2008年11月06日

■2008年産の浄法寺漆、盛辺1貫。

今年の浄法寺産の漆、三つ目の桶です。

前回の末辺漆5貫目、前々回の盛辺漆の3貫目、ともども「大森さん(俊三さん、正志さん)」ですが、今回の漆は大森清太郎さんの漆になります。ご親戚なのですね。(清太郎さんは、俊三さんの甥御さんになります)

11/6浄法寺漆の桶3つ

この中で下の、一番小さい桶です。
(クリックで明細写真が出ます)

「浄法寺産」の漆だからといっても、けっして誰が採っても一様の品質のうるしが出るとは限りません。
うるし掻きさん自身の技術はもちろん、理論や方向性でまったく違う漆になります。基本的にうるしは木にキズをつければ出るものですが「よい漆」を採ろうと思うと、簡単ではないです。

工房では、浄法寺漆といえば、まずは大森俊三さん。
そして同族の大森清太郎さん、その息子さんの貴太郎さんの漆を使うことにしています。同族、ということで流派も同じなのです。


バッド(下向き矢印)大森清太郎さんの漆の出荷票です。
11/6浄法寺漆の出荷票
11/6盛り漆1貫目の桶を開く
開けます〜。

清太郎さんの桶は、いつもビニール紐です。(桶が小さいからかな?)こうした桶の荷造りも、漆かきさんによって個性が見えて楽しいです。

さて、気になっている方もいらっしゃるかもしれませんが、松本が紐を切っているこの恐ろし気な?カマは、漆かきの道具(漆の木の皮を剥くカマ)です。

11/6盛り漆1貫目の桶を開く2
11/6盛り漆1貫目の桶を開く3
いよいよオープンします。(どきどき)



バッド(下向き矢印)これが、大森清太郎さんの盛り漆です。(以下の写真はクリックで拡大します)
11/6大森さん盛り漆1

11/6大森さん盛り漆2
11/6大森さん盛り漆3

写真を撮りながら、なぜか、真夏の澄んだ井戸を思い出していました。

清太郎さんのこの漆も、共進会に出したのかな?
1貫目の桶なんですが‥。(一般的に共進会に出すの5貫目の桶です)
これも大森俊三さんの盛り漆と同じく、液が撹拌されたような様子で表情が乱れていて、正しく性質を見極めることが困難です。

でも、思ったよりもいい漆でした。
大森清太郎さんからは、毎年盛り漆だけを買っていたのですが、おそらく今までの中で一番いい漆だと思います。
今までは、必ずかすかにアクが入っていたのですが、今年のうるしにはまったく見られないんです。

かなり、松本はうれしそうです。


バッド(下向き矢印)ヘラ立てしてみました。
11/6大森さん盛り漆のヘラ立て
(クリックで写真が拡大します)

‥さらさら漆ですが、ちょっと液が途切れてますね。
(ヘラから落ちる漆が長く糸をひいて途切れないのが、伸びのいい漆)
大森俊三さん(正志さん)の盛り漆は、そこそこ伸びていますので、比較するとわかりやすいかと思います。
とは言っても、松本が求めるのは「至上の漆」で最高点を基準にしているのでこんな感想になりますが、間違いなく日本で高ランクの漆なんですよ。(辛口ですみません〜たらーっ(汗)

今まで大森清太郎さんの漆は、お箸やスプーン類の木地の木地固めなどの下地に使っていました。(ちょっともったいないですが、いい下地漆って必要なんです)
でも今回の漆は、いいですねえ。
中塗りか‥今後の漆の熟成のぐあいで、上塗りにも使うかも知れません。

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posted by 宮崎佐和子 at 23:59| Comment(4) | TrackBack(0) |   工房に届いた漆たち
この記事へのコメント
宮崎さんの和うるしのお話はとっても明快で深いです。私はこう理解しました。

漆は漆の木に、漆としてはじめからあるのではなく、漆掻き職人の技によって(木の選択も含めて)漆を生成させるから、漆を採取ではなく漆を<掻く>というのですね。そしてだから松本さまが求めるように、<至上の漆>が在るということになるわけですね。
Posted by 青葉マー子 at 2008年11月07日 13:58
 事務局のmtzです。

 先日こちらから出荷した漆のレポート、とても興味深く拝見していました。
(認証ラベルの下手な字は私のです・・)

 確かに撹拌することでそれぞれの漆の表情が見えなくなることになりますね。

 共進会ではまず撹拌しない状態で審査をして、その後に測定のため撹拌していました。

 購入予定者の希望によって、漆を撹拌しないこともできると思いますので、今後松本さんや宮崎さんのご意見をいろいろお聞きできればと思います。よろしくお願いします。

 別な話になりますが、こちらでは漆の「樽」と読んでいますが、正確には「桶」なんですよね。個人的に不思議に思っていました(^-^)

 来週月曜には末辺の認証と出荷があります。今シーズンもそろそろ終了です。
Posted by mtz at 2008年11月08日 04:47
青葉マー子さん、こんばんは!

「木と対話する」という言葉を、大森さんがよく言われます。^^ 
私も何も知らない頃は、人が木から漆を搾取している、というイメージがあったのですが今は、人と木が作り出すんだなーと思っています。

Posted by 宮崎佐和子 at 2008年11月08日 19:09
mtz さん、こんばんは!
いつもお世話になっております。^_^
そしてコメントを下さいましてありがとうございます。♪
わわ、mtzさんが認証ラベルを書いて下さっていたとは。(見慣れない字だったのでどなたが書いてくださったのかなあと思ってました)

>購入予定者の希望によって、漆を撹拌しないこともできると思いますので、今後松本さんや宮崎さんのご意見をいろいろお聞きできればと思います。よろしくお願いします。

今回、いろいろ変わってしまったので正直言って戸惑うことばかりでした。
今年も「漆は共進会に出してくださいね〜」といつもの調子で漆かきさんにお願いしていたので、かき混ぜたということは後になって聞いた時は、かなり動揺してしまいました。;;(事前にご連絡があれば、うれしかったのですが)
撹拌すると漆の表情が見えない、ということもありますがその後の品質にも大きく影響します。今年は知らないところで混ぜられてしまい、それが一番、つらい所でした。(混ぜられても全然平気な方もいらっしゃると思いますが‥うちはそうじゃないのです)
この場を借りて恐縮ですが、工房のいちばん大事でかつ高額な仕入れになりますので‥ 日光東照宮さんだけでなくってうちみたいな小口客の方も、来年からはご配慮いただくと幸いです〜。(_ _)
(‥と、どことお話すればよいのでしょう。組合?事務局?いつものように漆かきさんでいいのかなあ)

> 別な話になりますが、こちらでは漆の「樽」と読んでいますが、正確には「桶」なんですよね。個人的に不思議に思っていました(^-^)

わ、ご指摘ありがとうございます。
蓋が付いている容器なので「桶」でなく「樽」の方が正確ですね。(←松本に怒られてしまいました。シュン)
これからはちゃんと統一していきますね。

さてさて、ついでに気になることをもう一つ。
今回、共進会の漆は分析に出したとのことですが、検査結果はどうされるのでしょう。
工房に来た漆の樽から出た分析結果は、ぜひ知りたいです。

いろいろとお忙しいと思いますが‥、これからもお世話になりますね。
どうぞよろしくお願いいたします☆
Posted by 宮崎佐和子 at 2008年11月08日 20:45
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