「木地固め」とは、漆の最初の仕事。家の建築で例えるなら、地盤固めみたいなものでしょうか。^^

とあるギャラリーさんから、少し前にめんぱ(わっぱ)のリクエストがあり、木曾から木地を仕入れてきました。
以前は、小判型の弁当箱タイプだけしか手がけなかったのですが、今回はいろんなめんぱを仕上げてみることに…。

2段になったもの、丸い重箱タイプのもの(すごく可愛いです)お弁当箱などなど。工房好みに木地調整をしてあります。
今回は、天板に軽く刃物で「はつり」の表情をつけてます。めんぱの木地はとても柔らかく(天板/サワラ、横/木曾ヒノキ)彫りがしにくいので、薄く研いだ彫刻刀ですっと入れてます。

さて、固めに使った漆は、岩手県の漆かき職人、大森清太郎・貴太郎さん親子の盛り漆です。大森俊三さんのご親戚で、親子で仕事をされているんですね。
乾きが早くクセが少ないので、とても使いやすい漆。うちでは、下地に使う事が多いです。(乾きが早いので、漆茶碗のふちの漆があっというまに黒くなり、一気に使うと写真のように汚れた感じになってしまいます)
「乾きが早い漆」は、ふつうはとっても喜ばれます。しかし、松本の好みではないらしく、大森さん親子の漆は、ふだん私がありがたく使う事が多いです。(だって、気持ちいいんだもん☆)

漆はいつも、溶剤は一切入れずに使っています。
(彫刻刀で付けた、はつりあとがよく分かります)
(彫刻刀で付けた、はつりあとがよく分かります)

数個、漆を塗った状態で溜めておきます。(その間、別の塗り作業)十分漆を吸い込ませてからウエスで拭き取り。

拭ききりました。これで室へ入れます。

室の中。上段に並べているのは、7/23の水指の蓋です。

こちらは、6月に紹介した十八組椀です。固めのあと、目止めをして置いています。(五つ椀も今、おなじ状態です)
漆のお弁当箱は、最近特に人気があるようです。
やっぱりスローフード嗜好で、手作りのお弁当を食べることが見直されているのでしょうか。とってもいいことだと思います。
以前、日本産の盛漆で砥の粉(石砥の粉)錆をつくった時に乾くまで一週間程(5月初め)かかりました。
この項にある乾きの早い漆はラベルをみると「盛」と書いてありますが朝採ったものか、夕方に採ったものかもし分かれば教えて頂けませんか(朝・夕で質が違うと聞いたものですから)。
下地用としては末、裏目・止漆が向くのかなぁと思っていますが初漆はどういった用途に向くでしょうか。
日本産と中国産の違いを知ってから和漆だけで仕事をしていきたいと思うようになりました。
勉強不足は承知の上ですが、よろしくおねがいします。
返事が遅くなってしまいごめんなさい。
日本産漆に深く関心を持って下さってとてもうれしく思います。(実際に下地で使う、という経験をされる方はとっても少ないと思います)
>乾くまで一週間程(5月初め)かかりました。
私が下地で使っている漆は、そんなことないのですが(下地漆は、意図的に早い漆を選んで使っています)松本によると、そう珍しいことではないそうです。
そういった「遅い漆」は、遅乾きに向く仕事に使っています。
>朝採ったものか、夕方に採ったものかもし分かれば教えて頂けませんか
上のめんぱの固めに使った、大森清太郎&貴太郎さん親子の盛り漆は、盛りの日にち指定(○月○日)で採っていただいた漆です。漆は朝夕の違いもありますが、盛りの時期の期間の中でも、品質に差があります。
いちご納豆さんの使われた盛り漆は、どうやって入手されたものでしょうか。よろしかったら教えてくださいませ。
^^
私が使ったのは浄法寺の滴生舎からチューブで送って頂いたものです。
どなたが採ったものか日時、その日の天候などは分かりません。
ちなみにガラス瓶に塗って湿した風呂に入れておいたところ4日目で表面が大体乾きました。
期間中でも品質に差がでるという点、納得しました。
う〜ん、桶で買うのはドキドキしますね。
各時期の漆をチューブでというのは掻き子さんにとっては面倒なことだと思うのですがダメもとで問い合わせしてみます。
う〜ん、お話を聞く限りでは、乾きがすごく遅い漆、ということでもなさそうな気がしますが…なぜでしょうね。使う時、チューブからそのつど押し出して使ったりしていませんか。チューブのままでなく茶わんに入れ直して管理されていますか。
(漆の扱いに慣れてらっしゃるようなので、上記のことクリアされてたらごめんなさい)
もし遅い漆なら、遅い漆のいい使い方がありますので、役立ててほしいなあとも思います。
なまの漆は、本当に使ってみるまで個性が分からないものです。うちでは、経験をもとに予想をたてていろんな漆を手に入れていますが「わっ意外」と驚くこともしょっちゅうです。 ^ ^:(でも必ず使い道があります)
滴生舎の漆は、小売りの日本産漆ではいちばん中身が信頼できる(間に人が入っていないぶん、品質改善剤等が入っていない)ものだと思っています。
でも、純粋なぶん、個性が強いので思った漆とかけ離れたものが届く可能性も。もちろんそういった類いのクレームには対応できないと思います。(漆精製業者さんとは違いますので…)
ぜひぜひダメもとでお聞きしてみて下さい!
これからもよろしくお願い申し上げます。