結婚して北海道に住む友人から、お椀が一個里帰りしています…。
傷みが気になるので、直してほしいとのこと。
彼女いわく『3食ほとんど毎回、飯碗汁碗に愛用させてもらっていたのですっかりくたびれたお椀を眺めては、申し訳なく思います』
…とのことだったので、どんなに傷んで戻って来るんだろう? と興味津々でした。
しかも、その子の使ってくれているお椀は、工房が出来て一番最初に作った初陣のもののはず…。楽しみに待っていました。

北海道から里帰りしたお椀です。

うわ〜っ、なつかしい

ほんと、工房を立ち上げて一番手の仕事で作ったものです。
(使っている漆も、宮崎が浄法寺でいる時に自分で採った漆です)
…というと、いったい何年使い続けたことになるんでしょう?
そして…。
このお椀を見続けるうち、創業時のこの当時、「国産漆だけのもの作り」というコンセプトもなかなか理解されにくく、手探り状態での中で生きていたことを思い出しました。
(今が大変じゃないことはないのですが…ホントたいへんだったなあ…)
さて、この子には内側に朱漆でオリーブを描いています。

…これもなつかしい〜。
この当時の私の描いた漆絵…。

朱文筵工房さんでお椀に描く漆絵を教えていただいてそう間もない頃でした。赤口と黄口、2色の朱漆を使い「朱蒔き」という技法で葉に陰影を出しています… 今では、めったに使わなくなった手法です。
おせじにも「上手い」とは言えない漆絵なんですが ;; 懐かしさでいっぱいになりました。
それと…
「どんなに傷んでいるんだろう?

」とちょっとドキドキもしたんですが…。
現物を洗浄してよく見ると、表面に使用でできた細かいキズがいっぱいあるくらいで、ヘビーローテーションだったにも関わらず、全体はなかなかいい感じで使ってくれていて、とってもうれしく思いました。

ありがとう。
これなら、少しの手直しで、うんと見違えるようになると思います。
また、経過をお知らせいたしますね。^^

さて、工房の庭のウルシの木(阿波産の漆です)の様子です。ほんのかすかですが芽がふくらんで、枝先にかすかなみずみずしさを感じます。
四国でもなかなか寒い如月ですが、確実に季節は進んでいるようでちょっとうれしくなります。
posted by 宮崎佐和子 at 21:45|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
■ 工房の仕事