな松本も珍しくけっこう気に入っているんですよ。

さて、お店に着いた時点で、ウナギを焼きはじめてくださいました。

バッド(下向き矢印)まず最初にほかほかの鰻巻きが登場。
5/5うなぎ1

そして、お待ちかねの「うなぎ椀」です。
真っ赤な蓋付椀に入れられて出てきます。^^

5/5うなぎ2

バッド(下向き矢印)うなぎさんの登場です。ぴかぴか(新しい)
5/5うなぎ3

ね、もちろんうなぎが美味しそうだけど、赤いお椀に入っている景色がすごく可愛らしいと思いませんか? 
女性に人気のお膳なんだそうですけど、この赤いお椀のおかげもきっとあると思います。

5/5うなぎ4
うなぎのタレも甘すぎず、スッキリと美味しくいただきました。
お漬け物も変わってて(タケノコのたぶん浅漬け)これが良かったな。
このあと焙じ茶シャーベットが出て締めくくりです。

※うなぎ椀 2100円 予約制です。(20個限定)


お食事が終わったあと、しっかりウナギのお椀を検分して、こちらも楽しませていただきました。ムード

…実は「定額給付金」なるものを、うちにもいただいたのですが「何に使おう?」と話した結果、松本のぶんは「みんなでおいしいもん食べに行こう」ということになりまして…;; 外食はあまりしないんですが(うどん屋さんは外食に含まず)こういうことになったんですね。
でも3人で6千円ちょっとだから、あと1回行けますよexclamation&question


…さて、工房に帰る途中に見た光景です。

バッド(下向き矢印)えっびっくりがく〜(落胆した顔) 人気うどん屋おか泉さんに人だかりです。
5/5うどんやの行列
5/5うどんやの行列
警備員さんがお客さまを誘導しています。県外ナンバーの車が駐車場からはみ出して並んでいて、2車線の道路が3車線になっていますよ?
ほんと、香川では珍しい光景じゃないんですが、最近外出をしなかったんで新鮮に感じてしまいました。そうえいば、工房の近くの長田in香の香さんも、すごかったです。
ほんとうに世間はゴールデンウィークなんですね〜。


posted by 宮崎佐和子 at 22:12| Comment(0) | TrackBack(0) |   展覧会鑑賞・イベント参加

2009年05月04日

■ウルシの切り株から芽が出てきました。

ついにデジカメ(一眼レフ)がダメになったみたいです。ふらふら
シャッターがおりません… 液晶画面に「Error」の表示が出ますよ? わ、私のせいではないです〜〜。

しかたないので、小さいデジカメをシブシブ使っています。

バッド(下向き矢印)3月7日に切ったウルシの切り株から葉っぱが登場です。
3/7切った漆の木

3/7切った漆の木切った時は、こんな可哀相な状態でした。もう一本切った大きい木があるんですが、そっちはしーんとて異変がありません。
でも、こんなわき芽じゃなくて、ちゃんとしたひこばえでないと、二代目を継ぐのにふさわしいといえないそうで(松本談)、しばらく跡継ぎのひこばえちゃんを待つ日々です。

さて、ずっと晴天続きですが、今日の午後から空模様が変わってきまして湿気もでてきたように思います。
そろそろ今年の梅雨はどうなのかという心配もでてきます。(少雨国ですから)最近雨が降らないから、ひこばえがまだなのかな?
それはともかく、常に気候や季節は気になっています。
そして、先日までかなりの強い風が吹き荒れていたので、ウルシの若葉がどうか気になったのですが、やっぱりいくらか傷んでしました。

バッド(下向き矢印)風にもまれて傷んだ葉っぱ。黒くなってます。
5/4傷んだ葉っぱ
でも、例年よりかはましかな…。

で、高松の肥えた田んぼで3年間育てた阿波漆の苗(とはいっても3才以上)に、たっくさんつぼみがついているんです。

バッド(下向き矢印)苗木っぽくても、もう立派な大人なんですね。;;
5/4漆のつぼみ
もさもさとつぼみが出ています。
この緑色の小さなツブツブの房が、うるしのつぼみなんですよ。最初の新芽とともに出てきて、やがて白くて清楚な花が咲きます。ムード
たぶん、この子からも種がたくさん採れると思います。


…それにしても、一眼デジカメどうしよう?
と思っていじっていたら、いきなりふつうにシャッターが切れました。あれれ?治ったのかな。(←そんなわけはない)
とにかく調子は悪いです。もう油断できないですね。
小さいカメラでも一応撮れるんですが、やはりピントの位置が選べないし、画像の深度も違うので、一眼で撮りたい…。


バッド(下向き矢印)おまけ。ある日玄関に置かれていましたよ。
5/4カナヘビのシッポ
ひゃーーーがく〜(落胆した顔)カナヘビさんのシッポです。(しかも二本)
黒い奴のしわざなんですが、シッポの持ち主にはなんともお気の毒です。

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posted by 宮崎佐和子 at 22:30| Comment(3) | TrackBack(0) | ■ ウルシの木の記録

2009年05月03日

■香川県漆芸研究所について。3

…さて、最後になりました。あせあせ(飛び散る汗)
前回前々回の続きとして「香川県漆芸研究所で勉強してみたい」と思っている将来の後輩たちに、引き続き私見で恐縮ですが、私なりのアドバイスをさせていただきます。
今回のはたいへん重要だと思うことですので… 
ちょっと重い内容ですが(松本に『しょっぱい話やなあ〜』と言われてしまいました ;;)心して?参考にしてくだされば幸いです。ムード
↓以下、愛想ない文章になりますが、どんどんいきます。

* * * * * * * *

漆芸研究所に在所して勉強する3年間は、かなり特殊な環境での日々です。個性的だった人、将来のイメージがあった人もすっかり同じ「色」に一度染まってしまいます。
修了後もその気分をかなり引きずって、すっかり自分らしさを取り戻すのは数年かかりますし、一生そのまま…みたいな場合もあります。ちょっと語弊があるかもしれないけど一種の後遺症のようなもの、といったらわかりよいでしょうか。前回も書きましたが、これも一つの「縛り」でなかなか自由になれない人もいます。これがやっかいで、自分では気づかなかったりするのですね…。何年もたって、「あれがそうだったのかexclamation」と納得するほどだったりします。
また、漆芸研究所は非現実的な空間です。
心していないとこの空気に慣れてしまい、これも今後の「縛り」になり得ます。「ちゃんと稼がないと食べていけない」という当たり前のことは全く考えないことを前提としたうえで、理想の技術、非現実な世界の追求をする3年間です。この空気感に3年も浸っていると現実的な平衡感覚が失われてしまい、修了して社会に放り出されうまく生きていけないことにたいへん苦しんだり、自分が見えなくなって、長年さまよって青春時代の大事な数年間を損なったりする人をいろいろ見たりしました。これはかなり深刻だと思っています。女性なら迷いの時期が長くても人生の軌道修正はいくらでもできるのですが、男性の場合はやっかいです。その間、同世代の人が社会的地位を得てちゃんと家庭を持って人生の基礎を築いているのに自分はどんどん世間とずれてくるのです。
またその延長で「学生ジプシー」とでも表現したいような人たちも多く出てきます。社会に放り出される前に「学生」の立場をキープしたいのかな?「まだまだ技術を習得しないと不安だ」と大学→各地の研修所、研究所などを学生としてずっと渡り歩いてしまうのです。そうなると義務教育時代からずっと学生のままで40才近くになることも簡単で、これも社会と解離した人を生み出します。おそらく各地の公共の研修所の「授業料が無料」という設定が、そういったことをさらに容易にしている一因かもしれません。国が豊かで、親も健康でずっと学生の子供を養う財力があればこそですが、世も不安定になってくるし親御さんも年をとってくるでしょう。いざ「ふつうの仕事に就職したい」と思うようになっても、うまくいくといいのですが…。
当然ですが修了生のその後の人生まで漆芸研究所は面倒みてくれないのです。技術を学ぶところなんですから…。
めでたく研究生になると日々、課題に忙殺されますが、入所している少しでも早い時期に進路を決めて情報収集することを勧めます。安心して学生気分を満喫していると、すぐ修了→なんの準備もなく社会へ、というパターンになります。

また、ほかの留意点もあります。
講師の先生方と濃厚な時間を過ごすことになるので、その影響を強く受けます。卵から孵ったヒナが最初に見たものを親を思うようなものでしょうか。その講師の先生方が全員、現役の日本伝統工芸会の作家さんで授業の内容も日本伝統工芸会の内容のもの、となれば、ごく自然な感情として、修了後も「日本伝統工芸の作品を作らないと、教えて下さった先生方に悪い」と思ってしまいがちなのです。が、気にしなくていいのです。自分らしさを生かして生きて下さい。あとは個々の人生ですから…。
ちなみに、研修所の講師の先生方がとても人間的な魅力にあふれているのでつい憧れてしまうものなのですが、みんなが講師の先生方のような崇高な生活ができると思ってはいけないのです。せっせとものを作って売ったり足を棒のようにして営業に通ったりお客さまに一生懸命頭を下げているのではなく、先生として慕われ講師の収入を得たり公共事業の文化的な仕事を受けたりして生活ができるような、たいへん限られた環境の方たちです。先生方には、何十年も地道に積み重ねた下地があり、ふるいにかけられその結果今の地位につくことのできた選ばれた方なのです。そんなご苦労は生徒にみじんも見せませんが、その長年かけて形成した立派な表面だけを見て勘違いすると現実とのギャップに必ず行き詰まります。

また、意外と知られていませんが、漆芸研修所は漆器業界との関わりもほとんどないです。香川の漆器業界と作っているものとは全く違うし、(香川漆器として有名な後藤塗、象谷塗は学びません)いわゆる○○塗りといった産地のことはまったく学んだりはしません。通産省系統の内容はまず出てこないです。

* * * * * * * *

…ながながとなりましたが…どうぞ、ご参考に。
「行きたい!」と思っている方は、もう心が半分決まっていますから、上の内容を読んでもピンとこないかもしれませんね…。(でも修了したあとに読むとヒシヒシと分かります)
これから研修所に入る後輩たちは、自分をしっかり持ってほしいと切に願います。
いろいろ書いてしまって、中には辛口の部分もありますが、研究所を愛するがゆえにと思ってくださいね。あせあせ(飛び散る汗)
今でも、尊敬し感謝の念が絶えませんし、すばらしい学びの場所と思っています。あとは、入る生徒さんの心がけしだいだと思うのです。「自分探し」の場にすると、いっそう自分を見失います。
どのみち「漆」の道を選ぶだけで、イバラの道です。^^; (イメージとしては「絵描きになる!」と言うのと同じくらい?果てしないものです)もし自活を希望するなら、技術だけでなく経営感覚も資金も必要です。
後輩たちに幸多いことを願っています。

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※ちょっと思い出したことがあって追記です。
posted by 宮崎佐和子 at 19:19| Comment(4) | TrackBack(0) | ■ 香川県漆芸研究所について

2009年05月02日

■ついに和解!? むぎ君とうり坊。

昨日のことですが、工房のネコ歴史始まって以来の珍事がありましたよexclamation な、なんと犬猿の仲のむぎとうり坊が… 一緒に仲良く眠っているじゃないですか。
あわててこの歴史的瞬間をカメラにおさめました。ムード

バッド(下向き矢印)身体をくっつけて眠る二匹です。^^
5_2_mugiuri_1_.jpg
ふむふむ、よく寝入っていますな…。
5_2_mugiuri_2_.jpg
5_2_mugiuri_3_.jpg
じいっと見ている間にも、うり坊はグリグリと
顔をむぎ君のお尻に食い込ませていってます。



でも、オス同士のせいか、密着度は今ひとつです。なかなかこんなふうにはなりませんね〜。バッド(下向き矢印) 物足りないです。
2/18ねこ25/27ミルとうり坊
左、むぎ君とミルミル(♀)。右、うり坊とミルミル。マーブル状になっていますよ。ここまで密着してこそ、ネコの醍醐味があるというものです。

…でも、どうして仲が悪いむぎ君とうり坊が、こうして同じ場所で身体をくっつけて眠ることになったんでしょう? こうなった経過を見ていないのでとっても不思議なんです。

バッド(下向き矢印)ちょっと前までのむぎ君とうり坊の関係はこんな感じでした。
12/4むぎとうり坊
うり坊の方はそうでもないんですが、むぎ君は視界にうり坊が入るのもイヤという嫌いよう。引っ掻きあいの流血沙汰もありました。うり坊がこの工房にやってきた瞬間から、この男二匹の確執がスタートしていたんです。ふらふら

なので、この一件にはびっくりです。
いや、時間をかけて溶解する問題ってあるんですね〜。

…と思っていたら、眠っているむぎ君が「ううう…」と寝言を言っていましたよ。

バッド(下向き矢印)むぎ君の寝顔… 可愛くないです。
5_2_mugiuri_4_.jpg
白目をむいて(いや瞬膜なんですが;;)熟睡です。

ははあ、なるほど…
推察するに、むぎ君がここで爆睡中にうり坊がやってきて、ここに居座ってくっついて眠ってしまったのかもしれませんね。(うり坊はなんやかんやと言いつつも、むぎ君のことがけっこう好きです)
でも今は意識がないけど、むぎ君にとっては不可抗力な出来事なのかも…。

バッド(下向き矢印)そして、ついに目が覚めてしまったむぎ君。
5_2_mugiuri_5_.jpg
「えっなんで?」という顔をしますが…。
5_2_mugiuri_6_.jpg
「ま、いいか〜」と再び眠りに落ちて行きました。

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posted by 宮崎佐和子 at 23:01| Comment(6) | TrackBack(0) | ■ 工房のネコ

2009年05月01日

■香川県漆芸研究所について。2

さて、前回の続きです。
今年の4月から新規オープンした香川県漆芸研究所について、修了生としての立場から、後輩たちへのアドバイスを書きます。
あくまでも一私見としてですが、何か参考になれば幸いです。^^

●修了後の就職先、進路はどうしているのか。
こんなに恵まれた授業環境で、「漆」という特殊技術を身につけたら、きっと前途揚々じゃないのかしら?と夢見る人も多いと思いますが、実際はどうなのでしょう。
手っ取り早い例で恐縮ですが;;、松本と私のようなスタイルで仕事をしているのは、あらゆる意味でまれなケースじゃないかと思います。この「あらゆる意味」というのは、漆で自活しているということ、高級品とはいえ生活の器つくりをメインにしていること、日本産漆しか使わないということ、どれも含みます。
が、今回はこの情報を必要としているような人に特に関係ある話題に絞っていきますね。

香川県漆芸研究所の公式ホームページのQ&Aには「○修了者の職業は? 漆芸研究所ができて今年までの半世紀の間に約370人の修了生が出ていますが、漆芸作家の道に進んだ人が110人近く、漆器業界に入った人が150人近くになります。」と、参考になる文章をちゃんと入れて下さっています。
ただ、近年の状況、とはいっても私の在所中からここ最近までの知っている修了生の進路だけに限ってですが、若干印象が違うように思います。
まだ漆器産業が華やかだった当時は、漆器業界への就職もたいへん多かったはずですが、今はほどんどないと言ってもよいほど非常に少なくなってきているのではないでしょうか。
入所する研究生の中には、木工作家さんだったり伝統工芸師さんだったりはたまた由緒ある蒔絵師さんのおうちの息子さん娘さんもという方もけっこういらっしゃいます。そんな人たちは、研究所で習う香川三技法・蒟醤、存清、彫漆を修了後も続けるとは限らないのですが、しっかり研究所で勉強してそれを肥やしにして家の仕事を頼もしくやっていますよ。

そしてそんな看板は持っていなくても、個人で作家業をされている方は、わりといらっしゃいます。その大半は、年1回の日本伝統工芸展の出品作品を制作する作家さんです。出品作については厳しい審査があって、落選するともちろん工芸展には作品は展示されません。入選すると、その年度の日本伝統工芸展に作品が加わり、たいへん名誉なこととなります。そして、入選作品は各地の催事場や美術館をまわります。会場が美術館の場合はちょっと分からないのですが、会場が百貨店さんの場合は現場には表示されませんが、作品には価格が付けられます。作品をごらんになったお客様が買ってくださることもあります。
この日本伝統工芸展には、陶芸(第1部会)、染色(第2部会)、漆芸(第3部会)、金工(第4部会)、木竹工(第5部会)、人形(第6部会)、その他の工芸(第7部会)と七つのジャンルに分かれています。その各ジャンルの「ミニ伝統工芸展」ともいうべき 日本伝統漆芸展や、各地方の伝統工芸会で開催する日本伝統工芸近畿展(例)などがあって、そちらも合わせて出品作を作って出す方も多いです。もちろん、入選作は会場で売れることもあって、たいへんな励みになります。
日本伝統工芸以外の会派、例えば日展(日本美術展覧会)系の作家さんへの道を歩む方は、以前はいましたが今はほとんどいないと思います。
これは、漆芸研究所の講師に携わる先生方が全員、現在は日本伝統工芸の会員であるため、修了生もその影響を色濃く受けているのでしょう。(松本が研究生のことは、まだ日展系の非常勤講師の先生もいらしたそうです。その方が最後でした)
そのほか、弟子入りする人もけっこういたりします。
やはり今でも、お弟子さんにいくのは日本伝統工芸会の先生のところが多いのかな? どの系統にいくのであれ、どんな先生を師匠としてつくかで、その予後がずいぶん違ってきます。
もちろん、どの会派とかにも属さず、個性を生かして自分なりの作家活動をしている方もいらっしゃいますが、そういった人は今でもかなりの少数派ではないでしょうか。
作家業以外に、工芸関連の施設にまんまと?就職できる人もいますし、修復などにたずさわる人もごく少数ですがいたりしますよ。
残念ながら、研修所から就職先の斡旋とかはまず考えない方がいいでしょう。うまく就職できた方の大半は、自分で就職活動して探してきたところがほとんどだと思います。

* * * * * * * *

…さてさて。
正直言って、修了生で漆でちゃんと生計を立てている、つまり「漆で飯を食っている」という方はたいへん少ないです。
というよりそれ以前に「漆」を続けている方自体が少ないかも…。きっぱりと足を洗って?もっと安定した職業についたり、家庭に入ったりしている方のほうが多いように思います。
でもこれは、例えばデザイン学校に行った方たちが全員その道についたりすることはないように、当然といえば当然のことですね。あせあせ(飛び散る汗)
時間が経ってから自分の適性がわかったりすることもあるし、事情があって続けられないことがあるのもよくある話です。
また、日本伝統工芸展へ出品する作家さんになったとしても、生活はたいへんです。
何ヶ月も手塩にかけて作った出品作が入選するかは、当然ながら分かりません。また、入選して会場に並んだとしても必ず売れるとも限りません。いずれにしても収入面では大変厳しく長年続けるには、漆教室をしたり全く別の仕事やアルバイトをして収入を得たり家族に扶養してもらったりと、よほど裕福でないかぎり金銭面での苦労はかなりあると思います。
もちろん、どの会派にも属さない自由な作家さんになっても経済面は辛いです。仕事の運営センスがよりシビアに必要になるので、方向性をしっかり決めていないともっときついかもしれません。
いずれにせよ、それでもバイタリティーのある人は頑張って自分のカラーを出してたくましくやっていますよ。^^

さて、次の3回目で最後にしますが、一番カナメとなるお話をします。

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posted by 宮崎佐和子 at 20:54| Comment(9) | TrackBack(0) | ■ 香川県漆芸研究所について
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