2008年11月18日

■「西日本の漆を守る会」参加レポ/1

「西日本の漆を守る会」の今年の交流会は、四国で唯一の漆樹液産地の徳島県で開催されました。
さて、どんな様子だったのでしょう?
初めて会に参加する、香川県漆芸研究所で漆芸を学んでいる研修生「あじ」さんがレポしてくれました。ムード


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2008年8月23日(土)

午後1時、徳島県三好市山城支所前に集合
→移動 東さんの漆畑へ
 ・漆掻き見学・体験


8/23、24に徳島県三好市で開催された「第11回西日本の漆を守る会」に行きました。今回は50人近くの方が参加されていました。
まず、8/23の1日目は、徳島の漆掻き職人・東さんの掻いている漆の木での漆掻き見学・体験です。
細い山道を車で登り、車から降りて歩き山道をそれて少し下ったところに漆の木がありました。(あじ)


11/18徳島の漆かき体験
うるし掻き中の木を前に、
参加者の方に説明する東さん。


この三好市山城町は、阿波池田や祖谷にほど近い地で(先日、合併して現在は同じ市になっています)、土地は傾斜面が多く、町の9割以上が傾斜地です。
土は黒くよく肥えており、また雨も豊富で気候も温暖、漆の木の成長はかなり早いです。
漆の木は、浄法寺町のように集中した畑はなく、渓谷沿の道路に面した斜面に点在する、という感じです。そして以前から植わっている漆の木のほか、東さんがご自分の土地に10年以上前から木を植えて増やしているんですね。


さっそく、そこで漆掻きを見学・体験です。
ウルシの木は、直径15〜18センチくらいです。阿波の漆掻きは、木を傷めないようにキズの間が広めにとってあるそうです。試しに掻かせていただくと、木が意外とやわらかく、キズを入れやすかったです。(あじ)



11/18徳島うるしかき体験

キズを入れるよりも、にじみ出た漆をヘラで取るのが難しく、なかなか1回ですくいきれなかったです。力を入れずに、キズのみぞに添わせて採るのですが、ヘラから漆がこぼれてしまい、何度もキズをさわって採るようになってしまいました。
何度もキズにヘラをとおすと、木の弱りにつながり良くないのだそうです。(あじ)


11/18徳島うるしかき体験

漆の木1本の漆の量は(人の血液量が決まっているように)決まっているそうで、たくさんキズをつければたくさん漆が採れるわけではないそうです。
木を弱らせないように、ちょっとずつ漆をとっていく「生殺し状態」が量をたくさん採るコツだとおっしゃっていました。
採った漆は今回特別の容器(ペットボトルとフィルムケースで作ったお手製)に入れました。
最後に、酸化を防ぐためにチッ素ガスを容器に入れました。(あじ)


11/18


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→移動 塩塚高原キャンプ場へ
 ・阿波・丹波・備中・吉野の漆分析結果のお話>

たいへん興味深い、産地別の漆の成分分析。
次は(株)林原生物化学研究所の渋谷孝さんが、講師としてお話をしてくださったそうです。いったいどんな内容だったのでしょう。
ではあじさんのレポに戻ります。

漆掻き見学・体験の次は、キャンプ場に移動しました。
そこで、阿波・丹波・備中・吉野の漆の分析結果の講習会がありました。

※分析材料
 1.備中漆(新見産、岡山県新見市法曹)7/23 小野氏採取
 2.備中漆(蒜山産、岡山県真庭市蒜山)7/24 小野氏採取
 3.阿波漆(徳島県三好市山城町)7/24 東氏採取
 4.丹波漆(京都府福知山市夜久野町)7/23 岡本氏採取
 5.吉野漆(奈良県宇陀郡曽爾村)7/25 小野氏採取


分析する限りでは、山地で多少の漆の成分に違いがあるもの、木自体の性質の違いとまではいえないそうです。木自体よりも、採取法、保存、精製の方が影響が出やすいようでした。
さて、保存に関しては驚いたことがあります!
漆には糖分が(確か)1パーセントあり、その糖分と菌が働いて漆の状態を変化させるのだそうです。
その菌の種によって、漆をいい香りにする時と臭い匂いにする時があるそうです。
私は日本酒や漬け物、味噌、醤油等の発酵食品と同じことかなと思いました。漆はまだどの菌がどんな影響を及ぼすかわかっていないそうですが、それが発見されれば漆も日本酒のようになったりするのだろうかと思いました。
そうなれば、地酒ならぬ地漆!? (あじ)


あじさん、ありがとうございました。
漆の発酵は私たちにとっても、とても興味深い課題です。
この「発酵」がうまく進むかどうかによって、その漆がどれだけ出世するか(良くなるか)がかかっていることを体験で知っているので‥。
ほんと、お酒と同じだと思います。
そしてコンディションのよくない漆と、発酵に適さない場所でも保存は、うまく発酵せずに「腐造」してしまうことがあります。
本当にデリケートで面白いですね。



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 ・お風呂、懇親会


さて、長い一日でしたが、お疲れ様でした。
お風呂と夕食のあとは、恒例の?懇談会です。「漆」をキーワードに集まった、西日本の漆かきさん、漆作家さん、漆を学ぶ学生さん、その他漆に関わることをされている様々な年代や立場の方が、一同に集って楽しく談義します。
(残念ながら、あじさんは疲れて爆睡してしまったそうで…翌日、友達に「盛り上がったよ♪」と言われたそうです)

明日のレポも楽しみです。

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posted by 宮崎佐和子 at 21:31| Comment(0) | TrackBack(1) |   西日本の漆樹液産地
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