その名も「漆樽詰荷作り講習会」。
『漆』という、特殊な液体を荷造りした木の樽…。その荷造りに関しても、匠の技があるのですよ〜。
事務局の小野瀬さんがその様子をお知らせしてくださいましたので、ご紹介いたしますね。


当日は小春日和の穏やかな天気に恵まれ、組合長の自宅のある大子町西金の古分屋敷(こぶやしき)も紅葉も終わりに近づいていて、風景も初冬の様相になりつつありました。「漆樽詰荷作り講習会」の参加者は組合長を始め14名の参加。
朝の9時から、組合長の飛田さん宅の作業場において行われました。<事務局・小野瀬さん>

緩衝材用に、稲ワラなどでドーナツ状の枕をつくり、それを樽の蓋に乗せ樽の底にも敷き、ワラ縄でテンションをかけながら、しっかりと結びます。左の写真は、岩手県の大森俊三さんから2008年の1月に工房に送られてきた漆樽。(余談ですがこのワラのにおい、工房のネコたちが大好きなのです…)地域差やまた樽の大きさなどによって、形式が違うかもしれないですがご参考までに。^^


講習会は、飛田組合長が講師となって行われました。
樽は4貫目と1貫目のふたつの樽を使いました。 ワラを使って緩衝用の枕を作り、縄を使って荷造りの縄のかけ方などを学びましたが、新人の岡さんと清宮君、2年目の菅原くんなどは藁縄を使うことや稲藁に触ることも初体験だったようでした。 そんななかでも悪戦苦闘して何とか一通りの工程をこなしていました。 特に縄の結び方が簡単のようで難しく、知っていたはずの私も手こずってしまいました。(わたしの年代くらいまでは縄をもじったり、ワラを梳いたりすることは出来るのですが…)<事務局・小野瀬さん>
わっ、荷造りはこのようにしてされているのですね。
慣れないと、けっこう大変そう…。;;
ワラ縄もいまは田舎でもあまり見られなくなりましたが(少なくとも、私の周囲でもほとんど見かけることはないのです)でも、ワラ縄できりりと結ばれた荷物と言うものは、とてもすがすがしく美しいのです… 目にする機会が少なくなったのはとても残念なこと。
新人の漆掻きさんがそれをマスターされるのは、とても意義のあることだと思います。


がんばって練習中です…。
…思えば若い世代の人たちは、稲穂や麦を摘んだあとの「ワラ」が少し前までは貴重な資源で、たいへん有効な素材だったということはあまり知らないのではないでしょうか。
そして『ワラ』はなう(よりあわせる)ことで、長くて丈夫な紐になるということは、リアルに想像できないと思います。

こうした講義のお知らせをいただくことだけでも、漆にまつわる日本文化の奥深さをちらりと感じ取ることができるのですね… 本当にありがとうございます。
午前中の講習が済んで、午後からは昼食と懇親会となりました。
今年の漆の売れゆきぐあいや、今後の生産組合のあり方、奥久慈漆の品質管理の方法などをどのようにしてやっていけばいいかなどと、組合の今後の検討課題が話し合われました。今月は6日に漆の里つくり事業の一環として「漆植樹祭」を行うことになっています。そちらも次回には御報告できるようになると思います。おたのしみに。<事務局・小野瀬さん>
はいっ、楽しみにしています。

奥久慈の苗は、健康優良児ですものね。将来が有望な子たちばかりです。
漆の木の原木確保が深刻な今、どんどんよい木を植えて大きくなるのを待っていたいと思います。
それにしましても、奥久慈漆生産組合の皆さまの熱意には頭が下がる思いです。これからもご活躍を期待しています。