今回は残念ながら、足を運ぶ事ができませんでしたが… お忙しい中、今年の長期研修生の本間さんが、その様子を教えてくださいました。

会の様子は… こんな感じです。

数年前の写真ですがこんな様子です。
ほんとは、いろいろ撮影してくださる予定だったんですけど、本間さんは研修生なので会の進行のお手伝いもしていたそうで、写真はほとんど撮れなかったそうです。残念〜!
共進会は、19日の午前10時からの開催でした。
その年の組合員さんの採った自慢の漆を、いっせいにお披露目する会なのですが、今年は近年最多の出品人数の24人だったそう。
皆さんの力作、初辺(初夏の漆)、盛辺(真夏の漆)、末辺(秋の漆)のそれぞれの漆桶が40個以上も並びました。(なかなか、壮観な光景だったと思います)
そして、審査の先に「浄法寺漆認証マークの発表会」が行われました。
その浄法寺漆ブランドの認証マークはこんなマークです。
岩手日報さんの記事をごらん下さい。これからは、正式な認証を受けないと「浄法寺漆」を名乗れなくなります。
その発表会が終わったあとは…
いよいよ漆の審査です。(ドキドキ)
担当の漆掻きさんが、密封した漆の桶の蓋紙を開けて、中身を露呈してヘラを立てて、審査員さんがそれぞれの粘度や色、匂いその他を検分して、個別に評価をしていきます。

…あれ?
大森俊三さんの漆、今年はいつもと色が違いますよ。
(今年は、色がやや濃いような…)
大森俊三さんの盛り漆は、5貫目がこのあと荷造りされて、うちの工房に送られて来る予定なんですよ。
早く見たいです。


毎年、研修生は必ず共進会に出品することになっているんです。
自分の初めての仕事を、公の場で発表するんですから… こちらの方もそうとうドキドキでしょうね。
でも数ヶ月、慣れない山仕事で頑張った成果ですから、とても晴れがましいことですね。^^
ほどなくして、審査発表が出まして…。
初辺の部の金賞は、佐藤春雄さん。
盛辺の部の金賞は、大森清太郎さん。
末辺の部の金賞は、工藤竹夫さん でした。
なんと本間さんは、めでたく初辺の銀賞をいただいたそうで… わぁ、おめでとうございます

ぶじ、共進会を終えたあとは、皆さん連れ立って天台の湯にて打ち上げ会を行ったそうです。
ほんとうにお疲れさまでした。
(今年の共進会は、一般の方もかなり参加されたみたいで… 『ふゆかぶ』さんというカブ乗りさんのブログで、かなり詳しくレポされてて楽しかったです♪ 新聞記事よりも詳しいんです)
さてさて、無事共進会は終わったホッとしたところですが…。
気になるのは、今年の漆の「品質」です。
制度は発足されて、よきスタートを切ったものの、こちらの方は正直言って、かなりシビアです。
全体的に、今年採れた漆の色が「白っぽい」みたいなのです。
白っぽい色の漆…
これは水分が多い漆、すなわち身のつまっていない漆、質がよくないことを表します。(本間さんからの動画を見た松本が、とても心配して確認していました)
不安は的中で、今年の漆は例年より出来がよくないそうです…。
審査に立ち会った漆掻きさん自身もそう感じていたらしくて「今年の漆は全般的に白い、自分自身の漆も今まで採った中でも今年が一番白いと思う」とおっしゃっていたそうです。
ボジョレーヌーボーのように「今年もたいへんよい出来です」と毎年言えればいいんですが(毎年変わらず出来がよいのも本当かなあ、と思うんですが) 漆は人の仕事でもあるけど自然の授かり物でもあるので、なかなか難しいと思います。
そんなこんなで、うるしも自然の作物なので、年によって出来不出来は当然あるわけなのですが…
気になる事に、ここずーっと、いい年がありません。

値上りはぜんぜんいいんです。
でも、買うからにはいい漆が欲しいなあ…。
ああ、松本が浄法寺で漆掻き研修をしていたころは、ピカイチのいい漆が採れていたなあ!
あの時代よもう一度、という感じです。
さて、今回は見に行けず心残りだった共進会ですが…。
本間さんのおかげでその様子を少し知ることができました。ありがとうございます。^^
本間さんは、11月の上旬頃まで、浄法寺でいるそうです。
あと、もう少しです… また漆掻きのお仕事の様子も教えてくださいね。
初めまして、ACHILLESと申します。
ふゆかぶさんのところから飛んできました。
僕の叔母は浄法寺に住んでおります。
直接漆や浄法寺塗りに関わっているわけではないのですが、
やはり浄法寺の漆や漆器は割と身近な存在です。(とは言っても気軽に買えるものではないですが)
浄法寺の漆を使われて四国で漆工芸に取り組んでおられる方がいらっしゃるのは
なんだか嬉しくなってしまい、コメントを残しました。
今後も国産漆を使った漆工芸頑張って下さい。
ご紹介いただきまして有り難うございます。
地元のコミュニティラジオで、興味のある一般の方も参加できる共進会は10時頃から始まるようですよ、と紹介されていましたのでその時間に行ってみましたら、10時からは開会式や承認ラベルの発表式で、それが過ぎた頃から数人一般の方々も会場に入って来ていまして、式の間中はど〜しようかなと思っていましたよ。
第一等の生漆を使っての制作、志を持ち続けたまま、どうぞ良いものを創っていってください。
ふゆかぶさんの所から見つけてくださったんですね、コメントを下さいましてありがとうございます。^^
>僕の叔母は浄法寺に住んでおります。
直接漆や浄法寺塗りに関わっているわけではないのですが、
やはり浄法寺の漆や漆器は割と身近な存在です。(とは言っても気軽に買えるものではないですが)
わあ、ACHILLESさんのご親戚の方がいらっしゃるんですね。
浄法寺、私も漆の勉強のために滞在した事がありますが(天台荘さんの離れにいました)とてものどかで美しい町でしたよ。
ほんとに何もなくって日用品は、ほとんど二戸まで行って買い出ししていました。
もう今の季節は、そうとうな寒さなんでしょうね〜。←寒さに弱い;
そんな浄法寺の漆は、地元の方にとってはふるさとの光景の一部になってらっしゃるんでしょうね。
>浄法寺の漆を使われて四国で漆工芸に取り組んでおられる方がいらっしゃるのは
なんだか嬉しくなってしまい、コメントを残しました。
今後も国産漆を使った漆工芸頑張って下さい。
ありがとうございます。^^
浄法寺のいいところは、まだ昔の財産が色濃く残っているところです。
手作りのどぶろくや、凍り餅はおいしかったですねえ。また南部せんべいも食べたいです。
…なんだか食べ物の話になってしまいましたが;;
これからも頑張って続けていきます。
漆と猫の?日記みたいなブログですが、もしよろしければ、ときどき覗いてくださるとうれしいです。
わざわざこちらにコメントをくださいましてありがとうございます。^^
今年の共進会の様子を知りたくて、新聞記事とかを見ていたんですけど、いまひとつぱっとしなかったです。
で、ふゆかぶさんのレポが、どの公共の情報よりも、一番良かったです。花◎マルです。
読んでて「おおすご〜〜、これこれ」と思いました。笑
私ももう漆の世界に染まっていますから、あれ以上のフレッシュな?レポはできないです。しかもふゆかぶさんは世間を分かってらっしゃるから、ツボの押さえ方がうまいです。(漆関係の方でもあそこまでちゃんと意味を汲み取れる方は少ないのでは…)
写真もよくて、今年の漆の雰囲気もかなり伝わってきました。
>地元のコミュニティラジオで、興味のある一般の方も参加できる共進会は10時頃から始まるようですよ、と紹介されていましたのでその時間に行ってみましたら、10時からは開会式や承認ラベルの発表式で、それが過ぎた頃から数人一般の方々も会場に入って来ていまして、式の間中はど〜しようかなと思っていましたよ。
わわ、確かにあの雰囲気は、地元の方以外はちょっとなじめないかなぁ。^^;
それでも、今年はかなりの人出だったんですよ… いつもは、もっとあっけない感じです。
漆関係の方は来られますが、買いに来るのではなく「日本産うるしってなんだろう」という見聞を広めるために見学に来るだけの方がほとんどです。(中国産漆が、漆芸界の中心になってすでに世代交代が済んでるんですね… だから、漆をされている方も日本産うるしを知らなかったりするのです)
一昔前の共進会は、自分で選んだいい漆を競り落とそうと、札束を持った業者さんが大勢買い付けに集まって大変な熱気だったそうですよ。「今年はいい漆がたくさん買えるだろうか」と、きっといろんな方がドキドキハラハラして臨んだ集まりだったんですね。
それが近年は、日本の人じたいが漆を買わなくなってしまい、たった生産1トンほどの漆がほとんど毎年売れ残っているという状態が続いていました。
その「売れ残って年を越した漆」を、漆掻きさんが仕方なく半額以下とかというとんでもない値段で泣く泣く手放していたりしたのです。(日本産漆は生産量が少ないから使う人が少ない、と思われていましたが、意外とそうでなかったりするのでした。;;)
ここ近年は、ずーっとそんな時代だったんで、私たちみたいな若造がそのつもりになりさえすれば、たいした競争をせず浄法寺の漆の中でも気に入ったいい漆を買い続けることができたんですね…。
(漆掻きさんのご苦労や漆の良さは分かっていたので、ちゃんと漆は組合価格で買っていましたよ〜。←逆に『えっ?どうして?高すぎて悪いなあ』とびっくりされたりしてました。笑)
昨年から日光東照宮さんが、浄法寺の漆をほぼ買い占めに近い状態になっているので(しかも近年最高値で)、漆掻きのおじいちゃんたちは、ほんとに安心安心…といったところでしょうか。
でも、これも数年の事業なんですね…。
そのあとの事が、とっても心配だったりします。日光東照宮さんの発注がなくなるころに、もう漆掻きのおじいちゃんたちは引退されるでしょうし、ちゃんと次世代への引き継ぎができるのかなあ…。
でも、これは浄法寺漆にかかわる地元の方々におまかせするしかないですね。がんばっていただきたいです…。
そんなこんなで、うちの工房は今年たくさんの仕事を入れちゃってますが、仕事としてはもう漆代を出すためだけに働いているようなものです。(でも楽しいですが)
さてさて、ずいぶんとお話が長くなってしまいました。;
カブとか一輪に乗ってどこまでも〜♪の旅は、自由で楽しそうですね。私は北の方は、まだそんなに行った事がないのでとっても興味深いです。('o')
いつか、青森に行かれた時には「久慈琥珀」もレポの候補に入れてくださいませ! 笑
これからも時々のぞいてくださると嬉しく思います。