そして仕事に使うぶんを取り出して茶碗などに入れて仕事の机の上や棚においているのです。

いろんなうるし。産地別、季節別、生うるし、精製うるし、顔料を練り込んだものなどたくさん茶碗の中で置いてます。
いれたうるしの表面にはラップでぴっちりふたをしており、硬化するのを止めています。
うっかり隙き間があって、空気が触れたら大変。そこからうるしがだんだん固まって、せっかくのうるしが使えなくなってしまいます。
ところで、数年前に私は「乾かない漆」を持ってました。
いや「乾かなくなった」という方が正確かも。
「もう使えないな〜」と思いつつも、せっせと木から採取した貴重な漆…。捨てるとうるしの神様の罰が当たりそうで、そっと置いてたんです。
仕事には使えなくっても、キライな人の玄関のノブに塗っておくとか自転車のサドルにとか、使い道があるかもしれないと思い(あ、ウソです〜本当に罰が当たりそう

ずーっと何年も乾かないまま、ラップもせずに茶碗に入れたまま放ったらかしていたんですが…。

なぜか!半年前から乾き出しました。
(厚みのありすぎるうるしは、表面が縮みます…ちょっとすごいでしょ??)

完全に膜が張って、ぜんぜんびくともしません。
つついてみると弾力があるので、
中身はゲルorゴム状になっているのだと思います。
5年前は、オイルのようなさらさらだったのに…。
このうるしは、もともと水銀朱を練ったきれいな朱漆でした。しかし、その顔料とうるしが分離してしまい(水銀朱は非常に重いので時間が経つと沈殿する)しかも顔料と反応して乾かないうるしになってしまいました。
(水銀朱の朱漆は、時間の経過とともに乾きが緩慢になり、最後は不乾になる)
なので、沈殿した顔料だけを取り出して使っていて、この変質したうるしが残ってしまったのです。
でも、何年も乾かないままだったのに、なぜ今頃よみがえったのでしょう?? 松本はpH値が変わったからかなあ、と言っていましたが…。
まるで『僕のこと、忘れていたでしょ?』と言っているようです。(笑)
貴工房のように自前の漆だと尚更でしょうね。
敬服!
分離した顔料をつかっていたということですが そんなことができるのですね 色とか反応とか変わらないのですか?私も刷毛を洗ったテレピン油を色別に置いてるのですが 洗朱や白漆を洗った油の底に顔料が溜まっているのは また使えるのでしょうか?
それから ラップした漆はどれくらい置いて置けるのでしょうか?周囲が硬くなってくるのでまた漆を足して濾しているのですが・・・
そうですか、塩田先生の…!!
先生は、やっぱりふだんからそうお考えだったんですね。
私は面識はないのですが「作風柄か、とっても使ううるしにこだわってらっしゃるなあ」という印象があるんですよ。
まだご健在のころ、香川の研究所に講義にいらしたことがありましたよ。(私は下っぱ研究生で講義の対象でなかったので、ほとんどお会いできませんでしたが…しょぼ〜ん)
先代からの秘蔵のうるしを寄付してくださったと松本が言っていました。
お弟子さんによろしくお伝えくださいね。
ついでに、質問させてもらっていいですか。
@ 大森俊三さん採取の平成15年 盛辺3番
って、どんなクラスの漆なんですか?
A 蒔絵師の熊野貞三氏って、有名人?
熊野貞久さんです。
漆と顔料を練って、顔料が沈殿したものは取り出して使えます。(私は上澄みの漆を流して顔料だけを取り出しました)漆がしみ込んだ、固練りの朱漆といった状態なのでとっても便利でした。
でもでも、油のそこに沈んだ顔料は使わない方がよいと思います。油は漆を乾かなくしますから。では、テレピン油なら…どうだろう??むむ。
刷毛をテレピン油につけておく、という方法は、以前バイトを少ししていた獅子頭塗りのところでもしていたなあ。高価な顔料(朱の顔料って高いんですよね〜)が溜まっているのをみて、私も「使えないかな〜」と思ったコト、あります。
大森俊三さん採取の平成15年 盛辺3番って… どきっ。
もしかしてうちにある漆のコトかな? 写真のどっかに写ってましたか、わわ ^^:。
うちにそうラベリングしている漆はたしかにあります、梨地に使えるクラスの漆です。
すみません、熊野貞久さんは存知あげません、でもそれは単に私たちをはじめ香川の漆の人間が知らないだけだと思います。(地域的に思いっきり伝統工芸寄りなので、少しジャンルが違うと同じ漆でも知らない方はいっぱいいるんです)
すみません〜最後の質問にきちんと答えてなかったですね(^^:)
ラップした漆の賞味期限?ですが、漆にもよります。
が、乾きの落ちた漆、硬くなったなった漆はそうでない漆と混ぜて使いやすくできるので、それでいいと思いますよ〜。
すみません、
しつこいようですが、その、梨地に使えるクラスの漆とは、上・中・下とかシロウトに理解できるように教えてください。
お願いします。
もちろん、ハイクラスの自慢のうるしです。(^^)
蒔絵に合う漆は、透けものびもよい最高品質のうるしとされます。そんな国産漆は意外と少ないみたいですよ。
実は、平成15年 浄法寺 大森俊三搾 盛辺3番
で、我々のだんじりを塗ったようです。
そんなに良いものだったんですね。・・・知らなかった!
職人さんに感謝しないと・・・
そう言えば塗った直後はものすごく透けていた気がしました。
確か、¥7桁 するとか言っていたような・・・
値打ちを知らないシロウトは怖いですね。
大森さんの漆で盛り辺、といえば日本でトップクラスの漆ですよ。
国産はおろか、中国産漆やカシューを使ってもおかしくないところなのに…やっぱり志の高い方がかかわったおかげですね。
なんだかとってもシアワセな気分になってきました。(´∀`)
いつかそのだんじり、一度みてみたいなあ。
その間、だんじりは「布やせ」「地やせ」の修正ために輪島に旅行することになっています。
だんじり本体は、塗り立てなのですが、蒔絵部分を描いてくれたのが熊野貞久さんです。
そして上塗りに使用する精製漆は精製後15 ̄30年経過した漆と3 ̄5年の若いものを調合して表面張力と硬化時間の調整をし美しい塗肌を求めます。 塩田慶四郎先生がお持ちになった素グロメ漆も先生の父親が買い求め、精製されて数十年経過した漆です。撹拌が弱めでしまりの弱いややピンクがかった透過光の非常に上品な美術品向きの漆でした。
次に生うるしについてですが、私の父親から頂いた平成元年とスタンプされた日本産荒味(常温保存チューブ詰め)で平成15年に下地の作業をしましたがガンガン硬化しましたし非常に良い柑橘系の香でした。
国産漆の場合(福井式の漆採取技術)すぐれた漆掻きのうるしは長期間常温保存に耐えますし、非常に美しい塗肌を獲得することが出来ます、古酒には古酒の、新酒には新酒の需要があります。
賞味期限が早いうるしとは、腐敗しやすいうるし、うるし以外の調製剤、添加物の混入された漆、水銀朱や紅の顔料などを練り込んだ漆です。
漆がそんなに持つものだとは思いませんでした
まるでワインのようですね それなら多少高くても桶詰で買ったほうがいいのかもしれません 福井式と言うのはどんなものですか?日本は殺掻きと本で読みましたが 養生掻きとかでしょうか
それにしても 漆の話となると松本さんは凄みがありますね 一度お会いしたときはニコニコ優しそうな方に見えましたが 漆の話になると修行僧の様相があります
ご研鑽ください
ダメですよ〜〜松本にウルシの話をさせたら、ほんと一晩中でもしゃべり続けますよ〜身が持ちません。
でも「漆がワインのよう」っていう常々私も実感しています。