2012年08月09日

■呂色炭の作り方。

以前、「呂色炭」について書いたことがあったのですが…。
その呂色炭の作り方を続編で書こうと思いつつ、何となくそのままになっていたのですが、ご興味のある方からリクエストをいただいたので、産休前にまとめておこうと思います。^^


「漆」と言えば、濡れたような漆黒の肌を思い出す方が多いと思います。この艶やかな肌を作り出すためには、ていねいで念入りな研磨が欠かせません
漆芸では古典的な研磨剤として、研ぎ炭が今なおよく使われます。
この中で仕上げ磨きの「呂色炭」は、貴重な炭としてちょっと別格扱いだったりするのですが、ちゃんとした材料を入手しておけば比較的簡単に作ることが出来ます。

バッド(下向き矢印)呂色炭。(右側は成形したもの)
12/23呂色炭2

さて…。
そこで10年以上も前のことですが、香川県漆芸研究所で呂色炭の講習を受けまして、その時の資料がありますので(ただ出典先は不明)それをまじえてご紹介いたします。

<呂色炭の素材探し>
素材探しをする。えごのき科えごのき(ろくろぎ、ちしゃのき)
一番分かりやすい時期は、5〜6月頃、2cm程の白い花が鈴なりに咲き、また、地面にも白く敷き詰めたように散っているので、遠目にもすぐそれと分かる。花が住むとしばらくで青い実をたくさん付ける。実は1pから1、2cm程、7月から10月頃の熟してはじけるまで付いているので、それも探す目安となる。
伐採は落葉後に木が休眠に入ってからで(11月以後3月くらいまで)1カ所に2〜3本から数本生育している。そのうちの一番太い木だけを切るようにするとよい。根元20〜30cmくらいまで伐る。枝分かれしているところから先の方は良い炭にならない。
伐採後30cmくらいに切り、四つ割りにして十分乾燥させておく。(1年以上)



ろいろ炭1.jpg

<呂色炭の焼き方について>
焼き方は、割り木を数本ずつ燃やしていくとよい。風を送りすぎると灰が多くなりやすいから注意。
火箸でつまんでみて煙が出ないのを確かめてから、水(湯のほうが良い)に入れて消す。または、火消し壷にいれて消す。火消し壷で消した炭も乾燥割れを防ぐために、あとで水に浸ける。


焼く時に、砂などが入らないように注意します。
水に浸けて消した炭はよく締まって固い炭に、火消し壷で消した炭は柔らかい炭になるそうです。

ろいろ炭2.jpg

呂色炭の保存法は乾燥させないこと。そのためには、密封容器を使用すると良い。昔、塩水に浸けて乾燥を防ぐ方法もあった。
また、呂色炭には、ちしゃの木の他に、みそはぎ科のさるすべり(百日紅)つつじ科のあせび(あせぼ)の木も、産地によって使用されているらしい。


…資料は以上です。
焼き方自体は、ただ焼けばいいのでとても簡単です。
よい呂色炭を作れるかは、ひとえに良材を入手できるかどうかだと思います。
私はこの研修のあと、えごのきを入手したので(廃業した山口のこけし職人さんから材をいただきました)地元の漆芸家の先生宅におじゃまして一緒に炭を作りました。
とても簡単にたくさん炭が作れて楽しかったです。


バッド(下向き矢印)その時の呂色炭です。
12/23呂色炭1

12/23水指の蓋2
この炭を使って漆の塗膜を磨き、ばっちりきれいな呂色面を作ることができました。感激〜。ぴかぴか(新しい)

呂色炭は、漆芸材料のお店で購入することができます。
が、なかなか高価なうえ品質にばらつきが多いとの話も聞きます。ご自分で「呂色炭を作ってみたい!」という方はご参考になりますと幸いです。


posted by 宮崎佐和子 at 23:44| Comment(4) | TrackBack(0) |   素材
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