2010年06月09日

■黒田朱の固練りをしました。

めったにしない仕事をしましたので、今日はそれを少しお見せしようかと思います。^^

朱漆には、朱(水銀朱)つまり鉱物の顔料を漆に練り込んで鮮やかな赤を表現します。この美しい「朱」は、古来より珍重された由緒ある顔料です。
また、たいへん高価な顔料でもあるんです。

ただ水銀に由来する顔料…ということで、この朱自体は害は低いとされているのですが、工房ではふだんづかいの器には、念のため非水銀系の近年開発された赤い顔料を使っています。

バッド(下向き矢印)王冠朱(非水銀系顔料)のお椀。
12/25孫椀


でも、由緒正しい、美しい深みと鮮やかな朱色は、縄文時代より神聖な格調高い色として、日本人に愛されてきたもので、やはり漆の仕事には欠かせないものなんです。

バッド(下向き矢印)辰砂(本朱、水銀朱)の装身具。
no-title

装身具や美術用の器などには、美しい「漆の朱」を知っていただくために、このうるわしい朱を積極的に使っていこうと考えています。ムード


その由緒正しい、高価な朱の顔料を「固練り」しました。
おそらく世間一般的な練り方とは、かなり違う方法じゃないかな?と私は思います…。
松本の父の師匠から伝わった手法なんですね。
その雰囲気をお見せしますね。(私も初めて見る仕事です)


バッド(下向き矢印)「朱練り」の準備ができています。
朱1

この丸い台と木槌は、亡くなった父から譲り受けた道具です。朱を練るための道具なんですね。

バッド(下向き矢印)「黒田朱」の赤口の顔料です。
朱2
目が痛くなるほどの鮮烈な赤…。exclamation

この顔料には、すでにごくわずかの漆を混ぜております。

no-title←黒田朱です。



バッド(下向き矢印)この顔料と微量の漆を、木槌で押して馴染ませます。
朱3朱4

押していくうちに、ぱさぱさだった粉がだんだんまとまっていくんです。

バッド(下向き矢印)だんだんシットリしてきました。
朱5

で、そのうち松本は…。


バッド(下向き矢印)木槌で顔料のカタマリを叩いています。
朱6

叩いて伸ばして、折り畳んでまた叩いて伸ばす… と、まるで讃岐うどんを打つかのごとく?激しい作業です。

…と、私があっけにとられている間に…。


バッド(下向き矢印)朱の顔料は、漆のツヤが出て一体感が出てきました。
朱7

もう、そろそろ完了みたいです。(早っ!)


バッド(下向き矢印)ズッシリと重い朱の固練りの出来上がり。
朱8
ラップに包んで保管します。


この固練りはたいへん便利で、適量取り出してそのつど漆でゆるめて使用します。
朱漆は、長期間保存すると、朱の顔料と漆が反応してやがて乾かなくなってしまう性質があるんです。
この固練りの便利なところは、必要分だけ新鮮な漆と練り合わせて使うのでその心配が少ないことや、顔料の「込み」を、その時の仕事に合せて調整できることでしょうか。

漆芸研究所という「学校」で習った朱練りの方法とまるで違うので、私にとっては新鮮で、ビックリするような技でしたよ。がく〜(落胆した顔)

(松本自身も、10数年ぶりにしたらしいですよ〜あせあせ(飛び散る汗)

堆錦餅も、こんなふうにして作られるのかな?

…そういえば。
情報公開の今こそ、昔からの技が簡単に人の目に触れてしまいますが… たくさん仕事をこなしていた職人さんは、漆の学校や教室では決して習えないような個々の「隠し技」をたくさん持ってらっしゃいました。
松本の父も父の師匠も故人となりましたが…。
それを引き継いだ松本が、それをなんでもないことのように見せてくれるのはとてもありがたいような、不思議な気分になります。


posted by 宮崎佐和子 at 22:38| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ 工房の仕事
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