今回は生うるしの方をご紹介しようと思います。

これが生の枝うるし。
中には「山枝」と書かれた但し書きが付いています。
中には「山枝」と書かれた但し書きが付いています。

漆の木が絞り出す最後の漆。
同じ漆の木、同じ漆かきさん(大森俊三さん)の手からのものですが、
幹から採る辺漆とかなり様子は違って、白っぽくクリーム状です。
同じ漆の木、同じ漆かきさん(大森俊三さん)の手からのものですが、
幹から採る辺漆とかなり様子は違って、白っぽくクリーム状です。
さて、今回の枝漆。二種類の違いは、
(1)池の水に漬けて採取し、精製した漆
(2)山で採った枝漆の生うるし。(今回紹介した漆)
通常は(1)のように、切り取ったうるしの枝を池の水に漬けて、その枝から漆を採取するのが一般的な「枝漆」です。(とはいっても、現在、枝漆はほとんど採られてないのですが‥)

岩手県浄法寺町の大森俊三さんの山枝うるしの採取です。
(撮影/松本)
(撮影/松本)
池の水に浸けずに採るには、裏目うるし採取の時期(10月後半〜11月頭)に、山で漆の木を切り倒した後、ただちに枝を切り集めるところから始まります。(漆樹液を採り尽くして、木を切り倒す時に行うのです)
集めた枝に溝(ヒビ)を付け、枝を立て掛けて漆樹液がにじみ出るまで置いておきます。
置いておくと切ったばかりの枝は、自力で樹液を出します。(池に浸けて採る枝うるしは、水から出しただけでは樹液が出にくい)
ある程度、切った枝が集まると、様子を見ながら順次にじみでた樹液を掻き採っていきます。

山枝うるし樹液を掻き採る様子。
こうして“掻き場”を作って、タカッポ(うるしを溜める木の皮の容器)に、ほんの少しの枝うるしを落とし込んで集めていくのですね。…なんとも地道な作業です。
この山で採る枝うるし掻きの作業の大変なところは、スピードとタイミング。
木を切り倒して、枝に生きた圧力が残っているうちに傷を付けておかないと樹液が出なくなってしまうのです。(時間が経って樹液が出なくなった枝は、池に浸けて水を吸わせないと樹液が出にくくなる)
しかも大変な重労働。(特に山漆掻きは、池より過酷なのです)
それでも、以前は山枝うるしを採っていたのは、やはり需要があって使う人がいて、漆かきさんも多少は収入になったからです。
やはり、池に浸けた枝うるしのように水を吸っていないので、品位は池のものより良いのです。(なので、今回は生うるしで受け取りました)
漆かきの町、岩手県浄法寺町でも昔の風物詩?となってしまった枝漆。
今回来た漆も、大森俊三さんが採取している時に「この枝漆、誰が使うのか」とちょっとした話題になったそうです。
そしてこの過酷な山枝うるし掻き、採って下さった大森俊三さんも三日間がんばって下さったそうですが、ご高齢のためかさすがに堪えたらしく、「山枝うるしはきついな…」と漏らしたそうで…。ちょっと心配です。
(なので、きょう紹介した漆は、3日間仕事して下さったものなのです)
俊三さんには、もっと頑張ってほしい気持ちもあるのですが無理も言えず、ベテランの最高品質の漆掻きさんの漆が見られるのも、もうそんなに長くはないかもしれないなあ。
そう思うとすごく責任を感じて、私たちがもっとがんばろうと思います

枝の作業は形成層を通り越して、木部まで到達し抵抗も大なので、刃物の切れと、うでっぷしも必要でした。