気温の変化の激しいこの季節…。漆の仕事にもうんと影響する時期ですね。
今まで乾いていた漆が乾かなくなる…ということはしょっちゅうだし、作品展で仕事場を休んでいる間に空気感がガラリと変わっちゃって、いつものペースを取り戻すのに四苦八苦します。
しかも…。
私がここ2年ほど愛用してきた、銀彩の地描き用にしてきた盛辺の生漆がついになくなってしまいまして

新しい代替わりの漆を用意したのですが、なかなか調子をいつもの調子が戻らず、困っていました。


なんとか、新しい漆のペースをつかんで仕事をしております。

上塗り用の漆は、乾きがゆっくりなものの方がよいのですが、私のしている銀彩の仕事は、伸びが良くて乾きが早い漆が仕事しやすいんです。(新しい漆はのびがいまひとつですが…)
地描きをし、漆が乾き付く直前に銀を蒔きつけてそれを何度も重ねていくので、乾きが早い漆のほうが、段取りよく進めることが出来るのですね…。

オリーブの絵付け。オーダー品です。

なかなか乾きのコツがつかめなかった新しい漆ですが、やっと「漆の神様」が降りてくださったらしく(笑)、タイミングよく進められるようになりました。漆さんの反応が変わってきて「仕事モード」になってくれたんですね。
漆も同じ、温度・湿度は同じなんですが、だんだん乗ってきてくれた?という感じなんです。
うーん、これって説明するのが難しいんですが…。
漆の乾きって、科学的には単なる?酵素反応なんですが、実際に相手に仕事をするとそういったもの以外の「何か」に大きく影響されてしまうように思います。
出だしは今ひとつでも、何かで「勢い」がついて、たいへんよい仕事をしてくれる漆になることはよくあります。(そしてその逆も…)
漆って、生きているんだな〜とつくづく思います。


さて、今日のおまけ写真は真っ黒なミルミルです。アラジンストーブの前であったまっております。(なにげにカメラ目線です)
posted by 宮崎佐和子 at 20:35|
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