
今年はお雛様を飾るべきかどうか悩みます。昨年は、ハイハイが終わってヨチヨチ歩きの娘が、いろんなものをさわったりひっくり返したりしていたので、これは絶対ヤバイ!!と思って出しませんでした。
2才になった今年は、どうする?という話をしていたのですが…。(相変わらずのゴソゴソっ子)
気のせいかもしれませんが、娘が最近買ったメロディー絵本で、「おひなさま」の歌のボタンを連打して、メロディーをしつこく流し、催促?するので(たぶん保育所で覚えてきたんだろうな〜;;) 今年はたぶん出すことになりそうです。
2年ぶりのお雛様、出すのは大変ですがちょっと楽しみです。

さて、そんな今日はこれをご紹介したいなと思います。
お客様からお預かりしました、修理のお品の一部です。


きれいな朱色と、刷毛目を立てて塗った風合いが楽しい端反椀です。
愛用してくださっていたんですが、残念なことに口ふちの部分が一カ所欠けてしまいました。



欠損して凹んで、木地が見えていました。(写真を撮っていれば良かった〜)
こうした小さな欠損は、少しずつさびを挿して埋めていき、原状に近い形に直していきます。欠損が大きいと欠けたパーツが必須となります。
全体の塗り直しはしないで、欠け部分のつくろいなので、周囲は汚れないようにテープでマスキングしています。小さな欠けなんですが、樹脂等と違って一気に埋められないのが漆…

このお椀は、もうかなり形が戻って違和感がなくなってきました。


かわいいでしょう? お客様のオーダー品です。総黒溜で蓋の内側に桜の銀彩が入っています。
こだわりのお品なんですが、身のほうのめんぱのふちに、これまた欠けが出来てしまいました。



ここまで形が戻ると、私もホッとします。(担当は私です…)
どんなに良くできた器でも、ほんの少し欠けてしまうだけで器のポテンシャルはグッと下がってしまいます。
シェークスピアでも「ほんのすこし欠けただけで全部台無しになった」というひきあいがあるくらいですから…。
成形ができたら、あとはどのくらい違和感なくつくろい部分に塗り仕上げをするかですね〜。
黒の方はかなり自然にいくのですが、朱の方はけっこう難しいです。同じ顔料、漆を使っても、制作時期自体が本体とつくろい部分が異なるので、なかなか近い色味にはなりません。

どちらも、お預かりしてしばらく経つので、なるべく早く持ち主さまにお返ししたいな〜と思います。

公園の十月桜のお花が咲いていました。

たくさん花びらがあってピンク色のかわいい桜です。
色味の少ない冬の景色では、うれしい風景でした。