2007年07月02日

■日本産漆と中国産漆の違い。

「日本産漆と中国産漆って、どんなふうに違うんですか?」

私たちが、お客様や取材の方とお話するとき、どうしても上記のようなご質問を必ずといっていいほどいただきます。
でも、これって一言でお答えするのが難しいのです…。
それは両国のウルシが、同じ土俵で比較できないからです。

そして、同じ文章のご質問の言葉でも、問いかける方によって、知りたいと思っている意図が違うのを感じます。

「日本産漆と中国産漆の違いはなんですか?」

これには、
1「一般人には同じように思える漆だけど、どこが違うのか」という方、
2「日本産の優れている部分を知りたい」という日本人らしい意識で聞かれる方、
3「わざわざ日本産を使う意味を知りたい」という気持ちがこめられている方
…のだいたい三様があると感じます。
その方向によって、答え(私たちの考え)の内容も違ってきます。

<1の場合>
・DNAが違う
DNAの違いはすなわち、品種の違い、産出されるウルシ樹液の性格の違いにつながります。
・性質が違う。それに伴い、展開する技法が違う。
  日本産漆/塗膜が堅くて薄い(蒔絵に向く)
  中国産漆/塗膜が柔らかくて厚い(堆漆に向く)
「蒔絵の加飾だけは、上質の日本産漆を使わないといけない」といわれるゆえんです。そして中国産漆は、やはり中国漆芸の技法の物を作るのに合っているのです。
・漆の扱い方が違う。
日本産漆は扱いが特殊です。中国産漆で慣れた方が日本産漆100%で仕事をしようと思ったら、それまでしていた道具を変え、感覚を全く変えてしまわないといけません。

<2の場合>
日本産漆のよい所をあげれば、こういった点があげられます。
・塗膜が堅く、密着度が高い。
・表情が繊細で美しい。

どちらも特筆すべきもので、特に丈夫であるのは、国産漆がたっぷり使われた古い骨董の椀は壊れにくく、時代の新しい明治昭和の椀はぼろぼろの物が多い事でもいくらか想像ができます。

<3の場合>
これは私たちの仕事のポリシーについての疑問かな。^^;
・価格が違う。
数倍〜10倍くらい価格の差があります。
これは大きいですね… (もうこれだけで使おうと思う人は、うんと少なくなります)
それでも私たちがこの仕事をしているのは、やはり日本産漆が魅力的なこととそして〈日本人のやせ我慢〉といったところでしょうか。


犬に例えれば、日本産漆は「秋田犬」。中国産漆は「チャウチャウ犬」でしょうか。
同じイヌでも、まったく見かけも気質も違います。
ただ、やっぱりチャウチャウ犬より秋田犬の方がしっくりくるわ、という方が多いのではないでしょうか。そういった素直な感性ってやっぱり大事だと思います。具体的な数値では計れない「気持ち」って、やはり最後まで裏切れないからです。

さてさて、内容が大きすぎるので、これでも今回はごく表面的なことしか書けませんが…。
そういえば、漆器を扱うお仕事をされている方が「中国産漆が、というより今は中国というお国柄がちょっとねえ〜」と話された方もいらっしゃいました。(なるほどあせあせ(飛び散る汗)

それにしても、いつも「日本産VS中国産」という構図になってしまうのは、どうしてかなあ…。ふらふら 安易な比較は難しいんだけど…。


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posted by 宮崎佐和子 at 12:37| Comment(15) | TrackBack(1) |   思うこと
この記事へのコメント
日本産の漆は乾くと堅いからこそ、黄金の国ジパングでは蒔絵が発達したんですよね!

何年か前に、NHKで金閣寺の修理のドキュメントを見ました。そこでは全て日本産漆を使うことになっていて、そのすごさの実験?していたと思います。漆で作ったザラザラの表面(下地?)をコインでこすったら、コインが負けたんですよ。あれは驚きました。
でも、ふつう樹脂と金属の硬さが逆転するなんて考えにくいので、何かタネがあったのでしょうか。

松本さん、宮崎さんお二人は日本産漆の伝道者ですね。
でも、「和うるし工房 と それ以外」という図式にだけはなって欲しくないなぁ。。作り手、使い手みんながんばって欲しい。
Posted by すけじ at 2007年07月02日 22:01
この手の記事は大好きですねえ。もっとお願いします。

漆塗りに限らず民芸品とか工芸品とかは、最終的には使う人が気に入るかどうかだと思います。安物でもその人のお気に入りの品であればそれが一番でしょう。
でも、長く使い続けるためにはある程度の耐久性=丈夫さも必要ですし、キレイじゃないとお気に入りには成り得ません。

そこで漆は・・・となると、国産漆はやっぱりキレイです。 と、いくら力説しても一般の人にはセ−ルスト−クにしか聞こえないかもしれません。言い過ぎになるかも知れませんが、中国産漆どころか、ペンキと漆の区別がつかないのが一般人でしょう。現代生活の中ではむしろそれが当たり前かも知れません。実際、私自身も数年前まではそうでした。

「漆塗り初心者」の方にぜひお勧めしたいのは、数点でいいから本物の漆塗りを入手して、実際に毎日使ってみて下さい。そうすれば、どっちの品が良いのか体感できると思います。

高価な漆塗りを「もったいない」と、仕舞い込むのは「もっともったいない」ことです。毎日使い込んでいるうちにきっと今よりもっと漆塗りが大好きになることでしょう。
Posted by 舁だんじり at 2007年07月02日 22:28
昨日の書き込みで、何かタネがあるのかとか「和うるし工房とそれ以外」になって欲しくないなどと書いてしまい、ちょっと気を悪くされた方もいらしたでしょうね。言葉足らずですみません。

皮肉を言ったり、足を引っ張ろうなんて気持ちはないんですよ。私だって漆ファンなんですから。
日本の漆掻きの現状はこちらで初めて知りました。そして、過去には中国の漆工芸のお寒い現状も紹介されていましたよね。そんな中での和うるし工房の活動はとても素晴らしく、かつ正しいのだと思います。
残念ながらまだ私は持っていませんが、和うるし工房の作品を使って、毎日その良さを実感しているユーザーはたくさんいると思います。

ただ、いつも思うのは、コシヒカリのようにいくら国産米だからといってどの産地でも格別うまいわけではないわけで、日本産漆も産地や掻き手によって質にばらつきがあり1〜1.5トンの中身にもランクが存在するだろうことは素人の私にも容易に想像が出来ます。それに、和うるし工房では松本さんが選りすぐった漆だけを使っているのですから、言葉悪く言えば「上澄み」を使って真っ当に作れば丈夫で美しい品物が出来て当たり前ということになりはしませんか。もちろんお二人にはそれを続けて欲しいのです。トップランナーですもの。

私がどうしても引っかかってしまうのは、ランクが落ちる漆を使わざるを得ない作り手はどんな気持ちで仕事するんだろうなぁということ。しかし、使わなければ消費も増産もあり得ないのですよね。

日本産と中国産は別物で、単純に安易に比較できるものではなく、対立するものではないという宮崎さんの意図を離れて、
どんなに真っ当に作ったお椀でも日本産漆でなければ本物じゃない、
日本産漆を使わない作り手は志が低い、という流れにだけはなって欲しくないんです。

誰もそんなことは言っていないのは承知の上で、それを言ったらおしまいじゃないですかと言っておきたい。それを使って喜んでいる私たちはどうなるってことです。
つまらない考えですが、あえて発言してみました。
お目汚しで申し訳ないことです。
Posted by すけじ at 2007年07月03日 10:49
すけじさん、こんばんは。^^
ネット上だけのお付き合いなのに、真剣に考えて下さってとてもうれしく思います。

「和うるし日記」を愛読して下さっていると、ピンとこないかもしれませんが、いま、日本産漆に関心を持つ人というのは、すごーく少人数です。
一般の方にしろ、漆を扱う方にしろ「日本産漆なんて知らないし関係ない」という方が大半なんです…。^^: (松本は「誰も日本産なんていらないんかなあ…」と落ち込んでいる時がよくあります)
ほんとにほんとに消えそうな小さな存在に過ぎないのです。天然漆じたい、珍しいのではないでしょうか。中国産漆でも、ぜんぶ天然漆で仕上げているものは貴重なものです。それくらい、「漆」そのものが使われなくなっています。

>コシヒカリのようにいくら国産米だからといってどの産地でも格別うまいわけではないわけで、日本産漆も産地や掻き手によって質にばらつきがあり1〜1.5トンの中身にもランクが存在するだろうことは

わわっ、その通り (^_^;)
この次くらいに書こうと思った話なのですが…。不思議なことに「日本産漆はすべて一様に高品質」と思われている方の多いこと多いこと…。でも実際はそうじゃないんですよね。

これも意外と知られていないんですが、生産されるわずか1トンあまりの日本産漆、これらは買い手がつかずに余っているんです。つまり、たった1トンくらいの漆を、日本人が買い支えることができない、つまり「必要としていない」という悲しい現実があります。
この余った日本産漆がどうなっているかというと、これも辛い現実が待っているのですが…。

こんな、消えそうなロウソクのごときの漆たちです。(^_^; 私たちもいつまでやせ我慢で頑張れるか分かりません。中国の漆だって、いつまで手に入るか安心できないものがあります。
どうも、漆をとりまく環境は単純でないのでなかなか説明が難しいです…。どうか、気長におつき合いくだされば、うれしいです!

>NHKで金閣寺の修理のドキュメント

これって有名ですよね。(皆さん、知ってらっしゃる)でも、私たちはまだ見た事がないのです〜(T_T) いつかチェックして話に追いつきたいものです。


Posted by 宮崎佐和子 at 2007年07月03日 21:06
舁だんじりさん、こんばんは。^^
いつも濃いコメントをありがとうございます。
(松本はさっき旅立ちました)

私も、漆は嗜好品だと思います。
それにおっしゃるように「本物の天然漆」を体感する機会もないのが現状で、国産か外国産かどころか、ほんもの・にせものの区別がつかないのが本当のところなんじゃないでしょうか。(10年前の私もそうです。^^;)
そういえば以前「気に入っていたお椀を修理したいの」とお椀を見せてくれた方がいらっしゃいましたが、それがなんとプラスチックのお椀。「すみません、これは漆で直せないんです…」と言ったあと、どう説明すればいいのか困ったことを思い出しました。

>高価な漆塗りを「もったいない」と、仕舞い込む

そうなんですよね。使わない方がもったいないんですが…。もしおうちに漆のものがある方は、一度使ってみてほしいと思います。
漆も喜びますよ〜。

それにしても、漆の説明って難しいですね。^^:
よろしければ、また助太刀してください…!
Posted by 宮崎佐和子 at 2007年07月03日 21:38
すいません。突然の質問なんですが、
日本産の漆を使ったものと中国産の漆を使ったものとでは何年後かに違いがでるっていう目安ってありますか?
漆、漆器、塗り物ってJISとかJASとかなにか規格があるんでしょうか?
100円ショップでも漆器って売ってますけどこれってもしかして牛ミンチみたいに「お上ぃ〜、素人には分かるはずありませんぜ…」、「○後屋ぁ、おぬしもワルよのぉ」とかいうことが漆器の業界でもやっぱりあるってことなんでしょうか?
結局、世の中お金!なんて悲しいです。
大人ってずるい!
Posted by どうも僕です at 2007年07月08日 22:38
どうも僕です さん
>「○後屋ぁ、おぬしもワルよのぉ」とかいうことが漆器の業界でもやっぱりあるってことなんでしょうか?
・・・あると思いますよ。

>結局、世の中お金!なんて悲しいです。
・・・それなりに材料も手間もかかった品にそれなりの対価を払えば結果的に高価になるのは仕方ないと思いますよ。私は「ニセモノ」をつかまされるのは、最終的に自己責任=自分の見る目が無い だと思います。

先日も書きましたが、知識よりもまずは「使ってみる」ことから始めることをお勧めします。毎日の使用に耐え得るだけの耐久性があるのか無いのか、漆の苦手なものは何か、それらを体験してから知識を得ても遅くはないでしょう。

>大人ってずるい!
・・・かも知れませんが、「儲ける」ことは決して悪いことではありませんよ。「見る目」が無いのにすぐに「ブランド品」に飛び付く人にとっては迷惑でしょうが、何の世界でも多少は「授業料」を払わないと・・・

念のため申し添えますが、上記で「悪」を擁護しているように思えるかも知れませんが、私は「生産者側」ではなくて、「エンドユ−ザ−」です。誤解しないで下さいね。
Posted by 舁だんじり at 2007年07月10日 00:21
どうも僕ですさん、はじめまして。^^
コメントをくださいまして、ありがとうございます。

漆器の品質表示についてですが、

http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/hinpyo/i_zakka/zakka_top.htm

の左の項目にある「漆器」を参照にしてください。^_^
JISやJASにも漆に関する内容もないわけではないですが、こちらの方がお聞きになりたい内容に近いと思います。
表示が義務付けられていますので、デパート等の食器売り場では、必ず漆器の裏等に品質表示があるはずです。(ない場合は箱の中等のパンフで)
これらの表記法は、最低限のルールが決められているだけなので、現在の「漆器」の範囲は非常に広いです。もちろん、ほどんど天然うるしを使っていないウレタン漆器もあれば、すべて中国産天然うるしで作られた高級漆器も含まれます。まさに珠玉混合…。そして表記義務はあっても、厳密に言えば裏づけはとれないものです。
なので、舁だんじりさんの言われるように「見る目」を持つことも大事かと思います。(慣れてくると、すぐ差がわかるようになります)

ちなみに、当工房が出す場合

■表面塗装の種類/うるし塗装(100%日本産漆使用)
■下地塗装の種類/うるし塗装(100%日本産漆使用)

…としています。※工房の漆器全般の表記
単品だと次のような表記をしているものもあります。

■表面塗装の種類/うるし塗装(100%徳島県産漆使用)
■下地塗装の種類/うるし塗装(100%岩手県産漆使用)

(この原産地表記は、改正により近年になって可能になりましたので、使っています。)


>日本産の漆を使ったものと中国産の漆を使ったものとでは何年後かに違いがでるっていう目安

中国産漆に関しては、各県の工業試験所などで検査資料がありますよ。^^ (中国産うるしは、ビジネスになるので予算がついて研究データが取れるのです)
…でも、日本産漆に関しては、まったくニーズがないので調査は行われていないようです。


でも、どうも僕さんの言われるように
最近は信頼していた食品会社の不祥事があきらかになることが多くて、いろんな面で不安になったり嫌な気持ちになったりしますよね。
ごまかそうと思えば、いくらでもごまかせてしまうものなので、結局は、各社各人の良心にたよるしか… 
^_^: 
漆の世界は、ただでさえ縮小している世界なので、ここに携わる人達だけでも、真摯にやっていきたいものです。

どうも僕さん、参考になるご質問ありがとうございます。
これからもよろしくお願いしますね!!^^







Posted by 宮崎佐和子 at 2007年07月10日 22:51
舁だんじりさん、こんばんば。^^
いつもありがとうございます☆

でも、たしかに世の中には本物に見せかけたそうでないものが氾濫しすぎていて、それがなんだか当たり前になっているようなところがあります。
だから「騙されたくない」と思う人は、しっかりと目を養わないといけないけど、授業料?払ってでもだんだん分かるようになる面白さもきっとあるはず…。(あ、これがいわゆる《はまる》というものでしょうか??)

でも、漆にはそこまでできるような魅力が確かにあります。
もっといろんな人に興味を持ってもらいたいなあ…。
Posted by 宮崎佐和子 at 2007年07月10日 23:08
丁度タイムリ−に「週間 人間国宝」では、漆芸編が本日発売です。
Sさんもご夫婦で執筆されています。
でも、さすがにこのレベルになると実物を手にするのは難しいですね。
Posted by 舁だんじり at 2007年07月11日 18:55
そんな本があるのですね、知りませんでした。^^
Sさんって、私たちも知っているS口さんでしょうか。
Posted by 宮崎佐和子 at 2007年07月11日 22:40
> S口さん ・・・そうですよ。
もちろん、彼は人間国宝ではありませんので、塩多慶四郎氏を解説する側での執筆です。

本屋に行けばすぐに見付かります。 560円(59号)
Posted by 舁だんじり at 2007年07月12日 08:29
ありがとうございます。
やっぱり塩多先生について述べられているんですね。^^
どんなお話か興味あるなあ。
拝見してみますね。
Posted by 宮崎佐和子 at 2007年07月13日 00:00
だいぶ以前の記事でしたが、興味を惹かれましたのでコメント書かせて頂きました。日本産・中国産、意見は様々ありますが、、、
素敵な作品ですね!機会があれば作品展に足を運んでみたいと思います。
Posted by ヨシムネ at 2009年02月03日 12:38
ヨシムネさん、はじめまして!
このたびはコメントをくださいまして、ありがとうございました。^^
木曾でお仕事をされてらっしゃるんですね。本当に頼もしいことと思います。
いろいろと「大変だ」と言われている世界ですが、ヨシムネさんや私たちのような若い世代の人間が頑張って担っていかなくちゃいけませんものね;;
どうぞ、よろしくお願いいたします。

>だいぶ以前の記事でしたが、興味を惹かれましたのでコメント書かせて頂きました。日本産・中国産、意見は様々ありますが、、、

この記事は、取材の方やその他工房の仕事についておたずねになる方のご質問に「日本産漆、中国産漆、どう違うのですか」が必ず筆頭に入ることがずーっと心に残ってて、思い出して気になり、ちょっと書いてみたものです。
決して、どちらかが優れているとかどうとかではないので、それは誤解しないでくださいね〜。(ヨシムネさんは、ちゃんと汲み取って下さっていると思いますが…)
いろんな漆を使った経験をもとに、世の中と照らし合わせて、その問いに総合的にお答えしたのが、この『日本産漆と中国産漆の違い。』という文章なんです。

この「和うるし日記」は、漆が好きなお客様がごらんになってくださってますが、同業の方も大勢見ていただいてるみたいです。本当に、ありがたいことです。
意外と思われるかも知れませんが、「国産漆、中国産漆とは?」みたいな反応をされるのは、まず同じ漆のお仕事をされいる方なんですよ〜。お客様は、気にしていません。
(多くのお客様にとって大事なのは、商品がご自分のセンスに合っているか、予算に見合うかで、現在の漆器の素材がそんなに多様なことをご存知ないので、判断項目にほとんど入っていないんです ;;)何かのきっかけで、興味を持って下さった方も、まれにいらっしゃいますが、漆がお好きですでにいろいろ持ってらっしゃる方は、事実にギャップや戸惑いを感じることが多いようです。

また、よく誤解されるのですが、日本産漆=高品質 ということは、決してないです。
環境や漆かきさんの技術や理論、採取時期、または保存等などの条件でおそろしくばらつきがあります。(もちろんウルシオールの含有率もぜんぜん違ってきます)日本産漆はウルシオールが多いとよく言われたり書かれていますが、それは条件によって流動的で、必ずしもそうとは限りません。
過去に見た日本産漆の中には、とんでもないものもありましたし、「けっこういいな」と思う中国漆もありましたよ…。
そんな日本産漆と中国産漆の決定的な違いは、価格とDNAでしょうか。この二点だけは、誰の目にも明らかな違いがあります。
なら「どっちでもいいじゃない」というものではないんです。ちゃんとした国産漆には、大変デリケートな「違い」があります。それが繊細な日本の技法を可能にし、目の肥えた人には分かる美しい塗り肌をもたらします。

…と、またまた話がながくなってしまいました。
ゴメンナサイ。;;
とにかく、日本の漆の木も漆かき技術もレッドリスト入りは間違いなしなのです。このままでは本当に途絶えてなくなってしまいます。うるし掻き技術保存会や二戸市もがんばってらっしゃいますが、技術を学んだ子が食べていけないのでなかなか続きません。まず国産漆を買って使ってくださる作り手さんが増えないと…。
そうなるためには、国産漆が正しく認知されて「日本の漆っていいよね」という方が増えて、世間に少しでも広まってほしいなあ、と心から願っています。

>素敵な作品ですね!機会があれば作品展に足を運んでみたいと思います。

わっ、ありがとうございます☆
もし機会がありましたら…ぜひ!
会場には、必ず資料をいろいろ持っていっています。作っている物はシンプルなんですが、物も人間もマニアック過ぎですが引かないで?くださいね。^^;

ではお仕事がんばってください。
これからもよろしくお願い申し上げます。
Posted by 宮崎佐和子 at 2009年02月03日 21:32
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