2008年11月04日

■2008年産の浄法寺漆、盛辺5貫です。

先月に浄法寺から届いた漆の中身を検分しました。
その様子をご報告しようと思います。

11/4浄法寺漆の桶3つ
クリックで拡大します。

今回、浄法寺の生産組合で買った漆は三種類。どれも大森さん一族の採った漆です。
今年の浄法寺漆は、5貫目、3貫目、1貫目と計9貫目にもなる仕入れでした。
さて、漆器なら当然使われていると思われている日本産うるしですが、初耳の方にはびっくりするようなお話かもしれませんが、有名な工房や会社や作家さんだからといって、そして高価な器だからといって、残念ながら日本産うるしを使っているとは限りません。使うとしても上塗りにいくらか使う程度でなんですよ。(個人の工房で、こんなに国産うるしをまともに買っているヘンな工房は、まずいないかと思われます…)

その、日本ではあまり使いたがられない?新鮮な日本産うるしの表情を、画面上ですがぜひじっくり見てやってくださいませ☆

バッド(下向き矢印)今回は、5貫目の盛り漆を紹介します。
11/4漆の桶を開く松本
しっかりとくくられた
藁縄を解いていきます。

大森俊三さんの盛り漆を頼んでいたのですが、認証ラベルの採取者名は大森正志さん(大森俊三さんの義理の息子さん)になっていました。

俊三さんとは、もう何年もやりとりをしているので品質には疑いがないのですが、今年は、共進会に行けなかったので中身が非常に気になります。(松本のうるし樹液の品質を見極める目はとても厳しいのです。もし、いまいちだったら…がく〜(落胆した顔) こわ〜〜

11/4漆の桶を開く松本

11/4藁の緩衝剤
5貫桶ともなると、重いせいか
藁の緩衝剤が下にも入っています。


11/4漆の桶を開く松本
いよいよ開けます!


バッド(下向き矢印)これが今年の浄法寺漆(盛辺=真夏の漆)です。(以下三枚、クリックで写真が拡大します)

11/4大森さん今年の盛り漆
11/4大森さん今年の盛り漆
11/4大森さん今年の盛り漆
…う〜ん。
最初から懸念していたことですが… 残念ながら今年の漆は、ぐあいを見ることができない状態でした。
樹液の様子は非常に乱れて正しく検分することができません。
よって今年の漆の評価の感想はなしです。(_ _;)

これには理由があります。
今回の漆は、どれも共進会に出品されたものばかりなのですが、今年からシステムが変わって、審査が行われた時に桶の中の漆が、撹拌されているというのです。(その話をあちこちで聞いた時点で、松本のテンションは急降下してましたバッド(下向き矢印)
去年までの共進会は、そんなことはまずしないで、多少は上澄みを動かすもののほぼ表面だけを静観してちゃんと終わったのです。が、今年からは共進会で十分中身を混ぜ切ってしまい、どの桶も成分分析に出したそうで…。
分析に出すことはよいことですが(工房でも使う漆の成分分析は出していましたし)でも、そのタイミングが悪すぎて泣けてきそうです。もうやだ〜(悲しい顔)

もっと、漆の内容が落ち着いてからにしてほしかったなあ…(発酵中のワインがかき回されて濁ったという感じです)
でも、現地の方針なら仕方がないです。
申し訳ないけど、うちで買う漆は次回からは共進会に出さない桶の方にまわしてもらえないかお願いすると思います。

11/4大森さん今年の盛り漆

でも、やっぱりとても品位の高い漆なんですよ。ぴかぴか(新しい)

悪天候の中、頑張ってそこそこいい漆を採ってくださったと思います。
また、今年は出来が今ひとつだの、かき回されちゃったとか文句を言っても、やはり今年の山と職人さんの「作品」のようなものです。
なんだかんだといっても、生まれたぴかぴかの赤ちゃんを見るのはうれしいものです。

11/4ヘラ立て
ヘラ立てしてみましたが、
漆の伸びや粘度はまあまあです。
(写真は拡大します)


…最初は「‥‥」と険しい顔をしていた松本ですが(がく〜(落胆した顔) こわ〜)やがていくらか納得したようです。
その後、漆掻きさんたちと電話でいろいろ話をして、来年の予定を考えてるようでしたよ。

今年、工房に来た漆の桶は、ほかにも4つあります。
一度にアップするのはあまりにも大変なので、これから一つずつ詳しく紹介していこうと思います。(ほか、ヘラ立ての様子の動画も撮っていますので後日追加します)
それぞれの今年のとれとれ漆樹液をごらんいただけますと嬉しく思います。^^


posted by 宮崎佐和子 at 23:59| Comment(2) | TrackBack(0) |   工房に届いた漆たち
この記事へのコメント
「和うるし」を生活の中心においてその可能性をこうして日記で外から見ることができるのは素晴らしいです。
お二人もまた「和うるし」と通え合えて、なんとも魅力的です。
Posted by 佐藤 at 2008年11月05日 10:24
佐藤さん、こんばんは!
(もしかして、初めまして‥でしょうか)
このたびはコメンを下さいまして、ありがとうございます。^^

>「和うるし」を生活の中心においてその可能性をこうして日記で外から見ることができるのは素晴らしいです。

わ‥ ありがとうございます。
2年半前に、友人にすすめられておそるおそる始めた日記ですが、いろんな方が見てくださるようになって、びっくりしております。
今の時代、こうした素材はある意味公的な財産ではないかと思うようになりました。
使わせていただくのは私たちで、もちろんこれで生活しているわけなのですが、ここまで土壌が小さくなってしまうと、無くなりかけているものを見ていただく方法を作るのも、一つの使命のように思います。

>お二人もまた「和うるし」と通え合えて、なんとも魅力的です。

いえいえ‥本当にそうだとうれしいのですが。^_^;;
うまくいかないことが多くて、試行錯誤しています。(またそれも楽しかったりするんですが)

これからもときどき見てくださるとうれしく思います。
どうぞよろしくお願いいたします☆
Posted by 宮崎佐和子 at 2008年11月05日 21:16
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