2009年06月30日

■ロスになったお箸の木地。

身近な道具として日本人に欠かせない『お箸』。
『マイ箸』ブームとしてよく報道でも取り上げられましたが、こうした流行にかかわらず、使いやすい自分のお箸を常に探されている方が多いのではないでしょうか。
工房で作っているお箸は、種類こそは少ないですが、とことんこだわった自信作。
国産天然木(主にナラ材)をシンプルに溜め塗りをしたもので、元が八角形、先が四角形という形に一本ずつ手削りしたお箸が主流です。

バッド(下向き矢印)先日の写真ですが、いま制作中のお箸です。(一番下の太いお箸は、オーダーの特殊形のお箸です)
箸木地
長さは数種類あって、選べるようにしています。


京都の山田潤さんが木地作りを手伝ってくださるようになったおかげで、しばらく作品展会場に「お箸がない」という非常事態は避けられそうです。^^


さてさて、以前からたびたび書いてしまって何度も繰り返してしまい恐縮なんですが… お箸の木地を作るのって難しいです。ふらふら
どういうことなのかというと、天然木の材をまっすぐな箸木地に仕上げることじたいが、かなりの神経を使うのですよ… 
お箸は、工房で作った荒木地をお送りして仕上げてもらっているんですが、山田さんから戻ってきた時には、文句のつけようのないまっすぐでなキレイな白木地でも、漆の作業の途中でゆがみが出てしまい、悲しい『ロス木地』となってかなりの本数のお箸が脱落していきます。


バッド(下向き矢印)さて、今日もかなりの数のお箸を作業したのですが、これだけロス木地を見つけてしまいました。
ロス木地
微妙に(実際はかなり)曲がっているのが分かるでしょうか?

バッド(下向き矢印)こうするとわかりやすいかな…。
ロス木地
こうなるととてもお客さまに出せません。
すべて廃棄処分になってしまいます。

このお箸の木地は、松本が高松市内の広葉樹専門の材木屋さんに行って仕入れてきています。(※仕入れの様子
お店のおやじさんに木の乾燥ぐあい、どのくらい寝かせているかを聞きながら、木目を見つつ「これは」と思うものを選んでいます。
そしてちょっともったいないけど、お箸用に細く切ってしまいますが、それからお箸木地に仕上げるまでにもすごく神経を使います。
無垢材を使った家を建てたことのある方ならきっとお分かりになると思うのですが、切られてからも天然木は環境にあわせて常に形を変えようとするものです。木を素材にものづくりをされている人は、これを最少限に抑えられるよう工夫しながら仕事をされています。

材木屋さん、うちの工房でも、お箸木地となる材の扱いにはたいへん気を遣っているんですが、いま主に仕上げの削りをされている山田さんもいろいろ工夫をされていました。

    バッド(下向き矢印)先日、おじゃました時には
    お箸木地はこうなっていました。

4_28_jun_2_.jpg

スダレじゃないですよ〜。窓辺につるして木地をゆっくり馴染ませていて、これからだんだんと削って仕上げていのですね…山田さんなりの工夫です。

こうして、関わるいろんな人が気をつかっていても、最後の検品までどんどんロス木地が登場してはねられていきます。あせあせ(飛び散る汗) お箸という細長い形状が木のほんの少しの動きの影響を受けてしまう、というのもあるのですが(これがうつわ類なら多少は気にならない)こんなに小さくても「木」という天然素材の宇宙を、人が征することはどうやらむつかしいことみたいです。
一膳のお箸を手にするお客さまには、その不思議さを感じていただけたらなと思います。ムード

hasi.jpg
ちかぢか、OMエコショップすがさんに新商品を出します。
この和うるしの手削り箸もいくつか入る予定です。




no-titleさて、弟子の漆かき研修ですが、いま予定が大幅に変わりそうです。
渇水で悩む香川県に恵みの雨が…。
雨が降ると漆かきはお休みです。しばらく雨が続きそうなので、三辺目のキズ付けは少し遅くなりますよ。


posted by 宮崎佐和子 at 23:40| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ 工房の仕事

2009年06月29日

■上塗り前の銀彩フリーカップ。

修理に出していた、一眼レフのデジカメが戻ってきました。
オートフォーカスはじめ、その他もろもろの機能が復活! 新しいカメラを買わなくてよかったです。
もうしばらくは、調子良く使えるといいなあ。
さて、今まで小さいデジカメでは撮れなかった写真を撮っていきたいと思います。

バッド(下向き矢印)これは上塗り前のフリーカップです。
6_29_ginsai_1_.jpg
銀彩です。どれも一個ずつ柄が違うんですよ。

6_29_ginsai_2_.jpg

この上にお気に入りの上塗りの漆(大森俊三さんの末辺漆 ※秋に採った漆)で上塗りをすると、溜めになります。
使っている漆がなまのデリケートな素材なので、上塗りの仕上がりは毎回多少ニュアンスが変わってくるのですが…。銀白色の模様が淡い黄金色になり、微妙な凹凸が漆のわずかな濃淡によって奥行きが出来て、深みを感じつつも軽やかな雰囲気のうつわに変化するのです。
さて、いよいよ夏らしくなってきたこの時期は、どんな塗り上がりになるのか楽しみなところです。ムード


さて… 今日のおまけです。
工房のネコたちに、夏が訪れて来ましたよ。
6_29_kedama_1_.jpgどことなく、モワッとした感じになってきたネコたち。松本と久しぶりに毛をすいてやったら、えらいこととなりました。あせあせ(飛び散る汗)
出るわ出るわのすごい毛束! 昨年買った、ネコ用抜け毛取りブラシでずずーっとすいてやると、アンダーコートがごっそり取れました。
細いネコっ毛びっちりの大きな身体のむぎ君から、たくさん抜け毛が出るのは分かるんですが、意外だったのはミル…。小柄な身体から、でかいむぎ君に匹敵する毛束を出しました。がく〜(落胆した顔)
6_29_kedama_2_.jpg
左はすっきりしたミルミルです。
すました顔をしていますが、真ん中の毛玉の持ち主です。;; (左からむぎ、ミル、うり坊)
すご過ぎます…。
こんなにむだ毛をくっつけたままだったなんて、暑かっただろうなあ。毛をむしられたネコたちは、このあとお風呂にまで入れられてすこぶる不機嫌でしたが、やっと夏仕様の姿になりました。


posted by 宮崎佐和子 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(3) | ■ 工房の仕事

2009年06月28日

■漆芸研修所の後輩が見学に来ました。

こんにちは、弟子の芝吹です。
昨日、漆芸研究所の後輩が工房に見学に来ました。案内役の私もうるしの話を聞いたり、工房の奥から出て来た漆を後輩とあらためて見たりしながら、なぜか一緒に「へえ〜、ほ〜」と驚いてました。たらーっ(汗)


さて、工房の作業は、木彫の帯留めの木地を進めております。

バッド(下向き矢印)木地には新しく茄子と金魚が加わっています。
P1050860.jpg

P1050862.jpg

さびをほどこした後なので、黒くなってます。


最近の工房の新しい仕事に、スプーンを彫ることも始めました。また、それもご報告したいと思います。わーい(嬉しい顔)

ありがとうございました。

* * * * * * * *

宮崎です。
弟子には主に自分の作品づくりをさせているのですが、最近になって工房の仕事も少しやってもらうようになりました。そのうちの一つがスプーンの木地彫りです。さてさて、上手く彫ることができるのでしょうか。

6_28_urusikosi_.jpgさて、芝吹が冒頭に書いたように、昨日は漆芸研究所の後輩たちが工房に見学に来ました。彼女の一学年下の子たちなので、工房の案内とかは芝吹にまかせちゃいましたよ。^^ 
この子たちに、大森俊三さんの秘蔵のうるしとか、いろんな『レアうるし』をたくさん見せると「美味しそうな漆ですねえぴかぴか(新しい)」ととても素直に喜んでくれまして、松本もニッコリです。
また、この日は第三者である研究生と同じものを見たり話したりすることで、芝吹もあらためて理解することも多かったらしいです。これがなかなかの収穫だと思います。
6_28_urusinoki_.jpg
後輩たちには、芝吹がいま、勉強で漆かきしている木も見てもらいましたよ。

そして、お引越しがこの春に終わったばかりの研究所の様子を彼女たちに聞くと、移転のばたばたがやっと終わったところなんだそうで…
わ〜 おつかれさまです。;; 三年生はこれから修了制作に本格的に取りかかるそうで(今回来た子は、二人とも修了制作の技法は蒟醤 きんま です)早くしないと間に合わないよ!と脅かすとけっこう焦っておりました。
なんやかんやと移転初年度は、何かと落ち着かないと思うんですが… 残り少ない時間を有意義に使ってほしいなと思います。がんばってくださいね。ムード


posted by 宮崎佐和子 at 22:52| Comment(2) | TrackBack(0) |   弟子の日記

2009年06月27日

■たいへんだった生中継の様子です。

茨城県常陸大宮市のグループ「山方漆ソサエティ(YUS)」さんが、地元の漆に取り組む様子が、6月22日にNHKさんの番組「生中継 ふるさと一番!」で中継されました。
やっぱり生中継はたいへんだったみたいで…あせあせ(飛び散る汗) でも、とても楽しかったそうで、その収録の様子が届いてきましたので少しご紹介します。^^
※放送はこちらでした → 地域の結束で復活 国産の漆〜茨城県・常陸大宮市〜

ふるさと一番


収録当日は、なんと朝8時から集合して(以前から何度も打ち合せをしているんです)一通りの説明を受けた後、山班と工房班に分かれてリハーサルを行なったそうです。
「ここではこんなフウに聞きますから、こんなフウに応えてください」などと、アナウンサーさんディレクターさんの説明や指示のもと、順を追ってそれぞれの持ち場を回って、二回目のリハーサルで本番と同じようにカメラを入れて行なったのですが、時間が15分もオーバーになって、急きょカットの部分が出来てしまったり、短縮したりすることになって、けっこうバタバタしたんだとか…。
(でも、みている方はぜんぜん分かりませんね)

漆掻きに時間を割きすぎて、予定では、漆塗りの様子ももっとお見せするはずだったのですが半分になってしまったとかで(蒔絵なども紹介の予定)その日の反省会では、工房班からブーイング?が出たそうで、立体的な取材だったし予定通りにはいかないものですね。
でも「あんたのあの台詞は余計だった」「いやそんなコトない」と反省会も楽しそうでしたよ。

6_26_yus_3_.jpg
漆掻き研修の清宮さん、緊張してましたね〜。

ゲストインタビュアーさんは江口ともみさんでした。
TVタックルのクールなお姉さん、というイメージの強い方だったんですがかわいらしかったですね。
間近で見ることのできた皆さんはラッキーだと思います。ムード


さて、反響も多くて全国からお問合せがあったそうです。
今回のNHKさんの番組は「山方漆ソサエティ(YUS)」さんという、地元の愛好者の方々のグループです。
「奥久慈漆生産組合」は、行政の指導を受けながら茨城の漆の振興をはかる組合で、形態は異なるのですが、同じ地域で茨城の漆にかかわるということで会員さんも共通の人が多いです。
お問合せ先を入れますので、興味のある方はご連絡してみてはいかがでしょうか。(クリックで文字が拡大します)

no-title


「茨城の漆で何か作ってみたい」という方は山方漆ソサエティさん、「漆掻きが見たい」という方は奥久慈漆生産組合さんにおたずねすると良いと思います。
東京からもわりと近いし、一度漆生産の現場をみていただけると私たちもうれしく思います。ぴかぴか(新しい)

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2009年06月26日

■今年のキングルビーの出来は?

今年も富良野の農園、「uyda orchard (ウエダオーチャード)さんにメロン(キングルビー)を注文しました。(ここの農園には、友人が嫁に行ってるのですよ) 
いつも忘れっぽい松本が、暑くなりかけるとハッ!と何かを思い出し「そろそろ頼まんと、売り切れてしまう〜あせあせ(飛び散る汗)」と騒ぎ出します。
松本がそんな状態になると、私は「あ、もうそんな季節か」と思うわけです。^^;

バッド(下向き矢印)で、毎年お願いしているキングルビーです。
8/5メロン
(去年の写真です)

主に贈答用にしています。(そしてもちろん自宅用にも)
見事な美しいオレンジの果肉のメロンなのですよ。
このメロンが来ると、ちょっとした工房は「祭り」?がはじまります。

フリーカップとメロンフリーカップにカットメロンを入れて食べてみたり。
※漆のフリーカップとメロン。



8/9メロン入刀3買ったばかりの玉鋼の包丁で切れ味を試してみたり…。
※キングルビーを玉鋼の包丁で入刀!



8/5メロン工房の漆スプーンでメロンをざくざくすくって食べて、じまんしたりします。(スプーンもメロンも)
※メロンと漆スプーンと真珠のポニョ。



…しかし、興奮するのは人間だけではありません。
工房のネコ、むぎ君も密かに楽しみにしているんですexclamation&question

バッド(下向き矢印)いつもメロンに興味しんしんです。
8/4メロン3
もともと「おとどけもの」が大好きなむぎ君ですが…。(工房に荷物がやってくると、気の済むまで『検品』します。漆の樽、木地、その他材料もろもろ)
このメロンのお届けものには、毎年異様に反応します。なぜなんでしょう?

バッド(下向き矢印)メロンの箱から離れないんですよ…。ふらふら
8/4メロン8
むぎ君の異様な執着ぶりはおととしの日記にレポがあります。
  ↓
※富良野の農園からメロンが届きました。


バッド(下向き矢印)あ、そういえばメロンをかじったりもしてましたね。(実の方じゃなくて、ヘタなんですが)
8/9メロン5

今年もなにか起こるのでしょうか…。

あ、ウエダオーチャードさん、商品ラインナップが増えてますね。スイカ(ひとりじめ)とかが…。購入一万円ごとに購入主に『おまけ』がつくので、リクエストしています。
まだ選べるらしいので、気になる方はSHOPをのぞいて見てくださいね。^^


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posted by 宮崎佐和子 at 23:55| Comment(4) | TrackBack(0) | ■ 日記

2009年06月25日

■弟子の漆かき研修2/2辺目

こんにちは、弟子の芝吹です。
6/16に1辺目(目立て)をした漆の木の2辺目を6/23にいれました。


2辺目は目立ての上もしくは上下へ傷をいれます。
バッド(下向き矢印)初心者なので、傷を入れるところへチョークで印をいれました。

P1050864.jpg

ここの掻き方は「鼓掻き」と言われる傷を上下につけてゆく掻き方をするので上下に印を入れました。目立てから上のみに付けていく掻き方もあり、1本の木の中で併用します。この木は目立てが2カ所だけなので、鼓掻きのみで進める予定です。


バッド(下向き矢印)カンナという漆掻き専用の道具で傷を入れます。

P1050866.jpg

親指を支点にして動かしていきました。傷が入れば良いというのではなく、傷の深さや角度などジャストな傷を入れるのは難しいですあせあせ(飛び散る汗)


バッド(下向き矢印)傷を入れた直後です。目立てのときより出ています。

P1050869.jpg



バッド(下向き矢印)次の日の様子です。

P1050876.jpg

傷を入れた晩に雨雨が降ったので、木が弱ってないか心配でしたが、漆がしっかり塞いでいました。出た漆を掻き採るのは、もう少し木が刺激に耐性が付いてからです。

ありがとうございました。

* * * * * * * *

宮崎です。
まだ漆は採っていませんが、キズを見るとけっこう樹液が出ていますね。辺付けのキズが2本重なって、いよいよ漆掻きらしい木になってきました。^^ 
ウルシの木も、そろそろ覚悟をしているのではないでしょうか。

芝吹漆かき今回、漆掻きの勉強に使う木は、徳島県からやってきた「阿波うるし」の分根です。地元の漆かきさんが、気に入って残してきた優良種の株なので、大きくない木なんですがきちんと仕事をするとうるしはけっこう出ると思います。ムード

いよいよ次の3辺目から漆を採る予定です。





posted by 宮崎佐和子 at 21:40| Comment(6) | TrackBack(0) |   弟子の漆かき研修

2009年06月24日

■変わった形のオーダー箸です。

以前から「調子が悪い」と言っていた、工房の一眼レフのデジカメ(EOS Kiss)。だましだまし使っていたんですが、本格的に動かなくなってしまい、少し前、修理に出しました。
修理費ン万円かかる予定だったんですが、運良く五年補償に入っていたことを思い出してホッとしました。あせあせ(飛び散る汗)

バッド(下向き矢印)さて、京都の山田潤さんに削っていただいたお箸木地です。こちらも順次新しいものの作業が進んでいます。
箸木地

…さて、これらのお箸に混じって、すごく変わった形のお箸があるのが分かるでしょうか?(一番下のお箸です)
これ、大阪のお客さまからのオーダー品のお箸なんですが…。
すごく変わった形です。こんなお箸は、作るのはもちろん見るのも初めてです。


バッド(下向き矢印)近い長さのいつものお箸と並べてみました。
箸木地

「ふつうのお箸は持ちにくい」というお客さまで、その方が持ちやすいと言われるお箸の形をヒアリングして松本が注意深く手削りしました。(グリップペンみたいな形が持ちやすいのでは?と言われるのですよ)
試行錯誤して作ったのですが、かつて見たことないような形になってしまったので「大丈夫だろうか…がく〜(落胆した顔)」と思い、木地の段階でお客さまに見ていただいたんです。
その結果、
「これでOK」というお言葉をいただき、安心して漆の作業に入っているというわけです。

う〜ん、勉強になりますねえ…。
「道具」って、使う人によって使いやすい形がこんなにあるなんて、ちょっとした驚きで新鮮でした。早く仕上げて使っていただきたいな。ムード


mugiuri.jpgさて、今日のおまけです。
夏至のころのうり坊。お昼寝の真っ最中です。(うり坊があおむけになっておなか丸出しで寝るのは珍しい)
うり坊が気になって、思わず近づいてきて見てしまう、むぎ君です。;;






posted by 宮崎佐和子 at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) |   オーダー品制作

2009年06月23日

■漆のパン皿、制作中です。

今年の春に新しくやってきたパン皿の木地
松本が少しずつ作業をすすめております。

バッド(下向き矢印)今日は中塗りをしていました。
パン皿

出来上がるのがとても楽しみなパン皿、新商品です。
木地はミズメザクラで、しっとりした重みがあります。重ねもよくて扱いやすいお皿なんです。

バッド(下向き矢印) さて、このお皿は薄くて平べったい木地なので、裏にゴム製の吸盤状の道具(タコキュウと呼ばれています)を吸い付けてそれを持って塗っているんですよ。
パン皿

6_13_urusi_2_.jpg使っている漆は、最近重宝している2007年の大森俊三さんの末辺生うるしです。一回の塗りはとても薄いのですが、しっかりとした丈夫な塗膜となります。塗り重ねて丈夫なうつわにしていくんですよ。


ところで、松本が「パン皿が出来たら、次は漆でナイフやフォークを作らないといけないなあ」とうれしそうに言っております…。えっ、ほんとう?
ナイフはともかくフォークは難しそうなんですが…。
でも、実はもう東京のお客さまからナイフ・フォーク・スプーンのセットのご注文をいただいているんですよね。あせあせ(飛び散る汗)
材は用意してまだとりかかれてないんですが、またそのセットの制作過程もちょっとだけご紹介できると思います。



posted by 宮崎佐和子 at 21:30| Comment(0) | TrackBack(0) | ■ 工房の仕事

2009年06月22日

■「枝漆」を濾しました。

こんにちは、弟子の芝吹です。
工房へ通い始めて4ヶ月目に入ったのですが、最近ようやく工房の猫ミルミルが私の存在に馴れてきてくれました。最初は私を見てすごくビビっていたので、嬉しいです。


さて、工房の作業は、枝漆を漉しました。枝漆は、漆掻きを終了した漆の木の「枝」から採ります。
冬に枝だけを切り集めて、池などの水に漬けると、まだ生きている枝が水を吸います。その枝に残ったわずかな漆を採取したものです。
※枝漆の採取1 ※枝漆の採取2

バッド(下向き矢印)この枝漆は、精製しないで寝かせてあったものです。
P1050735.jpg

枝漆は、かなりドロドロしていて他の時期の漆と比べると変わっています。匂いは、容器の上の方は熟しきって少し腐敗が始まっている匂いで、底へいくにつれて熟したバナナの匂いになり、最後はおいしそうなフルーツケーキのような匂いへ変わりましたexclamation 漆の中の糖分が底に沈んでいたのではないかと思います。


バッド(下向き矢印)付けをとる(乾き具合や表情を見るために少量の漆を透明な板へ付けて乾かしてみること)とこうなりました。

P1050852.jpg

艶消しで、表面が磨りガラスのような表情になりました。


他にも漆を茶碗に出したときには付けをとっていますが、毎回違う表情になります。漆は、採る時期や採り方、漆の木自体の性質や周りの気候、寝かせた期間や室の状態、、、などなどたくさんの要素が相まって表情ができているんだなあと思います。
更にここから精製法や下地・加飾の仕上げ方まで考えていくと、似たものはあっても同じ漆は二度と出会えないんだなと思いました。

一つ知るとその奥に広がる何か膨大なものに圧倒されてばかりですが、これからも精進していきたいと思います。
ありがとうございました。

* * * * * * * *

宮崎です。
「枝漆」には、この池などの水に漬け込んで採るもののほか、漆掻きを終了した漆の木を山で伐採した時にすぐに採る「山の枝漆」もあります。
昔は「下地漆」として重宝された枝うるし。重労働なことと需要がなくなったため、今ではほとんど採られていない貴重な漆なんですよ。弟子のように、こんな珍しい漆を見ることができる者は、ほんとうに恵まれていると思います。

6_22_nhk_.jpgさて、今日は茨城県 常陸大宮市の山方漆ソサエティさんの番組放送のあった日ですね。工房ではテレビのある部屋(私の仕事部屋)に三人集まって「生中継 ふるさと一番」を見ました。ムード 松本はあわてて、ランチに作っていたスパゲティーのソースを焦がしてしまい、今日は微妙な味のお昼となってしまいましたが…;; 茨城の漆掻きの様子を見ることができて楽しかったです。出演の皆さま、おつかれさまでした〜。


posted by 宮崎佐和子 at 22:11| Comment(0) | TrackBack(1) |   弟子の日記

2009年06月21日

■山方漆ソサエティ(YUS)さんNHK放送のお知らせ。

まだ先だと思っていたのに、もう放送日が明日になりました。あせあせ(飛び散る汗)
奥久慈漆生産組合の方々や荻房さんが活動しているグループ「山方漆ソサエティ(YUS)」さんが、地元の漆に取り組む様子を、あしたのお昼に生放送で放映されます。

NHK総合「生中継 ふるさと一番」
お昼12時20分〜45分
『地域の結束で復活!国産の漆』 茨城県 常陸大宮市

※レポーター/江口ともみさん


やりなおしのきかない生中継、ということで、現地ではずいぶん前からNHKさんと打ち合せをされているそうです。
6_21_yus_1_.jpg
放送に先立ってNHKさんのスタッフの方々が取材内容の把握のために荻房と近くの漆畑、そして神長さんの御宅を訪問されたそうですよ。

6_21_yus_2_.jpg
「山方漆ソサエティ(YUS)」は、地元の奥久慈漆を支えるグループで、会員の方々もいろんな職業の方が参加されています。
奥久慈漆の復活に力を注いだ荻房の本間幸夫さんが指導してこられ、会員さん自らが漆掻き、生地作り、塗り、そして作品制作をされているんですね。
いろいろご苦労がおありだと思うんですが、漆好きとしては本当に理想的な環境の中で日々漆に取り組んでらっしゃるんですよ。

6_21_yus_3_.jpg

荻房の様子や本間幸夫さんはもちろん、漆かき研修でお世話になった本間健司さんや神長さん、奥久慈漆生産組合事務局の小野瀬さん、毎年、貴重な奥久慈漆を採ってくださっている飛田さんもきっと出演されるんだろうな〜。
いろいろお世話になっているのに、私は実際にお会いしたことのない方々や茨城の漆の様子(※松本は、文化庁の研修や保存会の研修でとかで何度か行ってるんですが…)も、リアルタイムで見られるので、とても楽しみにしているんですよ。ムード

当日の現地は朝の9時頃からリハーサルなんだとか…。
ご興味のある方は、明日のお昼はNHKさんにチャンネルを合せておいてくださいね。

※追加
茨城の漆についての過去の記事をリンクします。
奥久慈漆生産組合について
茨城の漆の研修(日本うるし掻き技術保存会)
茨城の漆の研修(平成17年文化庁)
本間健司さん漆掻き研修報告
工房に来た茨城の漆1
工房に来た茨城の漆2
工房に来た茨城の漆3
茨城の漆を塗りました
漆コーヒーのお味は…?

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posted by 宮崎佐和子 at 21:50| Comment(6) | TrackBack(1) | ■ お知らせ
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