2008年05月21日

■タイガーと呼ばれた子/トリイ・ヘイデン著

4/15 トリイヘイデン


1980年に出版されたシーラという子 (One Child)の続編です。3才の男の子を焼き殺そうとした少女シーラが、著者の教室で過ごすドラマティックな数カ月を描いたのが前作。
飢えた野良猫のようだった6才の女の子が、やがて人のぬくもりを知り、狂気のようにそれを求め、そして花開く様子が全世界を感動させたのですが…。
本書は、そのシーラの後日談。思春期から成人して社会に出るまでの物語です。

その後、14才になった彼女に会ったヘイデン(と読者)は、彼女の境遇が全く変わらないのを知りがく然とします。彼女の優れた感性も、IQ180の頭脳も、そして全世界を感動させた数カ月の出来ごとも、全く彼女の人生を改善させることはなく、父親は相変わらず薬物中毒。何度も里子に出されそこでも虐待されていたシーラは、どこか冷めた女の子になっていました。

10代を成長していくシーラは、孤児の少年を連れて失踪したり、自分をハイウェイに棄てて消えたきりの母を捜し求めて行方不明になったり、内部の欠けた穴を必死に埋めようとさまよいます。

やがて「問題を、くぐりぬけようとしても通りすぎようとしてもダメだった。でも『受け入れる』ことがやっと出来そうな気がするんだ」と言った時、彼女は16才で施設の中でした。
偶然ですが、シーラと私は同い年。
私が16だった時に、こんなふうに考えることができたか、と思うと恥ずかしいものがあります。
今、30代後半の大人になった彼女は、どんな女性になっているのでしょうか。

それにしても、当時は衝撃的だったヘイデンの教え子たちのすさんだ出生も、今や日本でも当たり前に報道されるものになりました。
たった10年あまりの間なのに… 
予想されていたこととはいえ、寒々としたものがあります。

※早川書房 /1996年出版
※トリイ・ヘイデン公式サイト
 (シーラ6才の直筆の手紙が公開されています)


posted by 宮崎佐和子 at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | ■ BOOK
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