新しいフリーカップの木地が来たので、急きょ木地固めの仕事をしました。(このカップは、来年用の作品になります)

こういったサイズのお椀の固めの仕事は、15個4組を連続して塗込んでから、塗った順番に拭きあげていくことにしています。(最初の木地固めはできるだけ吸い込ませるので、ゆっくり仕事をします。その間に漆が染み込んでくれるのです)
もちろん、今回もまったくの無溶剤です。

今回は、作業の漆に「精製枝漆」を使いました。
今年4/16に同じフリーカップの木地固めの仕事を紹介しましたが、その時は生うるしの枝漆を使っています。
※4/16 ■今日の仕事 ー木地固めー
http://waurusi.sblo.jp/article/567297.html
精製しているので漆の色が全然違います。
(でも、前回のなまの枝漆とおんなじ出生の漆なんです)
今年の枝漆は試してみたくなって、1貫目(3.75キロ)を精製して、残りを生うるしで入手しました。(マニアックな組み合せだなあ…)
枝漆は肉持ちがよくて、こういった下仕事には活躍してもらっています。

朱合いはどうなるかテストしましたが日本産、中国産とも溶けました。このようなことはあるのでしょか。
漆は、確かにプラスチック系のものを溶かすことがある…と私たちも思う現象が時々あります。
漆保存の蓋はサランラップ等を使っているんですが、漆に触れた部分だけ劣化します。
松本が先輩から聞いた話ですが、スチロール製の使い捨てカップに一時的な保存容器として、漆を保存していた人がいたそうです。その漆をつかって黒蝶貝に蒔絵をした製品をつくっていたのですが、その蒔絵の加飾が剥離した…というクレームが相次いだそうです。
漆にスチロール成分が溶け出して、剥離の原因になったのかも…という推測がされました。
松本は、その先輩に「保存容器にスチロール製を使うな」という話を聞かされたそうです。
工房で使っている直室用の発泡スチロールの箱の蓋に、生うるし(浄法寺の盛)のしずくが落ちたのですが、その部分のスチロールが溶けていました。(^^;)
(まるで映画エイリアン1でエイリアンの血液が船内を溶かしたように…)
あ、松本が計測してきました…
3センチ×4センチの楕円形で深さが1.7センチの穴が開いたと言っております。