2015年08月31日

■松本のうるし掻き研修生時代の写真です。

来月、地元のとある集まりで、国産漆について大勢の方の前で話をすることになった松本…。
その資料作りに、ドタバタしていました。あせあせ(飛び散る汗)
それにあたって、過去の写真資料を発掘して少し整理していたんですが…。カオスと呼んでいる資料箱にうっかり着手してしまい、泥沼に陥っています。がく〜(落胆した顔) ブラックホールに吸い込まれ、仕事が停止していました。
今なら、デジカメでさくさく写真を撮って大容量の機材で、すっきりデータ管理できるんでしょうが…。工房創業時&創業前の当時、2000年〜はそんな環境になくたらーっ(汗) また、私たち自身もう目まぐるしく暮らしていましたので、その当時に撮影したものは、一部の写真以外は玉手箱状態?で、ネガフィルムとプリント写真で溜め込んでいます。

その中の一部、なつかし写真をご紹介しますね。ムード



バッド(下向き矢印)一部のパンフレットにも使ったことのある写真です。
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2000年、松本が文化庁の委任団体、日本うるし掻き技術保存会の長期研修生として岩手県に赴いていた時の写真です。15年前なので、29〜30才の時の写真ですね。若い!(体重もマイナス30です←驚愕)
研修林のウルシの木で、漆掻きをしています。
今見ると、けっこう木が太いですね〜〜〜。当時は原木もまだ残っていたので、かなり恵まれた環境でうるし掻きの練習ができたようです。


バッド(下向き矢印)ハシゴを使って、高い場所のうるし掻きをしています。
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これらは、一緒に研修をしていた友人が撮ってくれた写真です。(自分では撮れないものね…)
保存会から支給された、研修林のウルシの木のほかに、松本が個人で買った木が80本ほど別にあり、それも掻いていました。
なので、かなり忙しかったようです。
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これらの写真を2才の娘に見せたところ、「おとうしゃん!」と当てたので、ビックリしました…。
しかし、翌日になってもう一度見せたところ、自信がなくなったのか 「どっか の おにいさん…?」 と慎重になってましたが。たらーっ(汗)

うるし掻きの研修中は、一人で黙々と山や畑で行うので、たいへん孤独です。
時にはクマやスズメバチなど、危険生物に遭遇することもあるようです。松本は、スズメバチに襲われかけ?た経験があって、でっかいスズメバチさんがTシャツにつかまり、布地を噛み噛みして離れず、しかたなく持っていた鎌で服を切り裂いて脱ぎ、難を逃れたとか…。(こわっ) スズメバチのカチカチ歯噛みする警戒音をはっきり覚えているそうです。

研修生時代は、大きな古い民家を同僚の研修生と共有して住んでいました。
私も行った事がありますが、味わいのあるおうちでしたよ〜。


バッド(下向き矢印)そして、松本が岩手県へ連れて行った仲間がこの子。
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なつかしい〜〜〜。アイガモのペコとポコです。(2羽いました)
たしか、衣装ケースにペコとポコを入れ、車に積んで岩手へ旅立っていました…。
浄法寺町の研修生の家で、ペコとポコは楽しく暮らしていましたよ。


バッド(下向き矢印)研修生の家の庭で、行水するペコ(ポコかもですが…)。
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バッド(下向き矢印)近くのたんぼで遊ぶのが大好きでした。
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松本の研修林までついてきて、漆掻きを見ていたそうです。

ペコとポコは、漆掻き職人のおじいさんたちにも大人気でした。
「松本、お前気が利くな〜〜」といつも言われておりましたよ。
「え、そうですか?」と松本が聞き返すと、「お前の歓迎会用と、研修が終わっての送別会用のごちそうを、ちゃんと持参するなんて、今どきしっかりしてるじゃないか〜黒ハート」とのことでした。(…じょうだん?じゃないみたいで、まだそういった感性がありました)


もう岩手に足を運ばなくなって久しくなりますねえ…。
それでも、若い時は研修後もよく浄法寺へ足を運んだり、東北の史跡を回ったりしました。年々仕事が忙しくなり、今はもう難しくなりましたが。遠のいている間に、お世話になった漆掻きのおじいさんたちも亡くなったり引退したりして、月日の経過を感じます。
これらの写真は、フィルムとプリント写真なので、スキャナーで取り込んでデータ化しました。(めんどくさいよー) しかも、松本はマメではなかったので、写真も最少限しか撮ってないんですね。
今の研修生たちは、スマホで動画を撮ったり、SNSにすぐアップしたりして、新鮮な体験を保存できるんですね〜 とってもうらやましいです。
その後、ペコとポコは立て続けて失踪してしまい、一緒に帰る事ができませんでしたが…。(一部では、どこかでカモ鍋になったというウワサも;;) 
今でも時々岩手を思い出して、懐かしくなります。わーい(嬉しい顔)

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posted by 宮崎佐和子 at 16:19| Comment(0) | TrackBack(0) | ■ 日本うるし掻き技術保存会

2009年07月29日

■昨年の漆掻き研修生、島岡さんが来られました。

昨日から、工房にお客さまがいらしてました。
2008年の日本うるし掻き技術保存会の長期研修生の一人だった島岡睦さんです。(この年の長期研修生は2名、あと一人は本間健司さんでした)
去年の6月初旬〜11月末まで、浄法寺に滞在して漆かきの研修を受けていました。

バッド(下向き矢印)島岡さん(右)と弟子。女性なんですね〜。
7_29_IMG_1370.jpg

見知らぬ浄法寺の町で一人で暮らし(言葉も最初は通じにくい)、山で約6ヶ月間もの間、孤独に漆かきの仕事にひたすら打ち込む… という長期研修生の日々。年ごろの女性にとっては厳しい修行だったことでしょう。

うるしかき
研修生のころの島岡さん。(裏目掻きのころかな?)

いま、工房の庭のウルシの木(2本)を掻いている最中の弟子にとっては、本場の浄法寺で数十本もの木を相手にワンシーズン、めげずにやり終えたなんて、夢のような話です。

しかも年の近い女性ということもあって、弟子は興味しんしんexclamation
島岡さんが来られるのを、とても楽しみにしていたんですよ。

工房の木の「6辺目」を『島岡さんが来てから一緒に掻く』と言って、掻かずに待っておりました。


バッド(下向き矢印)で、ついにその瞬間が…。島岡さんのお手本です。
7_29_1313.jpg

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「お茶碗に入れるのってむつかし〜い」と島岡さん。
ごめん、たった2本なんでタカッポが使えないの。


7_29_IMG_1340.jpg
めでたく6辺目をむかえた、工房の庭の木です。


バッド(下向き矢印)大人三人が、木の根もとに座り込んでジッと凝視する図です。(知らない人が見たら、何だろかと思うだろうな…)
:

…詳しくは、また弟子が日記に書くと思います。あせあせ(飛び散る汗)
(漆掻きの動画も撮りましたよ〜)


ほか、工房の漆を見せっこしたり塗ってみたりして、日本産うるしを相手にしている人間しか分からないようなネタで、多いに盛り上がりました。ハートたち(複数ハート)
7_29_IMG_1371.jpg

それにしても島岡さんに会うのは、何年ぶりでしょうか?
実は彼女が浄法寺にいくきっかけになったのが、うちだったので、ずーっと気になっててお会いしたいなと思っていたのです。
来て下さってよかったです。ムード

…で、今日は島岡さんと、松本と弟子を含む三人で高松に行ったらしいです。(私はお留守番…)
工房の五色台の漆畑を見たり、移転した香川県漆芸研究所を見学したりしたみたい。

それにしても、漆掻きを松本に教わっている弟子ですが、腕力もあってコツも心得ている男性から教えてもらっても、今ひとつシックリこなかった微妙な部分を、島岡さんを通じて理解したところもあって勉強になったと言っておりました。
「仲間がいる」いいものですね。^^


* * * * * * * *

7_29_orenji.jpg今日のおまけ写真です。…うちの玄関の写真なんですが、この影は何でしょう?
実は、ノラ猫のオレンジ君なんですね。;; ミルミルのお友達なんですが、日々ずうずうしくなって、うちの玄関で昼寝するようになりました。(ゴハンもやったことないのに…)よっぽどここが気に入ったんだなあ。なぜでしょ?

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posted by 宮崎佐和子 at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | ■ 日本うるし掻き技術保存会

2008年11月28日

■松本が保存会の研修から戻りました。

松本が「日本うるし掻き技術保存会」の研修から戻ってきました。
昨日のお昼に出かけて、今日の昼に戻るというタイトなスケジュールで出て行きました。新幹線
結局、出かけるぎりぎりまで夜通し仕事をしていて、出先でも盛り上がりすぎて宿泊先で眠らなかったので(しかも松本は移動中に眠れないタイプ)もしかして二晩徹夜‥? かなり疲れて帰ってきました。
今、まだ爆眠中です。
と同時に、むぎ君の姿も見えないので、おそらくまたこんな感じ晴れになっていると思います。;;

今回の研修先は東京。
保存会の漆かき研修生OBたちが集まって、漆の勉強をしてさらに近況を報告しあったり交流するという研修会です。
浄法寺で漆掻きを学んだ若い仲間たちはその後出身地に戻ってしまうので、この機会にまた会うことができます。年に一度数年前から始まりました。
昨年の研修地は、茨城の漆かき現地の視察でしたが、今年は東京文化財研究所での「第2回伝統的修復材料および合成樹脂に関する研究会〜漆を通じてみた日本と保存修復の現状との交流」という研究会の参加でした。
(とても興味深い内容でしたが、松本はこちらには行けず‥参加できたのは、そのあとの研修生同士の報告交流会だけでしたあせあせ(飛び散る汗)

今年の漆掻き研修生も参加していたし(もちろん本間さんも)新しい事務所の方にもごあいさつもできたしと、行って良かったみたいです。^^
国産うるしに向き合う仲間と、ひさびさに会うのはいいものですね。

さて、目が覚めたらまたお仕事です。
今年最後の作品展の準備は、今月中にほぼ終わらせてしまうつもりなので、がんばろうと思います。

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posted by 宮崎佐和子 at 20:30| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ 日本うるし掻き技術保存会

2007年09月01日

■浄法寺の漆かきの話ができました。

この夏に、浄法寺へ漆かきの短期研修生として行かれた、木工家の臼杵さん。
確か、以前お会いしたのは今年の2月でした。
今回は会場まで来られて久しぶりにお会いしたうえ、夕食に誘って下さいました。

看板
御所のすぐ近くにある「壷家人 イージアレン」というお店へ。
気さくな家庭料理のお店でした。


臼杵さんと松本
さっそく全開で話し込む二人… 笑
香川県出身だそうで、同じ色の人間なのか
最初から松本と意気投合なのです。

臼杵さんが浄法寺に行かれた期間は、8月1日から10日間。新宅さんもそうですが、車で行かれたので、移動時間は滞在日とは別に二日かかりました。
漆かきの研修は、佐藤春雄さん・大森清太郎さん・岩舘正二さんの3人にしていただいたそうです。
8月の浄法寺は、盛り漆の一番活気のある時。
漆かきさんに「あんた忙しい時に来たなあ〜」と言われつつも?しっかり手伝わされ三人の方のお仕事の様子を見ることができたそうです。
ところで「短期研修生」の研修内容というと、短期間の滞在で、漆かきさんがみっちり仕事を教えてくれて、漆の木もばっちり掻かせてくれる…というイメージかもしれませんが実際は違います。
「長期研修生」は、ちゃんと研修用の漆畑も用意されていますが、短期の場合はありません。
漆の木は、春から準備して初夏から少しずつ傷をつけて「木をつくって」いき、計画どおりに漆を出すものです。まっさらのいい木を真夏にいきなり傷をつけるということはしません。
あるのは、漆かきさんが今仕事中の木くらいですが、夏にひょこっと来た外の人に練習に傷をつけさせるようなこともできないのが本当です。なぜかといえば、そこまで漆かきさんが「漆が出るように自分ように作ってきた木」を、素人の1回の傷つけでダメにされてしまうからです。
現役の漆かきさんは、生活がかかっていますから、そんな無駄をする余裕は本来ないのです。
もしも、漆かき途中の木を、見学の時に試しに掻かせてくれたならほんとにラッキーだと思って下さい。
ということで、そんな現役の漆かきさんが、仕事をしながら教えてくれます。

さて臼杵さんの時は、とにかく漆かきのお手伝いが多かったとか。(これが勉強になるんですね)
朝からずっと鎌ずり(漆かき前に傷をつける部分の樹皮を専用の鎌で適度に削り取ること)をしたり…。もちろん、試しに使っていない木で漆も掻かせてくれり、道具の作り方を見せてくれたり。滞在中はフルに体感したそうです。
臼杵さんはプロの木工家なので、未知の土地での漆かき研修もわずか10日間で、いろんなことをしっかり状況把握して戻られていたのにはびっくりでした。



ゴマ豆腐
ゴマ豆腐。濃厚な味わいでした。

さて、ご飯を食べたこのお店、木や竹を内装で使った居心地のいいお店なのですが…。
このテーブルは漆仕上げ。臼杵さんが手掛けたものなんだとか。
松本は感心して見入っていました。

野菜の一品
これもおいしかったです。

さて、あと2年は続けて浄法寺に行くという臼杵さん。
「8月は忙しいって言われたから、次は6月にしようかなあ」だって。6月、漆かきのはじまりを見るのはとてもいいと思います。
とにかく漆かき仲間が増えるのはうれしいこと。
これからも楽しみにしています。


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posted by 宮崎佐和子 at 18:00| Comment(4) | TrackBack(0) | ■ 日本うるし掻き技術保存会

2007年07月07日

■茨城の視察研修会で見た、茨城うるしの現状。

文化庁の委任団体「日本うるし掻き技術保存会」は、岩手県浄法寺町に事務所があります。竹内さんや松本のように、若い研修生を受け入れて、うるし掻きの後継者育成にも力を入れるようになったのは平成9年から。今年ではや10年目、計20人の若手を育てたことになるんですね。晴れ

今回の視察地の茨城県は、岩手県に次ぐうるし樹液産地
視察研修会は、準会員を中心にほぼ毎年、行われています。
今回は「浄法寺以外のうるし産地を見学して、情報交換したい」という希望が通って、視察地が茨城になりました。
今回は茨城の様子を視察させていただくのと同時に、今まで保存会と茨城の結びつきが弱かったので、若いうるし掻き後継者たちがうかがうことでお互い活気が出るきっかけになれば…という願いもあったのです。

7/7保存会研修生1
さて今回の参加メンバー。準会員(元研修生)と今年の研修生たちの8人と茨城の漆かきの飛田さん・神長さんです。

7/7保存会2
そして案内していただいた、茨城県大子町の西金うるし生産組合・奥久慈山方漆生産組合の方々。(うしろの二人は、松本と保存会の瀬古君です ^^:)

7/7保存会3
大子町にある漆畑の見学。若手で荻房の富永さんが今年掻いています。木は岩手のものとは雰囲気が違って、やっぱり南(中四国)の漆の木に似ています。右の男性は、西金うるし生産組合の飛田さん。
松本は2年前に文化庁の研修でもお世話になりました。

7/7保存会4
茨城の漆かきは、4辺目でした。

7/7保存会6
苗床の見学。岩手と違って分根で増やしています。
植えて10年以内で確実に漆が採れる、
現実的な苗作りをめざしています。
(岩手は実生。分根は親の性質をそのまま受け継いだ苗ができる)


7/7保存会7
あの「壱木呂の会」の主軸でもある荻房さんで。
ろくろを見学させていただきました。

7/7保存会9
推定樹齢50年のウルシの木。記念樹です。
みんなが見られる所(なんと小学校・中学校の間)
にあるのが産地らしくって、いいなあ〜。^^


日本で2番目の生産地、といわれる茨城県ですが、
しかし慢性的な後継者不足で、現在プロとして漆を採っているうるし掻き職人さんは、たった二人なのです。当然、生産量も多くありません。
直視するのがつらい現実がそこにあります。
「1年で1キロの国産漆を使おう」と漆芸家の方々が集まってできた会『壱木呂の会』では、毎年、この茨城の漆を使っています。この会の発足に関しての言葉に、茨城をはじめとする日本産うるしの現状について端的に述べられているので、よろしかったらごらん下さい。 ※壱木呂の会

短い日程でしたが、今回は出席率もよく、松本もひさびさに漆かきの仲間に会えてとても嬉しそうでした。
専門学校を出れば、誰でもすぐプロになれる訳でないように、漆かきを学んだ仲間もすぐ漆かきでやっていくのは厳しいです。また、どんなスタイルにしろ、ビジネスプランを立ててそれなりの下ごしらえが要ります。
でも、誇りと夢があれば、なんとかやっていけるような気が…。
主義主張は違えど、やはり同じ「日本産うるし」にかかわる仲間と将来の夢を語り合えたのは、松本もとっても刺激になって楽しかったらしいです。(工房に戻ったら、私と現実的な話ばかりになるもんネ。^_^;)

少しでもこの現状が良くなるよう、頑張っていこうという思いを新たにしました。


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posted by 宮崎佐和子 at 19:36| Comment(3) | TrackBack(0) | ■ 日本うるし掻き技術保存会
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