2009年02月19日

■超つや消し塗りの漆椀。

工房で使っている漆は、ぜんぶ日本産なのですが、ただ『日本産』というものではないんですよ。^^
国産漆にもピンからキリまでありまして…。
工房の漆は、漆マニアの松本が漆かき職人さんに受注生産したもの、「これ、いい!」と言って選んで仕入れたものだけを使っています。
なので、ふつう?の漆じゃないのですね…。
つまり『おたくの漆』です。
(↑松本いわく『これが最高品質の国産漆たちなんだけど…;;』)

とにかくレアすぎて、国産漆が珍しくなって久しいいま、世間一般の皆さまがたが見て、おそらく漆とは思えない表情のものがときどきあります。
その中で、私が「変わっているナア〜」とつねづね思っている塗りのお椀があります。

バッド(下向き矢印)それが、このお椀です。
2/19艶消しの漆椀1
2/19艶消しの漆椀2
(↑クリックで拡大します)

ずっと在庫置き場兼書庫に置いてあるものの一つなんですが、すごい艶消しなんです。この「艶消し」の表情は、日本産うるしの持つ表情の一面なんですが、とにかくすごいケシです。
過去にも超艶消しのものとして、「超艶消しの粥椀」とか「浄法寺漆の艶消し椀」をこの日記でご紹介してきましたが、それをもしのぐ?艶消しなのです。(あ、この板皿もかなりの艶消しですね。でもこのお椀はこれよりももっとヘビィです)

手に取ると、それがよりリアルに体感できると思います…。
「超艶消しの粥椀」はシャリシャリとした手ざわりなんですが、それを通り越してこの子はなんだかゾリゾリといった感触です。;;
「漆は温かみがあって優しくて…うんぬん」という、世間様のイメージを蹴散らかすような、そんな不敵な力強さがあるんですよ。

バッド(下向き矢印)裏面です。高台の中は上塗りの漆と違うので、質感もぜんぜん違うのが分かりやすいと思います。
2/19艶消しの漆椀3
(↑クリックで拡大します)


さて、このお椀と同じタイミングで作ったと思われる兄弟がいます。
この子の方が、よりその塗り肌の特異さが分かりやすいと思いますので一緒にご紹介しますね!


バッド(下向き矢印)同じ形の木地に大胆な面カットをほどこしたものです。
2/19艶消しの漆椀4
2/19艶消しの漆椀5
(↑クリックで拡大します)

…これを見て「ゴジラみたい」と思ってしまう私です。どんっ(衝撃)
(わっごめんなさい〜)
こういった面カットは、ある時期、松本がはまってやっていたものです。ところどころある裂け目みたいなのは、木地を面カットする際にできたものです。場所によって、木の繊維が引っ張られてこうなったのをそのまま仕上げているんですね。(縦木なのでこういった縦方向の削げ方をします)
おそらく新しい刃物が来て、有頂天になって彫ったものだと思います。

バッド(下向き矢印)角度を変えて取ってみました。
2/19艶消しの漆椀6
(↑これもクリックで拡大します)

…とにかく漆らしくない!の一言のお椀です。
(手触りだけでいうと、塗り物というより備前焼とかのほうが近いです)でも、やはり木と漆なのでひやっとはしません。そして軽いです。そのミスマッチが楽しいです。
そして、朱溜めなんですが… 意外と透けているような気がします。
とにかく不思議な感じ(私にとっては)のお椀です。
原始的なパワーを感じるんですね。

ながらく在庫置き場兼書庫に置いてあるので、お取り置きか何かだと思うのですが…。

バッド(下向き矢印)最後に塗り肌の超アップです。
2/19艶消しの漆椀7
(↑クリックで拡大します)


いろんな年度、時期、保存方法の漆をたくさん保管しているのですけど、どれを上塗りの漆に使うかで、仕上がりがまったく変わってきます。(また、以前と同じ漆でも塗り上がりが変わってきたりするんですよね…)
そんなやっかいなレア漆たちですが、私たちでも「わあ!」という表情を見せてくれるので、ほんとうに目が離せないんですよ。ムード

今日もぽちっと☆→  人気blogランキング
にほんブログ村
posted by 宮崎佐和子 at 23:22| Comment(8) | TrackBack(0) | ■ 和うるしの作品
この記事へのコメント
塗肌のアップ、なんだか木地や漆が呼吸してるみたいです。
Posted by monaco at 2009年02月20日 16:24
monacoさん、こんばんは!
お忙しい中、見てくださってありがとうございます。
また寒くなりそうですね。早くあったかくなってほしいです。

>塗肌のアップ、なんだか木地や漆が呼吸してるみたいです。

わあ、すてきな表現をありがとうございます。^^ このゴジラ椀?、見る方によって好みは分かれるところですが、ほんとに生き生きしていると思います。
こんな楽しい表情を見せてくれる漆って、とても奥が深いなあ〜と今さらながら感心してしまいます。
Posted by 宮崎佐和子 at 2009年02月20日 23:16
日本産うるしについて、ここではじめて勉強させてもらって、だいぶわかってきました。
日本産うるしは曖昧なものでもなければ、神秘的なものでもないんですね。
あまりに<物に即した正確さ>をもつものなのですね。
本当に在るものは、たえず動いて変化する。これに応じて、手を施すものは、たえず動いて変化するこの身しか無い。
これこそが厳然として事実なんですね。
Posted by 南天 at 2009年02月22日 10:28
南天さん、こんばんは。
なんだか哲学的なコメントを下さいまして、ありがとうございます。^^

うーん、私にとってはなのですが、やっぱり日本産うるしを一言であらわすのは、ちょっとムツカシイです;;
でも、この日記を通じて、いろいろ感じ取ってくださるのはうれしいことです。

どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。
Posted by 宮崎佐和子 at 2009年02月23日 21:03
わからないこと書きました。
ごめんなさい。
「日本産うるし」は、
求める人の力量に応じて、
いくらでも深くも、
浅くもなるものなのですね。
Posted by 南天 at 2009年02月23日 21:33
南天さん、こんばんは!

南天さんは、かなり込み入ったことを考えられることができる方なんですね。(私は…単純脳?なので、むつかしく考えることができません〜;; スミマセン)

>「日本産うるし」は、
求める人の力量に応じて、
いくらでも深くも、
浅くもなるものなのですね。

そうですねえ。
使う人の『力量』というよりも、使い手さんがどこまで求めるかどうかだと思います。とことん求めれば『こんなものがあるのか』というものを見せてくれることがありますし…。そうでなければ、面白い姿はあまり見せてくれません。
いろいろ引出しを持っている素材なんですよ。^^ 私にとって、ものすごく神秘的なものです。

うまくお返事になっているかどうか心配ですが…。
これからもよろしくお願いいたします☆
Posted by 宮崎佐和子 at 2009年02月24日 21:36
漆塗りの作業で、技術に疑問があります。
質問すれば 教えてもらえますか。
Posted by 浜口貴一 at 2009年09月03日 23:25
浜口さん、はじめまして。
この日記にコメントを下さいまして、ありがとうございます。^^
漆にご興味があるのですね、講座などで習ってらっしゃるのでしょうか?
工房のつたない漆の仕事に、関心を持って下さってうれしく思います。

>漆塗りの作業で、技術に疑問があります。
質問すれば 教えてもらえますか。

はい、お答えできる範囲でしたら、できますよ☆

…と言いますのも、漆の仕事って全般的に微妙なカンどころの作業なので、こうしたコメント欄での文章のやりとりで微細なことをお伝えするのは、とってもむずかしいのです… ;;
もし、漆の教室にまだ行かれていないのでしたら、現場で先生に直接聞かれることをおすすめします。
とくに、ここの工房では、気難しい国産漆を使っていますので、実際に使っている私どもでも、よく説明できないことって多いんです。
(たとえば、この記事のお椀は超つや消しの塗り肌なんですが、これはこの漆の素材の特色で『こうすれば、お手持ちの漆で同じようにできますよ』とは言えないのです)

いやはや、こんな感じでほんとに恐縮なのですが、お料理のレシピのようにはいかないことを、先にご了解いただけると助かります。^^;

では、よろしくお願いいたします。
Posted by 宮崎佐和子 at 2009年09月04日 21:40
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/26948159

この記事へのトラックバック
Powered by さくらのブログ
y
<!-- [FC2 Analyzer] -->