(今日も、うるし樹液の写真がいっぱいです‥!)
日本最大の漆樹液産地、岩手県二戸市浄法寺町。
今なお漆掻き職人さんが仕事に切磋琢磨されて、貴重なうるしを採っている地です。
松本は、この浄法寺町で日本うるし掻き技術保存会の研修生として2000年漆掻きの仕事を学ばせていただきました。
その後、現在の工房を持って仕事を始めたのですが、その仕事にこの浄法寺の漆は欠かせない存在です。


左の桶は、大森俊三さんの末辺漆3貫目です。
(クリックで拡大します)
(クリックで拡大します)


前回と同じく、厳重にくくられた
藁縄を解いていきます。
藁縄を解いていきます。
この「末辺漆」というのは、盛り(真夏)の次の時期つまり秋期に採れた漆のことをさします。
これは9月に採った漆です。

桶の蓋に、松本の名前がチョークで書いてます。

浄法寺漆の認証マーク。

この桶の漆の出荷票。

浄法寺漆の認証マーク。

この桶の漆の出荷票。

いよいよ開けますよ‥



(以下の写真、すべてアップになります)




う〜〜ん。
これは予想外でした。
何が予想外かといいますと… 実はこの末辺漆、「下地漆にしようか」と思って注文していたのです。
ふつう、日本産うるしはあまり使われませんが、使うとすると上塗りに使われます。(中塗りはもちろん、下地は中国産漆かウレタンになります)
でも、うちの工房はおかしな工房なので、木地固めからすべて国産漆のいいのを使います。当然、上塗り漆よりも中塗りや下地漆のほうがたくさん量が要りますので、この漆は「下地用に末辺漆も買わなくちゃ」という感じだったのです。
しかし、なかなかいいじゃないですか、この末辺うるし…

(正直言うと、本命だった盛り漆よりも気に入りました)
もともと、秋のうるしは好きなのですが… これは盛りうるしと立場が逆転するかもしれません。


一緒に仕入れた、盛り漆5貫目よりも柔らかいです。
盛りよりも、大きい木くずが入っているのが目立ちますが、これが秋のうるしの特長の一つなんですよ。
この末辺漆、熟成を経てどんなふうに化けていくのか、かなり楽しみになってきています。
下地にウレタンってもはや。。。(笑)
はじめて和漆の桶姿を見て感激です。
機関車と新幹線の姿の差を見るようです。
外側の形から手に取るように桶の、縄の、姿が姿になる過程がわかって、なんて力強くて素敵なんでしょう。和うるしにふさわしい外装ですね笑。
産地の特性で、今ウレタンから和うるしの使い方までを習っています。真贋の別はあっても、巧拙に上下はありませんね。和うるしから直に教わりました。
今年のうるし、見てくださってありがとうございます。^^
なかなか、いいでしょ??
>某人間国宝の故、黒○先生は下地にこそ国産をふんだんに使ったそうですが、今の人は逆転していますよね。
黒○先生、大御所ですね〜。
一般の方から見れば、家作りも外観だけでなく土台にいい材料を使ってしっかりしてあってほしいように、こちらの方もそうあってほしいと思われるものでしょうが、そうはいかないものです。(まず、量がぜんぜん足りません。国産の流通量は外国産の1/100ですから‥)
そして「下地に中国産漆やウレタンを使うなんて」という意味で、上の記事の文章を書いたつもりではないんです、そこはお察しくださいね。
でも、一般にアナウンスされていないので、知らない方は「こんなにお椀が存在するなら、国産うるしっていっぱいあるんだなあ」と思ってらっしゃるかもしれません、ほんとは危機的な状況なのに‥。;_;
>下地にウレタンってもはや。。。(笑)
それがけっして「よくないこと」とは思っていないんですよ〜。
素材に本物を求めている方ばかりじゃない世の中ですので(とんでもなくお高くなっちゃいますし;)いろいろ選び幅があるものでしょう。ただ説明義務が消費者側でなくて生産側よりなので、たいへんお客様にはわかりにくい状況になっています。(食品でさえ、材料がわかりにくいですものね)
そのあたりの理解がもっと広まればいいなあ、と思っています☆
そしてはじめまして!
このたびはコメントをくださいまして、ありがとうございます。^^
>まったくの漆技の初心者です。
はじめて和漆の桶姿を見て感激です。
わ〜うれしいです!
頑張って、写真を撮ったかいがあります。涙
>機関車と新幹線の姿の差を見るようです。
外側の形から手に取るように桶の、縄の、姿が姿になる過程がわかって、なんて力強くて素敵なんでしょう。和うるしにふさわしい外装ですね笑。
そうなんです。
この木桶はもう見られなくなって、漆の流通の容器と言えばプラ桶かチューブになっちゃっていますが、木桶、とても美しいんです。
いつも丹精こめて荷造りされた桶を見ると感動します。これもなくなりつつある伝統の技だなーって思います。
>産地の特性で、今ウレタンから和うるしの使い方までを習っています。真贋の別はあっても、巧拙に上下はありませんね。和うるしから直に教わりました
漆器産地の方なんですね。
見てくださって嬉しく思います。
柔軟性のあるものの見方や触れ方って、やはり強いです。頑張って下さいね。
いま、どこの産地も大変だと言われて長いですが‥ 漆だけでなくてどの伝統工芸も大変だと思います。(私たちも、がんばります)
これからもときどき見てくださると嬉しいです、これからもよろしくお願い申し上げます。
(_ _)
本物を求める消費者を満足させられるような物を誠実に生産するのが一番ですよね〜!!!
ウレタンから和うるしまでを使う、漆技を<幅>と考える産地の特性の見方からすると、言われることは正論に思います。
私はまだ塗りと蒔絵の技のやり方知ったという段階にいて、作品を創れるわけじゃありませんが、東京・三越での秋の伝統工芸展を見てそれを基準に、漆器をなんとか見ています。
するとこういう問題があります。
ある作家さんが和うるしを使って作品を創ります。出来上がったものを前に、いかに和うるしを使いこなすのが難しかったかを言います。
でも、私が未熟なぶん理解ができないのかもしれませんが、目の前の作品の形が、どうひいきめに見てもよくないのです。
和うるしを使う技はあるのでしょうが、和うるしと測りあえるほどの形を作る技量はまだないのではないかと思ったのです。
>いろんなニーズに対応するという意味では問題ないと思うんですが、ウレタンの上にうっすら漆を塗って「漆仕上げ」のシールを貼りあたかも漆だけで仕上げたかのように見せるのは、本物を求める消費者を欺いてますよね。
う〜ん、私も何知らぬ昔は、それを見て「へえ、これがうるしなんだ」と思っていましたよ。^^;
(目に入るのは値段と色と形だけでした‥)
とにかくまぎらわしいことだけは間違いないですねえ。
>本物を求める消費者を満足させられるような物を誠実に生産するのが一番ですよね〜!!!
品質表示は、ものを求めるお客様にとって大事な指針になりますから、明瞭であってほしいなと思っています。
どうしても高価なものが多くなるので‥ ちゃんと納得してから選べるようになりたいものです。
でも、これって漆の世界の話だけじゃない気がしますね。
‥なんともわかりにくい世の中です。
黒柿さんあてにお返事をいただきましたが、私の方から代わりに返事させてくださいね☆
このへんはなかなかデリケートかつ、取り違えやすい部類の話題なのかもしれません。
う〜ん、どうご説明すればわかりやすいでしょうか‥。
「漆器」には現在、いろんな成り立ちのものがあります。いま、青葉マー子さんが話題にあげていらっしゃるのは、産地の漆器(通産省)と日本伝統工芸(文化庁)、作家もの‥というところですね。
でも、これらを、おなじまな板の上で話題にあげるのは難しいんです。
同じ「漆」という看板がかかっていても、それぞれ歴史も目指す方向や評価基準も別々のほうを向いているんです。(やや重なっている部分もあるかもしれませんが)
同じ小麦粉を使っていても、ケーキとお好み焼きとまんじゅうを(でも『こなもの』でひとくくりに話題にされることがあります)、どれが一番おいしいかは、同じ基準では評価できないですよね(結局個人の好みになります)
漆の世界もそんな意味では近いものがあると思います。
>ある作家さんが和うるしを使って作品を創ります。出来上がったものを前に、いかに和うるしを使いこなすのが難しかったかを言います。
>でも、私が未熟なぶん理解ができないのかもしれませんが、目の前の作品の形が、どうひいきめに見てもよくないのです。
和うるしを使う技はあるのでしょうが、和うるしと測りあえるほどの形を作る技量はまだないのではないかと思ったのです。
‥そういえば、漆の専門店の方が私たちの作品会場に来られた時に「ここには漆がない」と言われたことを思い出しました。^^;
今回、桶でお見せしたような漆を使って、日本産漆そのものの表情を出した器は、いままでの漆器を見慣れた方には、あまりにも漆のイメージから、かけ離れたものだったらしいです。
でも「これがいい」と言って下さるお客様もいらっしゃるので‥ そのあたりは、どうしても好みの問題になってくるかと思います。
なんともややこしい話になってすみません。
これからもよろしくお願いいたします。^^
だからこそ現実(矛盾)に振り回され埋もれてしまわないために、たえず「至上の漆」を求めていないといけないのかもしれません。
作品を見ると、とかく形や見た目に議論が写りがちですが、それ以前に、それが誠実に正直に作られているかどうかが一番大切なことかなと思います。
十人十色の感性の部分で納得できるできないはたしかに大切ですが。。。
作品が誠実に正直に作られているかどうか、それが分かるような眼を創っていきたいと思います。
ありがとうございました。