フリーカップはまた納品予定ですので、お待ちの方は楽しみにしてくださいね。^^
さて、最近している仕事ですが、私は指物の重箱類の下地作業をしています。木地は、去年頼んで出来ていたんですが、木地固めのまま置いていたものです。
今年の秋〜年末に向けての仕込みになります。


…蓋は現在、木地を新しく作り直し中です。
なぜ「作り直し」かというと、もちろん最初に本体と一緒に作っていたんですが、しばらく経つと木地が反ってしまったんですね。;; (合板でなく無垢材なので、いっそう反りやすいのです)
実は、蓋付で同時期に作った木地で完成させた重箱もいくつかあったのですが、数回会場に出しただけで引っ込めてしまいました。

ふだん気づかないんですが、デパートさんなどの建物の中は非常に乾燥しています。こうした器物にとっては厳しい環境といえます。
木地に含まれるわずかな水分が抜けて影響を受けるのは、木材を素材としたものの宿命なのですが、特にこんな箱類はシビアです。
ただ幸いにもお客さまに関しては、この指物類のものは、納品が先の別注文のものだけだったので、ほんとに良かったです…。

こうした指物木地は、木地調整やつくろいに時間がかかります。;;
「指物」は、糊漆を使って、文字通り「板で箱を組む」木地なのです。精巧に組んでも、木地には小さな隙き間ができやすいので、それを漆でキチッと埋めていきます。

あと、箱の内側の角は、さび漆で埋めて丸くしていくのも大事な仕事。ささいな事柄を細かく指摘することを「重箱の隅をつつく」といいますよね? 意味合いは違うのですが、作業の感覚的にはなにやら近いものがあります。(笑)
ここまでの写真は、小さいデジカメで撮りました。…やっぱり画質がぜんぜんだめだなあ。で、以下は、一瞬稼働したデジ一眼で撮った写真です。


もうほとんど乾いているのですが、新しい塗膜が十分固くなるまで、湿しの強い漆室に入れています。
塗り肌がしっかりしたら、つく棒をはずしで、お尻を塗る作業をするのです。


…今年の後半に向けて、たくさん作っています。
一段に約20個乗っていて、それが10段ありますから約200個ものフリーカップが積み上げられたタワーになりますね。

もちろん、完成品ではなくって、下地であるすり漆の途中なんですよ。
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さて、最近おいしいものを贈っていただくことが多いです。本当にありがとうございます。ああだこうだとわいわい話しながら、皆で一緒に美味しくいただいていますよ。


これは、とある方が段ボールいっぱいに入って送ってくださった、神奈川県伊勢原市のブノワトンさんのパンです。お店のコンセプトがうちの工房にそっくりなので、目が離せません。