2007年11月13日

■maさんの浄法寺漆かき体験記/5

さて、5日間の研修もついに最後の日です。
今日は初日とおなじ佐藤春雄さんの研修です。現地だけでなく、資料館や滴生舍に連れて行ってくれたりと、文化面を補強するとても考えたスケジュールにして下さったみたいです。

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2007年8月25日(土)

●佐藤春雄さん(浄法寺市浄法寺町) 
 ・佐藤さんの漆かきを見学
 ・ヘラで漆を採る
 ・滴生舎・資料館を見学


早いものでもう最終日。
まずは、佐藤さん自宅近くの畑の際にある漆の木4本を掻きに向かいました。
数が(注※本数が)少ないのでなかなか掻けずにいたそうで、約30年経った幹はとても太く、漆も溢れるように採れました。(ma)

8/25 30才の漆の木を掻く佐藤さん。
約30年の大きな漆の木です。
佐藤さんが梯子を使って高い所まで
丁寧に掻いていきます。(ma)

うーん、とっても立派な木です…。
もう浄法寺でもこんな大木はなかなかお目にかからないのではないでしょうか。きっと漆の木も、早くうるしを採ってもらうのを待っていたんではないかと思ってしまいます。

60才のウルシの木
約60年経った漆の大木も見せていただきました。
佐藤さんが小さく見えます。この1本から普通の
30本くらいの量が採れたとのことです。(ma)

8/25 漆カキにチャレンジするmaさん。
最終日、ということで特別に今日は違う
場所の漆の木の、キズから出た漆をヘラ
で採らせてくれたんだそうです。  

出のいい漆を手早くカキタルの中央に落と
すのは何度やっても難しかったです。(ma)

それから佐藤さんがせっかくだからと勧めて下さり、滴生舍浄法寺歴史民俗資料館を見学に。滴生舎では塗師の小田島さんが工房の中を見せて熱く説明して下さいました。
中でも、国産と中国産の漆の樽の匂いに違いにかなり驚きました! 国産がいかに匂いが少なく、良質かを再認識させられました。
資料館では、ビデオを観て、漆掻きについて復習することができ、頭の整理になり、良かったです。
今回の研修を通して、更に漆への関心が強まり、必ず守り通していかなくてはいけない文化だと強く思いました。
たくさんの方に良くしていただき、充実した研修でした。本当にありがとうございました。(ma)


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さて、maさんの見学した滴生舍をご紹介したいと思います。
8/25滴生舎
浄法寺御山の天台寺のほど近くに建っている「滴生舎」は、浄法寺塗りを展示販売している施設です。
滴生舍の中
浄法寺塗りの工房を兼ねていて、作業を見学できるほか、漆絵付体験教室も行っています。


浄法寺歴史民俗資料館では、浄法寺の文化的な資料をたくさん保存しています。小さい施設なのですが、その生々しい資料品の数は圧倒的。古いお椀等もたくさんあります。
8/25 資料館の椀
資料館の資料ではありませんが…
これは「ひあげ」と言われる浄法寺の片口。
maさんが泊まった「天台荘」にありました。
(天台荘は私も1ヶ月間お世話になりました)


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あっと言う間の5日間を過ごしたmaさんですが…
「大変だったけど、すごく楽しくてためになった。浄法寺の人にとても良くしてもらえた」と言います。
この体験をもとに、作る人とつなげる仕事をしたいそうです。
そして輪島キリモトでも「なにか発展させたいなあ」と。
いいですね。^^
楽しみにしていますよ!


さて、maさんのでっかい浄法寺みやげ。
8/25 お土産の漆の木
佐藤さんが、最後に漆の木を切ってくれたそうです。
持ち帰るのが大変だったけど「いい記念になった」。
…今、その木は彼女の自宅玄関のオブジェになってます。


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さて、maさんの5日間の漆かき体験記、いかがだったでしょうか。この体験記を寄せていただいたのに合わせて、maさんから写真と報告書を送っていただき、何度も彼女と連絡を取りあい、打ち合わせして、ずいぶん時間がかかってしまいましたが、ここまでまとめました。(体験記中の写真は、すべてmaさんより提供)
maさん、ありがとうござます!
そして本当におつかれさまでした。^^


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…思えば、私が最初に浄法寺に行ったのは、2000年。
今からもう7年も前のことです。
この体験記を見ながら、いろいろ感じたことがたくさんあって、とっても感慨深いものがありました。
一つは、当然なのですが浄法寺の漆かきさんたちが、うんと年を取ってしまったこと。もちろん、今も現役でがんばっており、ひよわな若い人にはまだまだ負けないと自負されてらっしゃると思いますが… やはり7年の間に老け、そして残念ですが実際亡くなられた方も何人かいらっしゃいます。(ベテランと若手両方…とても惜しい職人さんでした)
また、実際にお話していると、体の不調をふともらす方もよくおいでます。
今でこそ最高の漆掻き技術、そして浄法寺漆が簡単に見ることができますが、こうした産地の長い蓄積による余力も、みるみる衰えていくのが目に見えていて、やきもきする気持ちは隠せません。
そして、他に感じたこともあります。
浄法寺が外からのお客さんを受け入れるのがうまくなったなあ…と。笑
松本が行った時は、県外研修生は初めてで「四国?そんな遠くからなんでわざわざ何しに来たんだ?」と浄法寺の方に言われたもので(笑)、いろいろスムーズでないことも多かったのですが、今は短期研修で都会の女の子が一人で飛び込んでも、うまく受け入れ体制が機能しているようです。

そして一番大きいのは「日本産うるし」に世間の関心がかなり高まってきているということでしょうか。
研修生の定員枠は長期も短期も(長期は2名のみ)すでに先までいっぱいですが、松本の時は長期研修生も定員割れしている状態で、すぐ入れたものです。ほんとうにわずかの間に様変わりしているのを感じます。
時に浄法寺は、公共事業で、現在降って湧いたような「バブル」が始まっています。今まで顧みられずだぶついていた日本産漆は、にわかに脚光を浴び、今後数年間は一般には入手困難になります。
今まで見向きしなかった人・企業が急に「使いたい」と思っても、残念ながらもはや手に入りにくくなっているのです。しかし、それは仕方のないことかもしれません。「漆はいいものだ」と言う一方で、日本産漆を顧みずここまで産地を疲弊させてしまったのですから。急に必要だから、と言い出しても、漆の木はすぐ大きくならないし、漆かき職人さんは増えません。そして、「無いもの」の無理な要求は、産地を退廃させる原因を作ります。それだけは覚えていてほしいと思います。

この数年限りの「バブル」が、浄法寺にどんな影響を及ぼすのでしょうか…。
期待と不安をこめて、その結果に残った良いことも悪いことも、私たちはすべて、しっかりこの目で見て行こうと思います。


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posted by 宮崎佐和子 at 23:59| Comment(4) | TrackBack(0) |   maさん研修報告(2007年)

2007年11月12日

■maさんの浄法寺漆かき体験記/4

5日間の短期研修も、もう後半になりました。
今日は大森清太郎さんの2回目の講習です。さてさて、どんな内容だったのでしょうか。

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2007年8月24日(金)

●大森清太郎・貴太郎さんの漆掻き指導
(二戸市安比山/約140本/11辺)
 ・カマズリ、傷付けの練習
 ・ヘラで漆を採る


本日、初めて道具一式を貸していただき、腰に巻いて1日中作業をしました。
以前に京都からの研修生が(注※宇治市在住の木工家、臼杵さんのこと)練習したという木2本で、カマズリから採取まで漆かき体験をさせていただきました。
ジワ〜と白い漆が」にじみ出てくるのを、自分の手で掻き取った瞬間、なんともいえない感動でした。(ma)


以前、工房に来られたことのある臼杵さん。
臼杵さんは8月1日から10日間、短期研修を受けて、大森清太郎さんにもついていたのですが、その臼杵さん掻いた木をmaさんも掻かせてもらったなんて、なんだかほのぼのします。

さて、しっかり身を固めて仕事する勇姿が、これ。
8/24 漆かきをするmaさん
大森清太郎さんの道具をお借りしました。
カンナやヘラ・カマの形や持ち手の柄の
長さも職人さんによって異なり、使いや
すいよう改良されているそうです。(ma)

…このmaさんが右手に持っている筒はタカッポ(=カキタル)と呼び、木の皮でできています。(ホオ、シナ等)日本手ぬぐいで手下げを作っており、軽くできています。
この筒の中に、掻いた漆を落とし込み、溜めていくわけです。

今日は、傾斜の大きい広い山を一日中歩き回って、かなりへとへとになりました。が、大森さん親子は何くわぬ顔で淡々と作業を続けていました。体力無しにはできないと痛感しました。
この山は親戚の方の山だそうでフカフカと肥えた4haの土地に5000本もの漆の木が植えられており、向いの山にも1000本ほど植林されているそうで、見渡す限り漆の木、という眺めは爽快でした。
しかし、今年の漆は7月の冷夏と8月の猛暑と湿度の低さで、清太郎さんが漆掻きを始めて45年、一番、質・量ともに良くないかもしれないとのこと。
地球温暖化が大きく影響しているのだと思い、ショックでした。(ma)



8/24採った漆
maさんが採った漆(半分くらい)
が入ったカキタル。持ち帰らせて
もらったそうです。


…この、maさんが大森清太郎さんから聞いて衝撃を受けたように、今年はたいへん気候に恵まれず、内容も生産量も追いつかない不作の年でした。
ここ数年、そんなに良い年はなかったのですが… 時には台風、時には日照不足、と毎年何かと気象に恵まれず、今年に至りました。
浄法寺はこれから数年、大量に漆が必要とされるのでたいへん気になる状況なのです。
こういったことも、ぜひ多くの方に知っていただきたい…と私も思いました。

8/24漆の苗
帰りに清太郎さんが育てている
漆の木の苗畑を見せていただき
ました。よく漆が採れた木から
栽培するそうで、その中でも丈
夫に育った苗を選んで植林する
そうです。(ma)


大森さんご夫婦には、本当にお世話になったそうです。
うちの工房にも、大森清太郎さん、貴太郎さんそれぞれ別に採ってもらった漆が着きましたが…今年の漆は、こんなふうに採られたのかと思うと、とても感慨深いものがありました。

8/24大森さんの犬さんおまけ。
大森さんちのわんちゃん。


さて、maさんの大森清太郎さんによる研修は名残り惜しいけど今日で終わりです。
あしたはいよいよ最終日… 佐藤さんと過ごします。ラスト1日、十分たんのうして下さい。^^

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ちょっと余談ですが…
臼杵さんとmaさん、双方のお話を聞いていると、やっぱり女の子が行く方が、漆かきさんもうれしいのかな?とやっぱり思いました。笑(そんなん、当たり前やん!と松本)
臼杵さんは「忙しい時に来てくれて、もうダッシュ(走り出すさま)」っていう感じでしたが(もちろん臼杵さんはそんなことに臆する人でないんですが)maさんだと、手取り足取りで佐藤さんや大森さんも、忙しいながら楽しそう。
きっとmaさんがいた期間の浄法寺は、ちょっとだけ華やかだったんでしょうね。


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posted by 宮崎佐和子 at 19:13| Comment(0) | TrackBack(0) |   maさん研修報告(2007年)

2007年11月11日

■maさんの浄法寺漆かき体験記/3

三日目の8月23日。
今日は佐藤春雄さんが講師になってくださいます。この日もお天気がよさそうで、いい漆がいっぱいでそうで楽しみです。

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2007年8月23日(木)

●佐藤春雄さんの漆掻き指導(二戸町外山/約80本/14辺)
 ・漆掻きの資料を読む。
 ・それをふまえて、佐藤さんの作業を見学。
 ・「カマズリ」を習う


8/23佐藤さんとmaさん
佐藤さんとmaさん。
今日もがんばってください!笑 


今日は、車で30分ほど行ったところにある「外山」へ。(※注)
前日の大森さんがまだ11辺をやっていたところを見ると、14辺目を掻く佐藤さんはペースが早めなのあだと思いました。
午前中に佐藤さんが持ってきて下さった資料や本などを見て漆掻きの勉強をしてからは、作業の流れや意味がよく分かり納得しました。(ma)


8/23高い所に傷を付ける佐藤さん
佐藤さんは、木の高い部分にも、くいに乗ってキズを付けて掻いていましたが、人によっては高い部分まではキズをつけない人もいるとのこと。
長年の経験から自分がいいと思う方法で掻いていくそうで、たくさんの漆かき職人さんを見比べてみたいと思いました。
途中で「カマズリ」(注※)のやり方を教わり、実際にやってみましたが、低い部分、また逆に高い部分は力の入れ具合が難しく、コツを掴むにはもう少し時間が必要だと思いました。(ma)


さて「カマズリ」とは…ちょっとご説明します。
8/23かまずり
カマズリとは、幹のキズを付ける部分の樹皮を
この「つ字型」の掻きカマで削り取る作業のこと。
掻きキズを均一に付けることと、出た樹液が樹皮に
吸われないようにするために行われます。

カマズリは、研修生が講師の漆掻き職人さんについてよくお手伝いする仕事ですが(実際のうるし掻きは、仕事上なかなかさせてもらえない)単純なようで、意外と難しい仕事です。
皮を剥きすぎると木を傷めてしまいます。

さて、maさんは「殺し掻き」をした漆の木のその後を見て写真を撮っていますので、ぜひ紹介したいと思います。
8/23漆の木のひこばえ
殺し掻きをし、伐り倒した切り株から
何本もの芽が出て大きく育っていました。
状態のいいものを選んで残すとのこと。
枝の間の数を数えれば何年経った木かわかるそう。
(ma)

漆かきの方法にとして、おおまかに言えば、ワンシーズンで漆を採り切り木を切り倒してしまう「殺し掻き」と何年かごとに少しずつ漆を採る「養生掻き」があります。
日本では「殺し掻き」が主流。これを初めて聞く人は「木がかわいそう!」とびっくりするものですが、大丈夫。
ちゃんと残った根っこには、次世代の芽が育ってきます。
私たちも数年前に徳島で漆かきをした時、木は殺し掻きにしました。その3年後にその後を見たら、びっくり。立派な木に育っていました。

こうしてちゃんと山は循環しているですね…^^
人間の一方的な価値観でははかりしれないものを感じます。

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…さて、maさんは禁断の味覚にも挑戦しています。
なんと!佐藤さんに薦められ、漆樹液を大胆になめてしまったのでした。がく〜(落胆した顔)
8/23 漆の味見
初日には、漆をなめてみましたが、
場所や木によって味が違うということです。
今日の木(注※二戸町外山)は試してみると
「甘い!」調子に乗ってたくさんなめたら、
舌が黒くなってヒリヒリしました。(ma)


きゃ〜〜っ (>_<) やりましたね。
…この漆が「あまい」というのは本当です。
木で作られた糖分(これが木の活力です、まわり回って漆にもなります)木のコンディションによって、糖分の量も違うので「場所や木によって味が違う」というのも、理にかなっているんですよ。
ただ、漆はふつうの木の樹液ではないので…ただですまない可能性が十分にありますが…
「あ、なんとも無かったですよ〜ぴりぴりしたくらいで。笑」というmaさんですが、それを聞いた大森清太郎さんに「漆を舐めるなんてダッシュ(走り出すさま)」と怒られたり(でも佐藤さんにすすめられたのに〜 笑)松本に「内臓までかぶれていたかもしれんぞ〜」と脅かされたりと、おっかなびっくりの後日を過ごしたのでした。




posted by 宮崎佐和子 at 21:24| Comment(0) | TrackBack(0) |   maさん研修報告(2007年)

2007年11月10日

■maさんの浄法寺漆かき体験記/2

さて、二日目です。
ベテラン漆かきの佐藤春雄さんのとても濃厚な1日を過ごしたMaさんですが、今日の講師は、浄法寺の「親子鷹」、大森清太郎さん・貴太郎さんです。(maさんは研修期間中、初日の佐藤さんと大森さんそれぞれから各日で講習を受けることになります)

さて、今日はどんな具合でしょうか…。

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2007年8月22日(水)

●大森清太郎さん・貴太郎さん親子の漆掻きを見学。
 (青森県猿辺開拓/約150本/11辺)


8/22 大森さん親子
二日目の講師、大森清太郎・貴太郎さん親子。
いつも父子一緒に山でお仕事をされてます。

二日目は約1時間、車で移動し、約300本の木が植林されている猿辺開拓へ。大森さんが今年掻いている中で、一番遠方だそうで(注※)そのうち約150本を親子で分担して手際よく作業を進めていました。
大森さんは、3代続いて漆掻き職人をされているそうで、後継者不足に喘ぐ現在、貴太郎さんの存在は名前の通り貴重なものだと感じました。私と同世代ということもあり、いろいろな現状についても貴太郎さんは教えてくれました。(ma)


貴太郎さんとmaさんは、年が一つ違い。
若くてもすでに12年のキャリアを持っています。
15才の時から、父に付いてずっと仕事をしているという貴太郎さんの生き方を聞いて「今まで迷ってばかりいた私とは違うんだなあ」と、ふと考えさせられたそうです。

8/22大森さん親子の漆かき作業風景
手前で仕事をしているのが、貴太郎さん。
シャイなので、カメラは苦手なのです。笑

8/22 漆かきに使うくい
大森さんは漆かき中の木の下に「くい」を打っています。(高い所の仕事を楽にするため。たいていは梯子ですが、持ち歩きしなくて良いので、職人さんの間で流行ってます)そのくいに乗ってみるmaさん。笑(乗りたくなりますよね〜)

この日のお昼前、急に激しい雨となり作業を中段し避難しました。雨が降るとキズをつけられない(雨が入ってしまうと木が病気になる、漆が出なくなるとのこと)
雨の降る直前は漆がよく出るようになることなどを教わりました。知れば知るほど神秘的な木だと思いました。しばらくして雨があがり、日が照って木の幹が乾くのを待ってから作業を続けました。「乾いた」という判断も難しそうだと思いました。(ma)


8/22漆まみれになった蛾
「カキタル」の中に入ってしまった蛾。
虫はカブレないのだろうか?(ma)


ところで、その日に大森清太郎さん宅におじゃましたmaさん。
思わぬものを見せていただいたそうです。

8/22 大森さんの漆の花器
大森さんの自宅で見せていただいた花器。
カキタル内に残った漆や不純物などを固め
たもので、もちろん国産漆100%です。
とても珍しいものを見せて頂きました。(ma)

…わあ。^^ 現場に行くと、こういった珍品が見られるんですね。職人さんの無邪気な遊び心が感じられてとても楽しいです。

さて、二日目も無事終了。お疲れさまでした!
明日も佐藤春雄さんによる講習となります。




posted by 宮崎佐和子 at 20:15| Comment(0) | TrackBack(0) |   maさん研修報告(2007年)

2007年11月09日

■maさんの浄法寺漆かき体験記/1

この夏は、浄法寺に漆掻きの短期研修生として、本当にたくさんの方が浄法寺に行かれました。その中のひとり、maさんの浄法寺体験をご紹介したいと思います。
maさんは、東京の漆器専門ショップ「輪島キリモト」にお勤めです。
事の発端は…
今年6月に工房が東京で作品展をした時、会場の同じフロアにショップがあり、会期中に松本と意気投合。
「私も漆かき、見てみたい!」と彼女が言うのに、松本が「おお〜行け行け〜保存会は短期でも研修受けられるから!」と粉かけ。彼女は本当にそれを2ヶ月後に、実行しちゃったというわけです。(このノリ、いいですね)

日本一の漆樹液産地の岩手県浄法寺町。
そこで行われる「うるしかき」には、いろいろなドラマが詰まっています。
竹内さんや臼杵さんたちからも、漆掻き研修生としてのお話を聞いたりその内容を一部この「和うるし日記」でもアップしているのですが…
いかんせん、松本をはじめ職人気質の男性からはイキイキとした現場の雰囲気や素直な感動を汲み上げるのが難しく(笑)「うーんもっとフレッシュにとりあげたいものよ…」と思っていたところ、彼女から「浄法寺、行ってきましたよ」と嬉しい連絡があったのです。
「ねえ、体験記を紹介してもいい?」とお願いしてみたら「私みたいに5日間しか行っていない者の体験でいいんですか?」とmaさんは快諾してくれました。


では、前置きはこのくらいにして…
maさんの研修報告書を引用し、私の解説も加えながら、さっそくこの5日間の漆かき体験記を紹介したいと思いますexclamation


maさん
maさん。
「浄法寺に行ってきました〜!」


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2007年8月21日(火)

●佐藤春雄さんの漆掻きを見学(一戸町来田/約90本/13辺)
 ・漆掻きの流れについて
 ・道具の使い方について


朝6時ごろ、夜行バスで安代に到着し、そのまま佐藤さんと合流して、さっそく漆掻きに向かいました。すごく山奥でびっくりしました。(ma)

maさんの初めての漆掻きの講師は…
浄法寺でもベテランの漆掻き職人の佐藤春雄さんです。(現在、岩手県浄法寺漆生産組合の組合長さんでもあります)

8/21佐藤春雄さんの漆畑
約1時間車で走り、細い山道を抜けると
漆の木が広がっている林に到着しました。(ma)

maさんたちのまわりの木は、ほとんどウルシです。(ほぼ平地で、うるしかきがしやすそう…)
ここは山の中に見えますが、たいていはもと畑なのです。
「うるしかき」をする漆の木は、自生しているものではありません。地主さんやうるし掻き職人さんが苗を育てて、計画的に植栽しています。そういった「漆山」「漆畑」があちこちにあり(時には青森などの県外まで)、その年の漆掻き計画で、漆を採る場所や本数を決めて、初夏からもう準備をはじめるのです。

8/21佐藤春雄さんの漆掻きを見学
まずは、今日の講師・佐藤春雄さんの仕事を見学。
東京から来ていたデザイナーさんも一緒です。


初めて、漆が皮からにじみ出るのを見た時、何とも言えない興奮に包まれました。手際よく一定のリズムで進められていく作業風景に、佐藤さんの身のこなしにただただ見入ってしまいました。
手際よく一定のリズムで進められて行く作業風景。佐藤さんの身のこなしにただただ見入ってしまいました。後半に、佐藤さんがカンナ(注※ 漆の木の幹に傷の溝をつけるためのU字型に刃先を曲げた刃物)を入れて下さったのをひいてキズを実際につけさせていただきました。
力を入れ過ぎても曲がってしまうし、弱すぎても途中で切れてしまうしで想像以上に難しく、奥の深さを痛感ました。(ma)



仕事中の佐藤春雄さん
とても76才とは思えない佐藤さん。
軽い身のこなしに驚かされました。
1日山の中を歩いて、健康でないと
できない仕事だと思いしらされました。(ma)


午後7時頃に作業終了、そのあと、佐藤さんの自宅で採集した漆を樽に移すところも見学させていただきました。
最後は、丁寧に道具を油で洗って、本日は終了となりました。(ma)


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さて、この漆の採集あとの仕事ですが…
maさんの採った写真をもとに、仕事の解説をしようと思います。^^


漆を貯蔵している、杉材のうるし桶、五貫樽。
中央に黒字で「風代 ふうたい」と書いていますが、これは桶自体の重量をさします。(容器の素材が天然物なので、重さが一定ではなく最初に計っておきます)
また、桶にはタテに黒い筋が書かれていますが、この位置で蓋と身をあわせる目印になっています。
8/21漆の桶
この桶も、すぐには一杯になりません。
最盛期と言われる夏で一日400〜600匁くらい。
採った漆は、いっぱいになるまで注ぎ足していきます。

採った漆の計量。
8/21漆の重量を計る
佐藤さんは、バネ計りで今日の収穫を計ります。(これもタカッポ<=カキタル>の風代分の重さを事前に引いています)使う計りも、人それぞれなんだとか。(松本はデジタル計量器を使用)

そして職人さんによっては、ノートに記録を取り、その日のデータ(場所、天候、温度、湿度、採取量など)をきちんと書き付けて残します。
それは後年、同じような天候の年の時に参考にするのです。(ただ、やみくもにやっているわけではありません)


さて、今日の収穫を桶の中に流し込んでいきます。
8/21漆を桶に移す。
桶の上には「カケゴ」と呼ばれる桟をかけておきます。
流し込める漆が落ちきったあと、写真の佐藤さんが右手に持っている「ゴーグリ」と呼ぶ刃物で、タカッポの中の漆を取り、「カケゴ」でこそいできれいに桶の中に落とし込むのです。


漆を移し終わったら、道具の掃除。
これを怠ると漆が乾きついて、道具が台なしになります。
8/21道具のそうじ
フジの枝の先を叩いて刷毛状にした道具を使います。
穂先に油をたっぷりと付けて、タカッポ(=カキタル)をよく洗います。
この際、いちばん丹念に洗うのは、中よりもタカッポのふち。漆を採る時、掻きヘラで当てる大事な所で、漆で固くせず常にソフトな当たり心地になるように、油でしっかり洗い、そして朝の仕事はじめに叩いて繊維をほぐしたりと、手入れに余念がありません。
このあと、タカッポは明日の朝まで逆さに置いておき、自然に油が落ちるようにしておきます。

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さて、ぶじに初日を終えたmaさん。おつかれさまでした。
一緒に見学する仲間にも恵まれて、たくさん楽しそうな写真も撮っていました。^^
明日もがんばってください。


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