その貴重な漆樹液を生産しているのは、日本のどこでしょうか。
それは東北、岩手県の浄法寺町です。
二戸市浄法寺町は、日本一の漆樹液産地。国産漆の7割を生産している一大産地で、心臓部とも言える地域です。漆生産にかかわるさまざまな職種に地元の人がかかわっており、今なお漆掻き職人さんたちが毎年漆を掻き、その腕を競っています。

キャリア50年以上の
法寺の漆掻きさん、佐藤春雄さん。
法寺の漆掻きさん、佐藤春雄さん。
漆掻きさんの仕事については「日本うるし掻き技術保存会」の研修制度を利用し、漆掻きの短期研修生として浄法寺に行った女性の体験記があります。とても分かりやすいレポになっていますので、興味のある方はごらんください。

※maさんの浄法寺漆かき体験記
こうした漆掻きさんが採った漆は、毎年秋に行われる浄法寺漆共進会で並べられ、その出来を競い合います。




部門ごとにずらりと並んだ漆樽。審査の方だけでなく、参加者も
蓋紙をめくって漆の色を見たり、粘度を確認したりと真剣です。
蓋紙をめくって漆の色を見たり、粘度を確認したりと真剣です。
また、こうした共進会で漆掻きさんたちは買い手を求めます。よい漆はここで競られたりし、活気づきます。年に一度のイベントなので、マスコミも入ったりと小さな町が賑やかになるのですね〜。^^
この浄法寺町で生産された浄法寺漆は、国宝や重要文化財の修復に使われており(有名なところでは金閣寺や中尊寺金色堂など)こうした文化の保持にも重要な役割を果たしているのです。

※いよいよ浄法寺漆の認証制度が始まります。
希少な産地の漆としてのブランドアップをはかるため、二戸市と岩手県が委員会を設営し、2008年より浄法寺漆の認証制度が導入されました。「浄法寺漆」の条件を満たした、その年に採取された荒味漆(あらみうるし/採集されたままの生漆のこと)は、その樽に「浄法寺漆」の認証ラベルを貼って出荷されます。こうした行政の取り組みにより、浄法寺漆の知名度はだんだん浸透しているようです。

いま、工房で主流として使っているのは、この浄法寺漆になります。