
昨日(※9/18)で16辺目が終わりです。
浄法寺のうるしの木が紅葉し始めました。<臼杵さん>
今の浄法寺町(岩手県)は、昼の気温が17度、夜が11度


漆かきの仕事じたいは、秋になって4日間隔→5日間隔になったので、すこし仕事にゆとりがでてきたそうです。



わあ、今年はけっこう赤くなっていますね。

工房のある香川県に植えてあるウルシの木では、なかなかこうはなりません。(茶色がかった黄葉という感じです→※こんな葉っぱです)
こんな葉っぱを見ると、「漆掻きももう終わりだな〜」と思います。


漆の原木不足で、漆を採る木が少なくなって研修生に割り当てられる漆畑は、どんどん条件の厳しいところになっているそうです。(条件が厳しい…というのは、木の状態がさほど良くない、足場が悪い、通うのが大変な場所である、というようなことをさします) マムシさんもいっぱいいらっしゃるようですよ…(> <) わ〜気をつけてくださいね ;;
…たしかに、松本が浄法寺の研修に行った初期のころ(2000年)は、木も肥ってたし畑の場所も良いところでした。
でも、今は日光東照宮さんの修復の需要ができて、あと数年はたくさんの浄法寺漆が必要になったので、今は少しでも条件のよい木は、プロの漆掻きさんに使ってもらわないといけませんね。

…ここまで読んでくださった方の中から、なんだか「将来の需要を見越して、苗の植栽を以前からもっとたくさんしていればよかったじゃないか?」っていう声も聞かれそうですね。;;
が、これがなかなかむつかしいところなのです。
当時は(今もそうですが)浄法寺をはじめ日本産漆の生産の場じたいが、将来の展望を見いだせず、とても倦み疲れていたので、近年はそれほど植栽がすすんでなかったようなのです。
2007年からはじまった、日光東照宮さんからの浄法寺漆の大量発注で浄法寺の漆産業はちょっとした好景気です。
それにともなって、大量の原木が一気に必要になり、それで漆の木の「在庫」が急激に少なくなりました。
さすがの浄法寺町も原木不足が深刻になっています…。
でも、これにはいろいろ背景があるのです。
それまで浄法寺漆をはじめ、日本産漆は、多くの人や媒体から「すばらしい素材だ」と賞賛されていましたが、それにもかかわらず、現実に国産漆をちゃんと買って使う企業さん職人さん作家さんは、ほんの一握り。
せっかく苦労して採った、貴重なはずの漆も売れずにたくさん残り、漆掻きさんは、長年つらい思いをされてきました。
そんな当時の状況では「たくさん苗を植えておこう」という気にはならなかったのも自然のことでしょう。
まあ、いろいろたいへんなんです…。
ちょっと、そんな表には出ない事情も、すこし知っていただけるとうれしいです。^^
そんな中、日本産漆の可能性を求めて、滋賀県から一人の男性が5日間の短期研修にいらしていました。

短期研修生の渡辺さんも来ています。なぜか、わたしが指導しています。
今日は田子のうるし掻き道具を作っている中畑さんの所に2人で行きます。<臼杵さん>
わあ、がんばってらっしゃいますね

渡辺さんは、長浜で仏壇の漆塗や山車の修復など漆塗の仕事をされているそうです。
実は、先日の京都での工房の作品展に渡辺さんがわざわざいらしてくださって、松本と弟子はごあいさつをすませているんですね…!
田子町(青森ですけど、浄法寺から近いんです)で漆掻きの道具を作られている中畑さんのところでは、品薄の鎌、掻きカンナ、掻きヘラを運良く?手に入れることができたそうですよ。
渡辺さんのような方が、増えてくださると嬉しいです。


この赤い彩りを目にすると、残暑が厳しくても「ああ、秋だな」と思うのですよ。
今年は涼しくなるのが早くて、朝夕は肌寒いほどなのですが、日中の日射しは強く肌を刺すよう。その陽の中で、ヒガンバナは燃えるように立っています。