2008年07月26日

■工房の見学に来てくれました。

さて、今日も昨日と変らず太陽ぎらぎらの暑い日でした。
香川県は昨日から渇水対策本部が設置され、第一次取水制限(早明浦ダムから香川用水への供給量を20%削減する)に入ったそうです。
渇水じゃない県の方も、お水は大事にしてくださいね。あせあせ(飛び散る汗)


…さて、今日は漆芸研究所の後輩が工房に見学に来てくれたんですよ。いろいろお話をして、そして「百聞は一見にしかず」とばかりに、うちにある自慢のうるしたちを見ていただきました。ムード

7/26研究生来工房

…で、私も一緒に見学?です。(笑)
桶はふだんはしまい込んで私はめったに見ないし、見慣れたうるしたちも、初めて見る方と一緒に見ることで、再び新鮮な気持ちがよみがえるのです。

バッド(下向き矢印) 松本が最初に出してきたのは、2005年の大森俊三さんの盛り漆の精製です。
7/26漆樹液の見学
サラサラのオイルみたいな漆…
実際にヘラですくって見てもらいました。


バッド(下向き矢印) このヘラに付いた盛り漆、アップで撮ってみました。(クリックで写真拡大します)
7/26ヘラに付いた漆の色
うわ…つくづくお椀に塗るには
もったいないような?うるしだなぁ

この大森俊三さんの2005年の盛り漆は、上塗り用に貯蔵している漆なんです。秘蔵っ子です。(いま、上塗りによく使っているのは2004年の盛りです)
まだ、じゅうぶん熟成していませんが…
この漆は世間一般には、蒔絵の梨地か木地呂として使うランクのものではないでしょうか。デビューが楽しみな子なんですよ。^^

バッド(下向き矢印) そしてうちのお気に入りのうるしです。
7/26 漆樹液のアップ
なんか、深い井戸を覗いているような気分。
2005年大森俊三さんの裏目漆の精製です。

この漆は、私もお気に入り! とっても使いやすいんです。
ふっくら肉持ちがして縮みにくくて乾きもそこそこ良いのです。うちの加飾にはもってこいの大活躍している漆さんです。


…さて、容器に入っているうるしは、空気に触れないように油紙もしくはラップで密封しています。これはラップで封印しているのですが、ラップをめくった時に、ラップについたうるし樹液が折り重なってセロファンを重ねたように見えるんですね…。
その色がコニャックのような… グリーンをわずかにかんだ透き通ったライトブラウンの輝きが美しいので思わず寄って撮ってしまいました。

バッド(下向き矢印) で、その2005年同じく大森俊三さんの末辺漆の精製です。上の盛り漆とはもちろん格は落ちる漆なんですが、どこかアンニュイで惹かれるものを感じませんか?
7/26ラップに付いた漆の色
(クリックで写真が拡大します)

この色、何かの石に似ているなあ…と思ったら思い出しました、宝石質のアンダルサイト(アンダリュサイト)の輝きに似ていると感じました。

…このほかにもいろんな漆を出してみました。^^
偶然、写真におさめたのは精製うるしばかりでしたが、生うるしもいろいろ出して見ましたよ。
本当に「日本産うるし祭り」って感じでした。
なんか、私まで今更ながら?私も祭りに参加しちゃったよ。あせあせ(飛び散る汗)

ほかにも、室や野外の作業部屋、研磨ろくろ、いろんなこまごました道具などを見てもらいました。
7/26松本の砥石コレクション
松本の砥石コレクション。
広げて楽しそうに見せていましたよ。

今、忙しい時期なので、短い時間しかお話できませんでしたが…。
こちらもとっても楽しかったです。

さて、それにしても最近、日本産漆に興味を持ってくれる後輩が多くなって驚いています。
漆芸研修所の校舎の裏に大きな漆の木(※ここに写真があります)が生えているのですが、来年の校舎移転を控えて、徳島のうるし掻き職人の東官平さんが傷をつけに来られたのですね。そのあとの傷入れは研修生がしているそうで、そんなことも関係しているのかなあと嬉しく思ったりしています。

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posted by 宮崎佐和子 at 23:59| Comment(6) | TrackBack(0) | ■ 日記
この記事へのコメント
今日は20度を下回る肌寒い一日でした。

以前の「日記」で黒田朱についてのものがありましたが顔料を混ぜる精製漆は“熟成”した盛漆が発色の点では良いのでしょうか?

ミルさんの謹慎は解けましたか。
収穫物はシマアオジかなと思いましたがなるべく柔噛みで願います。


Posted by いちご納豆 at 2008年07月31日 21:04
いちご納豆さん、こんばんは!
いつもありがとうございます。^^

>今日は20度を下回る肌寒い一日でした。

わ!そんなに寒かったのですか?
こっちは35度くらいありましたよ… (>_<)
でも急に冷え込むのも体にこたえそうですね。

>以前の「日記」で黒田朱についてのものがありましたが顔料を混ぜる精製漆は“熟成”した盛漆が発色の点では良いのでしょうか?

きれいな朱漆、使いたいですよねえ…。
発色については、熟成の様子等にも多少影響されますが、やはり漆そのものの色に一番左右されるのではないでしょうか。
もともとも漆液の色が明るく透けていれば、盛りでなくてもあまり熟成していなくても、生うるしでも、よい発色が得られる可能性が高いように思います、磨きと塗り立ての仕上げ方で、表面の肌理の要求にもよりますが…同じ生うるしなら精製した方が肌理が細かくなり乾燥後の色は黒くなるようです。
可能ならいくつか作って、いちばんきれいだと思うものを採用するのがおすすめです。

>ミルさんの謹慎は解けましたか。
収穫物はシマアオジかなと思いましたがなるべく柔噛みで願います。

ミルは、あいかわらず地雷を踏み続け、かなりショボンとしています。
いっしょうけんめいに狩りをするのも、ストレス発散のような気が(笑)
シマアオジ、そんな小鳥がいるんですね。
カナリアをふっくらさせたような、そんな可愛らしい子でした。
ほんとう、勿体なかったです。
Posted by 宮崎佐和子 at 2008年08月01日 03:48
ありがとうございます。
季節や風呂の環境、顔料の混ぜ具合によっても色味が変わるので辰砂でも黒田朱でもそのつどテストピースを作っているのですが生漆に練り込むというのは試したことがありませんでした。さっそく試してみます。
なるべく記録は残しておく様にしているのですがこの朱はどうやって作ったのだっけ…ということがあったりします。
経年変化の壁は高いですね。

午前中のNHKのラジオ放送を聴きながら身近な動植物や昆虫の様子をもっと観察しなきゃと思うこの頃です。

Posted by いちご納豆 at 2008年08月02日 00:25
私は香川県観音寺市に住んでます。ぜひ工房見学させて頂きたいデス。駄目ですか・・?
Posted by 北野美代子 at 2008年08月02日 19:30
いちご納豆さん、こんばんは。^^
いちご納豆さんの作業環境やふだんお使いになっている漆のラインナップを知らないので、的確なお返事になったかどうか分かりませんが…。

長い間やっていても、漆って不思議なことだらけだろうなあ、と思います。
だからこそ、ついつい深く入り込んでしまうんでしょうね。^^

>午前中のNHKのラジオ放送を聴きながら身近な動植物や昆虫の様子をもっと観察しなきゃと思うこの頃です。

わっ私も!
この夏は、ものすごく暑いせいか(雨が降らないので、空気も乾き切っているんですよね…)あまり外に出なくなってます。
そのせいか、庭の小動物との出会いも少ないです。
夏らしい事もする予定も無く、あっという間の夏になりそうです。^^:
Posted by 宮崎佐和子 at 2008年08月02日 22:04
北野さん、はじめまして!
このたびは、コメントを下さいましてありがとうございます。^^
観音寺の方なんですねえ。
地元の方も見て下さっているんだなあ…と思うとなんだかうれしいです。
これからも、よろしくお願いいたします。

>工房見学させて頂きたいデス。駄目ですか・・?

北野さんが、どんなものをごらんになりたいのかが分からないので、いいとも駄目ともお答えしづらいのですが…。
えっと、まず、うちは作ってばかりの工房なので、お店じゃないんですよ〜。もろ、仕事場です。
恥ずかしながら完成した作はほとんど置いてなくて、こんな漆樹液ばかりやたら?あるところですが…。^^:(よく『工房に直接行くといろんな品が見られるのでは』 とお問合せをいただいたりしますが、申し訳ないけど実はそうでなかったりするのですよね…)

この日記に書いた、先日来られた学生さんは、後輩である漆芸研修所の生徒さんなので、勉強にといろいろ樹液を見て(そして触って?)いただきましたが、一般の方にこんな高純度の日本産うるし樹液を見ていただいたとしたら、よけいな「おみやげ」がつかないか、かなり心配です。;;
(ほか、この工房に来られる方といえば、商用か、とことん日本産漆命!っていうようなちょっと変った?方たちばかりです。かぶれちゃっても仕方ないなーっていうような)

なので、どなたにも気軽におすすめできないのが、悲しいところです。

なんとも煮え切らぬ?お返事になってしまいましたが…::
どうぞ、よろしくお願いいたします。
Posted by 宮崎佐和子 at 2008年08月02日 22:33
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