2008年01月13日

■欠けた漆スプーンの修理。

工房のお客様から「使っていた漆のスプーンが欠けてしまったので、なおしてほしい」とのご依頼があり、先日からその修理をしています。
そのスプーンは栗の木の手削りスプーン。一番大きいサイズです。

1/13 欠けた漆スプーン1
ここが欠けてしまったんですね。あせあせ(飛び散る汗)
断面に漆を塗ったところです。

かなり気に入ってくださって、ヘビーローテーションでひっきりなしに使ったんだとか。(事故で欠けちゃったんだそうです)
1/13 欠けた漆スプーン2
きれいに割れていて、破片もちゃんと取ってあったので(助かります)修理は金継と同じで、漆で貼り付けることにします。ちょっと時間がかかりますが…きれいに仕上がります。

1/13 欠けた漆スプーンの修理
きちんと破片を戻したところ。今は漆の粘着力でくっついてるだけですが、こうしてみるとつなぎ目はもう分かりません。
これを漆室に入れて、しっかり乾かします。

この後の工程は…
付けた部分を十分乾かす→乾いたら、つなぎ目のすき間を漆で埋める→すり漆を全体にほどこす→上塗り
これで、ほとんど元の姿を取り戻すと思います。


さて、余談ですが…。
1/13 新しい漆スプーン
ほぼ同型の新品のスプーン。
かなりの艶消しになっています。

修理のスプーンは、半年前くらいの作でこのタイプのプロトタイプでした。当時の仕上がりもこのくらいの艶消しだったはずですが…あれれ? 今回戻ってきた時には「3年くらい使ってたの?」と思うくらい自然の手ずれでぴかぴかになってて、びっくりexclamation
松本は「おお〜すごい」と喜んでました。(松本はこういった漆の景色が大好きなのです) 
毎日、朝晩くらいのペースで使ってきれいにお手入れされてたのかなあ…。とにかくかなりのヘビロテと思います。
また、ちゃんと持ち主のところに帰れるようにしたいなあ、と思います。



posted by 宮崎佐和子 at 22:18| Comment(4) | TrackBack(0) |   漆のスプーン制作
この記事へのコメント
このたびは丹精された作品を無残な姿で里帰りさせることになり申し訳なく思っております。 和うるし工房 あい さんの漆スプーンのフォルムと使い心地の良さは万人の認めるところですが、この栗のスプーンの突出した使い易さとあらゆる椀皿とその料理に対する万能ぶりには、ただひたすら唸るしかありませんでした。 今回、同型のスプーンが出来てきたとのこと、是非、現在それぞれの漆スプーンをお使いの方にも手に取ってみて頂きたい逸品です。 それから、修復後の栗スプーンについての質問なのですが、強度は変わらないのでしょうか? 左利きの使い手がオムライスやカツ丼、ハーゲンダッツアイスクリームを食べる時に使用しても構わないものでしょうか?
Posted by 持ち主 at 2008年01月14日 02:25
持ち主さまこんばんわ
コメント下さいましてありがとうございます。現在の修理の方針は「そこそこ強度も確保しつつ見た目新品の状態に回復する」です、欠けてしまった物は残念ながら強度は多少なりとも落ちてしまうと思われますので、オムライスやカツ丼は問題無いと思われますが、ハーゲンダッツアイスクリームを修理履歴を気にせずガッツリすくうのは控えて頂きたい所です。
方針を修理から改造に変え「少しバランスを変えても強度を上げる」を検討されますか?
Posted by 松本和明 at 2008年01月15日 00:56
ご回答ありがとうございます。 前歯が欠けたからといって犬歯にしようとは思いませんので、自分の歯同様に差し歯や入れ歯であれば、それなりにいたわって使い続けたいと思います。 現在の修理方針のままで宜しくお願い致します。
Posted by 持ち主 at 2008年01月15日 12:39
持ち主さん、こんばんは。
その節はたいへんお世話になりました。^^

スプーンですが、欠けた破片があったので、すごく直しも楽です。(なくなると、作らないといけないから大変)
私も、どんなふうに仕上がるか楽しみです。
では、現在の修理方針で進めておきますね。

これからもよろしくお願いいたします。
Posted by 宮崎佐和子 at 2008年01月17日 01:14
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