今日は、松本が実家から持ち帰った「濾紙 こしがみ」をお見せしたいなと思います。
「濾紙」とは、漆を濾す専用に作られた特殊な和紙のこと。吉野紙とも呼ばれます。
※

長い繊維が横方向にそろっており、こうした濡れた状態のひねり出しという、過酷な状態に良く耐えます。そしてそれだけなく「漆の中の異物を取り除く」という目的をきちんと果たさないといけません。
「よい濾紙が手に入らなくなった」「制作者がいなくなった」と言われてひさしいです…。
(漆の材料や道具は、こんなのばっかりです;;)近年ではナイロンなどで代用されますが、いい仕事がしたい方にとっては悩みの種だったりします。
亡くなった松本の父はド真面目な職人さんで、その師匠が「よい材料、よい素材」にこだわる方だったのでその志向をそのまま受け継ぎ、よい材料はきちんと集めていました。
その当時から、こうしたよい材料は年々なくなっていく一方だと分かっていましたから「今のうちに」いう気持が強かったのです。
中には「…ん? 一生分以上溜め込んでいるのでは?」
というものもたくさんあったのですが(
黒田水銀朱とか;;)この濾紙もどうやらその部類のようです。

30年以上の前の濾紙がここにタンマリ入っています。

お茶の亀屋さん(高松の老舗のお茶屋さん)の木箱二つ…。松本が実家で探し物していて偶然見つけました。
中には…。

やさしい風合いの和紙がギッシリ入っているんですよ〜。


中に入っていた新聞の日付は昭和47年…。
もう、この時から、漆の材料の入手難がじわりじわりとせまっていたのですね。
では、中の紙をお見せしますね。

当時の濾紙(吉野紙)

画像を大きくしているので、アップしてみてくださいね。
松本が言うには「紙に杉の板目がうつっているのが見える」というのですが…。(当時は杉板を干し板使い、和紙の繊維を直接板に貼って乾かしていたのですね)
分かるでしょうか?? ちょっと写真では分かりにくいかもしれませんが、目を凝らしてみてくださいね。

この濾紙が包まれていた和紙。


読みにくいですが、これがこの濾紙の屋号みたいですね。
これだけでも一生分かそれ以上あるかも…です。
きっと亡くなった義父が「いっぱい仕事しろよ〜〜」と言ってくれているんでしょうね。まだ全く足元にも及びませんが、「がんばっていいものをたくさん作らなきゃ!」という気持を強く押してくれます。
posted by 宮崎佐和子 at 23:34|
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