『マイ箸』ブームとしてよく報道でも取り上げられましたが、こうした流行にかかわらず、使いやすい自分のお箸を常に探されている方が多いのではないでしょうか。
工房で作っているお箸は、種類こそは少ないですが、とことんこだわった自信作。
国産天然木(主にナラ材)をシンプルに溜め塗りをしたもので、元が八角形、先が四角形という形に一本ずつ手削りしたお箸が主流です。


長さは数種類あって、選べるようにしています。
京都の山田潤さんが木地作りを手伝ってくださるようになったおかげで、しばらく作品展会場に「お箸がない」という非常事態は避けられそうです。^^
さてさて、以前からたびたび書いてしまって何度も繰り返してしまい恐縮なんですが… お箸の木地を作るのって難しいです。

どういうことなのかというと、天然木の材をまっすぐな箸木地に仕上げることじたいが、かなりの神経を使うのですよ…
お箸は、工房で作った荒木地をお送りして仕上げてもらっているんですが、山田さんから戻ってきた時には、文句のつけようのないまっすぐでなキレイな白木地でも、漆の作業の途中でゆがみが出てしまい、悲しい『ロス木地』となってかなりの本数のお箸が脱落していきます。


微妙に(実際はかなり)曲がっているのが分かるでしょうか?


こうなるととてもお客さまに出せません。
すべて廃棄処分になってしまいます。
すべて廃棄処分になってしまいます。
このお箸の木地は、松本が高松市内の広葉樹専門の材木屋さんに行って仕入れてきています。(※仕入れの様子)
お店のおやじさんに木の乾燥ぐあい、どのくらい寝かせているかを聞きながら、木目を見つつ「これは」と思うものを選んでいます。
そしてちょっともったいないけど、お箸用に細く切ってしまいますが、それからお箸木地に仕上げるまでにもすごく神経を使います。
無垢材を使った家を建てたことのある方ならきっとお分かりになると思うのですが、切られてからも天然木は環境にあわせて常に形を変えようとするものです。木を素材にものづくりをされている人は、これを最少限に抑えられるよう工夫しながら仕事をされています。
材木屋さん、うちの工房でも、お箸木地となる材の扱いにはたいへん気を遣っているんですが、いま主に仕上げの削りをされている山田さんもいろいろ工夫をされていました。

お箸木地はこうなっていました。

スダレじゃないですよ〜。窓辺につるして木地をゆっくり馴染ませていて、これからだんだんと削って仕上げていのですね…山田さんなりの工夫です。
こうして、関わるいろんな人が気をつかっていても、最後の検品までどんどんロス木地が登場してはねられていきます。

一膳のお箸を手にするお客さまには、その不思議さを感じていただけたらなと思います。


渇水で悩む香川県に恵みの雨が…。
雨が降ると漆かきはお休みです。しばらく雨が続きそうなので、三辺目のキズ付けは少し遅くなりますよ。