2007年11月20日

■金継の仕上げをしました。

めったにしない「金継」の仕事ですが…。
ごく簡単なものなら、お茶をする友人から頼まれて、ちょっとすることがあります。
長らく預かっていたものを仕上げましたので、去年記事にした金継しごとの蒔絵仕上げを、ここに載せそこなってしまったので、代わりにちょっと紹介したいと思います。

11/20金継1
ふちの欠けたお茶碗のつくろい完了。

土のやわらかいものらしくて、あちこち欠けていましたが、漆でつくろったら小さい欠けはなじんで目立たなくなったので、一番大きい所のみ金を付けることにしました。

11/20金継12
つくろい部分の拡大。
ここが大きくぽろっと欠けてました。
これから金を蒔きつける仕事をします。
11/20金継3
漆で薄く均一に地塗りをした上に、
金粉をそっと筆で乗せていきます。

11/20金継4
地塗りの漆が十分乾いたら余分な金粉は
払い落とし、漆で粉固めをして定着させます。

金粉はシンプルに丸粉三号のみを使っています。この時点では「金」の部分は、黄土色の粉っぽい質感ですが…。

11/20金継5
十分粉固めした金を磨くと、輝きが出ます。
ここでは「鯛牙」という道具を使いました。

「鯛牙」は、文字通り鯛の牙を持ち手の棒に付けたもの。鯛の硬くて曲がった牙が、金を磨くのにとても便利なのです。こうした硬くてなめらかなもので、粉状で表面に乗っている金を磨くと粉がつぶれて平らになり、光に反射するようになります。

11/20金継6
ぼちぼちやってたので、時間かかりましたが…
もう渡せそうです。ほっ。


やっぱり修理の出来た器を見るのは、とても気持ちのいいものです。
金継ぎや蒔絵の仕事は、私も専門じゃないのですが…。
ごく簡単なことなら漆の仕事ができれば、誰にでも出来ます。
^^(ちょっと時間はかかりますが)

漆を使わない接着剤やパテが主流の金継ぎがいけないとは思わないけど、やっぱり本当の漆を使ってほしいなあ、と思いました。
気持ちいいですよ。ムード


posted by 宮崎佐和子 at 23:58| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ 工房の仕事
この記事へのコメント
はじめまして。
金継ぎ用の『鯛の牙』を探しています。
どうしたら手に入りますか?
私は趣味で陶芸を少ししています。
焼きあがるときに縁に出来たひびや、かけた物を自分で金継ぎをして使おうと思っています。
本漆の金継ぎセットで始めてみましたが、金粉を蒔いた後に本漆+灯油で室に入れての粉固めの後が、≪真茶色≫になってしまい、磨きをいれても全く金色が現れませんでした。
そのためいろいろ調べたところ、蒔いた後は『鯛の牙』で磨くのがいいとわかりました。
Posted by 岩間いずみ at 2008年09月24日 23:14
岩間さん、はじめまして!
このたびはコメントを下さいまして、ありがとうございました。^^

>金継ぎ用の『鯛の牙』を探しています。
どうしたら手に入りますか?

この鯛牙は、東京の播与漆行さんのところのものです。
http://www.urushi.co.jp/index01.html
よろしければ、一度問合せしてみてはいかがでしょうか。

この動物の牙っていうのは、とても便利です。
堅いし、曲線を持って尖っているので、いろんな面や細い部分もたいがいカバーして磨くことができます。
この「牙」さえ手に入れば、使いやすいよう軸を付けるだけなので、簡単に自作もできると思います。(私は、いつか猫の牙で試してみようかと思っています。^^)

>本漆の金継ぎセットで始めてみましたが、金粉を蒔いた後に本漆+灯油で室に入れての粉固めの後が、≪真茶色≫になってしまい、磨きをいれても全く金色が現れませんでした。

わ…びっくりされましたね。;;
お話から察するに、おそらくなのですが粉固めの時に使った灯油割りの漆が、かなり濃かったのだと思います。
使っている時は気がつきませんが、漆は乾燥を始めると、色がかなり濃くなります。粉固めに必要な漆はほんの少し、そして均一に施すのが肝心なんですよー。
そのさじ加減は、経験を積むまではかなり難しいかと思います。
なので、慣れないうちの粉固めは、しゃばしゃばになるくらい灯油をたくさん入れて相当漆を薄くして使った方が、うまくいきますよ。


そして、その≪真茶色≫になってしまった蒔絵部分ですが、金の上に漆が厚く乗っているので、残念ながら鯛牙で磨いても、金色は現れないかと思います…。
金色の仕上がりを望まれるのでしたら、その漆が乗った部分だけ、ていねいに取り除くか、いっそ全部とってしまって一から始めるのも確実な方法かもしれません。

…でも、落ち込まないでくださいね。;;
本当によくあることなんです。(私も何度もやりました)
でも、かえって厚く漆が乗った金が案外渋くていい感じになったりすることもあって、継ぎじたいがうまくいっていれば、ようは器と金継のバランスが一番かとも思いますよ。

蒔絵はかなり高度な技術を要するため、なかなかテキストでは加減が分かりにくかったりします。
もし、お近くで教室などありましたら、通ってみることもオススメします。


さてさて、現物を見ないまま、いろいろ書いてしまいましたが…。
ご自分の作られた器を治す事ができるって、素敵ですね。^^

漆ばかりのお話ですが、これからも見てくださるとうれしいです。
今後とも、よろしくお願いいたします☆
Posted by 宮崎佐和子 at 2008年09月25日 21:40
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/6995266

この記事へのトラックバック
Powered by さくらのブログ
y
<!-- [FC2 Analyzer] -->