2013年06月19日

■ツヤツヤに塗りあがると思ったけど…。

台風が接近して、水不足の香川県にも雨雲がやってきました。
「四国の水がめ」と言われる、早明浦ダムの貯水率が低下しているので、香川用水の1次取水制限が間近なのですが… 
カラカラの夏なんて、大変ですよね。ふらふら
この雨はまさに天の恵み、まとまった雨で四国をうるおしてほしいです。


さてさて、今日はショップ和×和に四寸小皿の五枚組を入荷いたしました。
朱溜の方は、うちの工房では珍しい??うるうるツヤツヤした艶ありの塗り肌になっています。ムード


国産漆100%←こんなふうに…。
とっても可愛い真っ赤な小皿ちゃんたちです。


さて、実はお客様からのオーダーの中に、艶ありの塗り肌ご希望のものがいくつかありまして…。
「う〜〜ん、どの漆が艶ありに乾くんだろう?」と悩んでいたところでした。

普通、漆器で「艶あり」のものは、油をたっぷり入れた漆を塗って光らせているか、磨きをかけているものが一般的です。あと、漆に強くナヤシをかけているか。
しかし、そんなことはしない変わり者のうちの工房… 大事な漆に人間の手による矯正はかけていません。
漆たちのそれぞれの出身や経歴を見て「この漆はこんな塗り肌に乾くんじゃない?」と予想をつけて、それぞれの漆のコンディションの良い塗り肌を見つけていっています。
それが艶消しだったり、艶ありだったり…というわけです。
しかし、基本的に高品質の国産漆100%の塗り肌は、艶消しのことが多いので、艶ありに、しかもいい感じの艶ありになってくれる漆は、けっこう貴重だったりします。

(漆はツヤツヤが好き、というお客様はやはり多いですね)


この漆(2010年茨城県の奥久慈漆生産組合の盛辺生うるし)は、当初はツヤ子さんだったんですが、月日が経つに連れだんだんツヤケシ子さんになっていきました…。
しかし!!最近になって試してみたら、この朱溜の小皿のようにグロス感たっぷりの可愛いツヤツヤさんになってくれたんです。なぜ?でも嬉しい!

バンザーーイexclamation とばかりに、ツヤ希望のお椀に塗ってみたんですが…。



バッド(下向き矢印)う〜〜〜ん 微妙…。バッド(下向き矢印)バッド(下向き矢印)バッド(下向き矢印)
国産漆100% お椀

ツヤ子さんになってくれない…


なぜ〜〜? 確か、台風が来る前に塗ったものははツヤツヤちゃんになってくれたんですが。がく〜(落胆した顔)

…とまあ、最近の例を一つあげてみましたが…。
こんなふうに、漆がコロコロと表情を変えることはしょっちゅうあります。あせあせ(飛び散る汗)
純粋な国産漆、しかも工房にあるのは日本の国産漆でもトップクラスの漆ばかり(集めるのは苦労しました♪)なのですが、高品質ゆえ扱いは難しく、使い手はいつも振り回されてばかりです。
価格が高いだけではなく、使うのがムツカシイ事も国産漆が滅んでいく原因の一つなのでしょうね…。

それはさておき。
これしきではめげません。とりあえず台風が去ってから、またトライしてみようかな?と思っています。



 mugiさて、今日のおまけ写真はむぎ君です。
暑い&ハラヘッタアッピールだと思われます。


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posted by 宮崎佐和子 at 22:32| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ 和うるし(漆)について

2013年02月20日

■いろんな種類の「国産漆」。

ひとことに「国産漆」といっても、いろいろな漆があります。
「日本酒」といってもいろんなお酒があるのをイメージしていただければ、分かりやすいかもしれませんね。もちろん「日本酒」にも中には気品あふれる美酒もあれば、残念ながらそうでないハズレのお酒も存在しています。
そして、日本酒には四季のある日本にふさわしい、たいへん多彩な味があります。
白身魚の刺身のような淡い味の料理に合う繊細なお酒もあれば、塩辛や鯛のあら煮に合う濃厚なお酒もあり、おでんに合う軽快なお酒もあります…。

分かりやすい例えとして日本酒を例にあげてみましたが… マイナーな存在である国産漆も、そのような世界観でごらんいただくとグッと深みが増すことでしょう。

工房にある漆は、漆おたくの松本がよりすぐった、国内でも最高品質の国産漆だけを置いています。

そのおかげで… 私もすばらしい漆で仕事をさせていただいています。わーい(嬉しい顔)


バッド(下向き矢印)ほんの一部です… 私の仕事部屋の漆たち。
いろいろな国産漆の入った茶碗
産地別で言うと、だいたいは岩手県産と茨城産の漆ですね。
国産漆のほとんどは、この二つの県で産出されているのです。
ほか、ちょっと変わったところで、徳島産、香川産、高知産などの四国の漆があります。これらの四国産の漆は、松本自身が漆掻きして手に入れたものです。※香川県産漆
漆は、初夏〜晩秋にかけて採取されるのですが、採った季節によってもカテゴリ分けされます。初夏の漆は「初辺漆」、真夏の漆は「盛り辺漆」、秋の漆は「遅辺漆」、幹から採る最後の漆が「裏目漆」です。(ただし工房では初辺漆はほとんど取り扱いません)
ほか、現在では採取されなくなった「枝漆 ※山の枝漆 ※池の枝漆」や「根漆」などがあります。

中にはたいへんな「レアもの」の漆もたくさんあるのですよ〜。
そんな漆の塗り肌は、格別です。
また、おいおいご紹介いたしますね。ぴかぴか(新しい)


ネコのうり坊さて、今日のおまけ写真はうり坊です。久しぶりにお天気がよくなった今日は、ナワバリをパトロールしていました。



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posted by 宮崎佐和子 at 22:04| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ 和うるし(漆)について

2013年01月06日

■「国産漆」について/1

もうお正月休みも終わりですね。^^
ふだん、漆器になじみのないご家庭でも、お正月はお重、お椀、屠蘇器など、塗り物を意識する時期と言えるでしょう。
さて、最近になってこの日記をごらんになってる方が多いと思いますので、ごくごく分かりやすい「国産漆」のお話をしようと思います。ムード


漆工芸で使われる「漆」は、ウルシ科の落葉樹、ウルシノキの樹液です。そう、植物の樹液で天然塗料なのです。
漆の木
ウルシノキ。


よく「里山に自生し、秋に真っ赤に紅葉するかぶれる木」がウルシと思われていますが、そういった木はウルシ科の別の植物です。ウルシの木は人が管理栽培をする植物で、自然に自生することはほとんどないと考えられます。
もし、山で本物のウルシの木があったとしたら、昔そこは漆樹液産地だった名残でしょう。



この漆樹液は「漆掻き」という独特の技術で採集されます。
漆掻き
松本和明、高知県で漆掻きの様子。

このウルシノキや樹液を扱う技術は、すでに縄文時代には日本では盛んに活用されており、現在まで続くもっとも古い文化の一つに数えられています。「漆掻き」の技術はさまざまに変貌して現在に至ったと考えられ、現在のスタイルになったのはごく近年です。


漆掻きの道具
漆掻きの道具、左よりタカッポ、掻きカンナ、掻きヘラ、掻きカマ。



日本では「掻き殺し」と言われるスタイルで、漆を採ります。
産地の方針にもよりますが10〜25年間育て、掻き頃と見極められたウルシの木は、ワンシーズン漆を採ると伐採されます。個々の木の状態や掻き方などで大きな差がありますが、1本の木から出る樹液は牛乳瓶1本程度と言われます。

こうして集められた漆樹液は、たいへん貴重な物になります。


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posted by 宮崎佐和子 at 21:13| Comment(0) | TrackBack(0) | ■ 和うるし(漆)について

2009年02月05日

■黒呂漆について。

工房で使っている漆は、木地固めも下地も中塗りもほとんどが生漆です。精製漆は、最近出番が増えてきましたが、あんまり使っていません。(そういえば、色漆の登場もとっても少ないです)
さまざまな時期の生漆を、使い分けてやっています。

バッド(下向き矢印)作業で使っている漆たち、いろいろ。
3/4いろんな日本産漆の入った茶碗
ふだんは木の樽で保存している漆なんですが、仕事で使う分量だけ茶碗に入れて表に出して保存しています。

そんな中、久しぶりに黒呂漆を使いました。
私は本当におひさだったので、黒い漆を出した時に「わっ、きれいぴかぴか(新しい)」とちょっと感動してしまいました。

バッド(下向き矢印)今回使った黒呂漆です。
2/4黒呂漆
ほんとうにきれいですねえ…。
ちょっと青みをおびた、吸い込まれるような黒です。
いわゆる『漆黒』という色なのでしょうね。

漆の『黒』の出し方は、二種あります。
一つは、飴色の漆に松煙(松やにの煤)などの細かい炭粉を顔料として混ぜて作った顔料系の黒漆。
もう一つは、鉄分を混入して漆じたいを酸化反応させて黒を表現した、透き通るような黒漆です。(これが、いわゆる『黒呂漆』なんです)
この今回使ったのは、この「黒呂漆」なんです。
2006年の大森俊三さんの盛り漆を、浄法寺で精製して鉄粉で黒くした漆なんですよ。^^
その時に1貫目も作ったものの、残念ながらうちではほとんど出番がないのが申しわけないです。たらーっ(汗) この漆の塗り肌で呂色をとったら(塗り肌を鏡面に磨きあげたら)さぞきれいでしょうねえ。
うちの工房はそういった作風ではないので、だからなかなか出番がないのですが…。
いつかそういった仕事に使ってみたいです。

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posted by 宮崎佐和子 at 19:18| Comment(4) | TrackBack(0) | ■ 和うるし(漆)について

2007年06月18日

■日本産漆の生産量の少なさ。

この「和うるし日記」を愛読してくださっている方々、いつもありがとうございます。^^
今までそんな実感がなかったのですが、会場に「ブログ見ているよ」と言って来られる方の多いこと多いこと‥ダッシュ(走り出すさま) ちょっとびっくりしています。

そこで、松本が三越さんの朝礼でお話した「日本産漆の現状」の内容について、ほんのさわりだけ紹介したいと思います。
この「和うるし日記」をごらんになっていると、「ふーん、漆ってこう育ててこう使っているんだ」と素直に納得されると思います。でもしかし!私たちのしていることはかなり異端で、日本産漆の厳しい状況をあらためて知っていただけたらなあ、と思います。

2006/4/5/うるし

以前、林野庁に取材したことがあります。
農林水産省の電子図書館に、特用林産資料が公開されているのですが、ここの102番の中に「生うるし (なまの漆樹液)」の国内生産量(日本産)と輸入量(ほとんど中国産と思われる)、そして消費量のごく最近のデータが記載されています。
それを見ると、年によってゆらぎがありますが、日本産漆の年間生産量は1トン〜1.5トン。中国産漆の輸入量は100トン前後です。
この日本産漆の年間1トン強という生産量はどのくらいなのか、三越さんでお話しする前日に松本と計算してみました。
すると、お椀にして年間に約4万個という結果が出てびっくり。これは1ヵ月に約3000個、そして1日に100個という換算になりました。
松本いわく、「これは上塗りの職人さんが二人いる、中くらいの規模の企業が1年で使う量かなあ」とのこと。
えっ、この日本で漆屋さん1軒分の生産量しか、日本産漆がないの? がく〜(落胆した顔)
これには、私たち二人もあんぐり‥
「少ないなあ」とは、現場を見て思っていたのですが、改めて数値にすると戦慄が走りました。
この数値は、うちの工房で比較的しっかりしたお椀が、1個25グラム漆を使っているのを基準に、日本産漆の量が年間1トンとして計算したもの。多少、分かりやすい数字にしましたが、漆に関係あるお仕事をされているプロの方が、これを聞いてなんとも思わないわけがありません。

かといって、ほとんど中国産と思われる輸入漆もたったの100トンなのですから、中規模企業さんの100軒分の量しか流通していないということになってしまいます。
「中国産漆でも、下地から全部天然漆を使っている漆器は
超高級品」といわれるゆえんが、やっと納得できました‥。


そんな危機的な中で生まれている、日本産漆。
その中で、松本が選り抜いた上質の漆だけを使っている、うちの工房ですが、そんな認識が一般にアナウンスされていないのです。
たまにお客様から「高いわね〜もっと安くしなさいよダッシュ(走り出すさま)と正直な感想を言われたりすると(決して高くはないです、日本産でなくでもしっかり作った良心的な漆器と同じ価格帯です‥)、あまりにも知られていない国産漆がかわいそうで、一生懸命頑張っている漆かきさんに申し訳なくて、ちょっとだけ落ち込んでしまうことがあります。





posted by 宮崎佐和子 at 05:30| Comment(8) | TrackBack(0) | ■ 和うるし(漆)について

2007年03月11日

■これが“山の枝うるし”です。

さて、2/28に紹介した、工房に届いた二種類の“枝うるし”。3/2には、枝うるしの精製漆の方をご紹介しました。
今回は生うるしの方をご紹介しようと思います。

山枝漆3
これが生の枝うるし。
中には「山枝」と書かれた但し書きが付いています。


山枝漆4
漆の木が絞り出す最後の漆。
同じ漆の木、同じ漆かきさん(大森俊三さん)の手からのものですが、
幹から採る辺漆とかなり様子は違って、白っぽくクリーム状です。


さて、今回の枝漆。二種類の違いは、
(1)池の水に漬けて採取し、精製した漆 
(2)山で採った枝漆の生うるし。(今回紹介した漆)

通常は(1)のように、切り取ったうるしの枝を池の水に漬けて、その枝から漆を採取するのが一般的な「枝漆」です。(とはいっても、現在、枝漆はほとんど採られてないのですが‥)

山枝漆1
岩手県浄法寺町の大森俊三さんの山枝うるしの採取です。
(撮影/松本)

池の水に浸けずに採るには、裏目うるし採取の時期(10月後半〜11月頭)に、山で漆の木を切り倒した後、ただちに枝を切り集めるところから始まります。(漆樹液を採り尽くして、木を切り倒す時に行うのです)
集めた枝に溝(ヒビ)を付け、枝を立て掛けて漆樹液がにじみ出るまで置いておきます。
置いておくと切ったばかりの枝は、自力で樹液を出します。(池に浸けて採る枝うるしは、水から出しただけでは樹液が出にくい)
ある程度、切った枝が集まると、様子を見ながら順次にじみでた樹液を掻き採っていきます。

山枝漆2
山枝うるし樹液を掻き採る様子。


こうして“掻き場”を作って、タカッポ(うるしを溜める木の皮の容器)に、ほんの少しの枝うるしを落とし込んで集めていくのですね。…なんとも地道な作業です。

この山で採る枝うるし掻きの作業の大変なところは、スピードとタイミング。
木を切り倒して、枝に生きた圧力が残っているうちに傷を付けておかないと樹液が出なくなってしまうのです。(時間が経って樹液が出なくなった枝は、池に浸けて水を吸わせないと樹液が出にくくなる)
しかも大変な重労働。(特に山漆掻きは、池より過酷なのです)
それでも、以前は山枝うるしを採っていたのは、やはり需要があって使う人がいて、漆かきさんも多少は収入になったからです。
やはり、池に浸けた枝うるしのように水を吸っていないので、品位は池のものより良いのです。(なので、今回は生うるしで受け取りました)

漆かきの町、岩手県浄法寺町でも昔の風物詩?となってしまった枝漆。
今回来た漆も、大森俊三さんが採取している時に「この枝漆、誰が使うのか」とちょっとした話題になったそうです。
そしてこの過酷な山枝うるし掻き、採って下さった大森俊三さんも三日間がんばって下さったそうですが、ご高齢のためかさすがに堪えたらしく、「山枝うるしはきついな…」と漏らしたそうで…。ちょっと心配です。
(なので、きょう紹介した漆は、3日間仕事して下さったものなのです)

俊三さんには、もっと頑張ってほしい気持ちもあるのですが無理も言えず、ベテランの最高品質の漆掻きさんの漆が見られるのも、もうそんなに長くはないかもしれないなあ。
そう思うとすごく責任を感じて、私たちがもっとがんばろうと思います iモード


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posted by 宮崎佐和子 at 23:42| Comment(2) | TrackBack(1) | ■ 和うるし(漆)について

2007年03月03日

■池の「枝うるし」採り。

さて、昨日に紹介したのは、池に漬けて加水して採った枝のうるし(精製)。
この“池に漬けて加水して採った”とは、どういった過程なのでしょうか?? 松本の撮った写真と一緒にご説明しようと思います。

まず、漆かきの終わった11〜12月頃、漆の木の枝を切ってを束にしたものを、20日間ほど池などの水辺にひたして水分を吸わせます。
池の枝漆1
右が大森俊三さん、左が大森清太郎さん。
十分水を吸った漆の枝を、回収します。

池の枝漆2
枝を持って用意している作業小屋へ。


その後の作業は、枝漆について。を参考にしてください。

この枝漆かき、今では技術の途絶えかけた漆かき技法で、その再現と記録のために2001年から岩手県浄法寺町の大森俊三さんによって行われています。
(松本は、その時に岩手に滞在し、その技法を学ぶ)
大森清太郎さんも漆かき数十年のベテランなのですが、40年近く前からすでに枝漆の需要がなくなり(つまり、日本産漆を下地に使うことがなくなった)枝漆が採られなくなったので、本格的に枝漆かきをする機会があまりなかったとのこと。
そうなんですよね、それを「必要」とする人がいないと、いくら貴重な技術でもだんだん途絶えていってしまいます…。

さて、今回来た、枝うるしの精製漆も、こうして採られたものなのです。
漆の木の最後の一滴までも活かそうとする人間の執念が感じられますiモード


posted by 宮崎佐和子 at 21:28| Comment(6) | TrackBack(0) | ■ 和うるし(漆)について

2006年12月19日

■岩手県の今年の漆が届きました。


昨日、岩手の漆かき職人の大森清太郎さんから今年の盛り漆が届きました。量は1貫(約4キロ弱)。
1218スおけ1.jpg


今年の出来はどうなんだろう… 
わくわくしながら開けてみます!
1218スおけ2.jpg
“張り竹”を外します。(今はプラスチックです)
1218スおけ3.jpg
上の蓋紙をめくります。ちょっと紙が裂けたらしく
ガムテープで補修しています。
(最近の浄法寺の漆かきさんの流行りとか)
1218スおけ4.jpg
ついに中身が見えました!

1218スおけ5.jpg
盛り(真夏の漆)らしい、さらさらの柔らかい漆です。^^
分析のため撹拌されたあと運送で揺られて来たばかりなので、
液がちょっと見にくいですが、今年は浄法寺町で採ったので
岩手県の県南で採った去年のものより出来はよさそうです。

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1218じゃがいもjpg.jpg
漆と一緒に送っていただいたじゃがいも。
それとお米までもらってしまいました。



ところで、今年はものすごい量の漆を買ってしまいました… (過去最高の量かも…どきどき)
その大半はまだ届いていませんが、一部は成分分析が済んだものもあるそうで、年明けには工房にだんだん集まってくると思います。分析は興味深い結果が出たらしいので、こちらも楽しみなところです。
「ちょっと買いすぎたかな〜、来年は乾漆をたくさん作るか」って松本。
日本産漆100パーセントの乾漆だね? すごいすごい。(今まで多少は作ったことはあるんですが)
そんな贅沢ができるんなら良いものを作らなくちゃ…!!
posted by 宮崎佐和子 at 20:03| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ 和うるし(漆)について

2006年12月14日

■“枝漆かき”の季節です。


漆かき(漆の樹液を採取する仕事のこと)のできるシーズンは地方によってちょっと異なるけど約6月〜10、11月。つまり、初夏から晩秋までの仕事なのです。そして漆を採り終わった木のほとんどは切り倒してしまいます。
しかし、唯一、冬に漆を採る漆があります。
それが「枝漆」です。

12-14枝スを採る.jpg
岩手県浄法寺町にて。松本和明撮影。
寒さの中の仕事です。

枝漆は、漆を採り終わって切り倒した木の枝を集め、川辺の水に浸けて水を吸わせ、そして枝に傷をつけてにじみ出た漆を掻き採って集めたものです。
「漆かき」じたいが少なくなった今、漆かきさんもうほとんどしない仕事なので、なかなか見ることができません。
※枝漆について
http://waurusi.sblo.jp/article/602090.html


はやいもので今年もあとわずか、もう枝漆を採っている季節になりました。今年の枝漆も工房に届く予定です iモード
posted by 宮崎佐和子 at 22:41| Comment(2) | TrackBack(0) | ■ 和うるし(漆)について

2006年10月30日

■気まぐれな漆。

うるしの樹液は、いつもは大きな木桶で保存しています。
そして仕事に使うぶんを取り出して茶碗などに入れて仕事の机の上や棚においているのです。
10/30うるし入り茶碗
いろんなうるし。産地別、季節別、生うるし、精製うるし、顔料を練り込んだものなどたくさん茶碗の中で置いてます。
いれたうるしの表面にはラップでぴっちりふたをしており、硬化するのを止めています。
うっかり隙き間があって、空気が触れたら大変。そこからうるしがだんだん固まって、せっかくのうるしが使えなくなってしまいます。

ところで、数年前に私は「乾かない漆」を持ってました。
いや「乾かなくなった」という方が正確かも。
「もう使えないな〜」と思いつつも、せっせと木から採取した貴重な漆…。捨てるとうるしの神様の罰が当たりそうで、そっと置いてたんです。
仕事には使えなくっても、キライな人の玄関のノブに塗っておくとか自転車のサドルにとか、使い道があるかもしれないと思い(あ、ウソです〜本当に罰が当たりそうあせあせ(飛び散る汗)
ずーっと何年も乾かないまま、ラップもせずに茶碗に入れたまま放ったらかしていたんですが…。

10/30ちぢみ1

なぜか!半年前から乾き出しました。
(厚みのありすぎるうるしは、表面が縮みます…ちょっとすごいでしょ??)

10/30ちぢみ2
完全に膜が張って、ぜんぜんびくともしません。
つついてみると弾力があるので、
中身はゲルorゴム状になっているのだと思います。

5年前は、オイルのようなさらさらだったのに…。
このうるしは、もともと水銀朱を練ったきれいな朱漆でした。しかし、その顔料とうるしが分離してしまい(水銀朱は非常に重いので時間が経つと沈殿する)しかも顔料と反応して乾かないうるしになってしまいました。
(水銀朱の朱漆は、時間の経過とともに乾きが緩慢になり、最後は不乾になる)
なので、沈殿した顔料だけを取り出して使っていて、この変質したうるしが残ってしまったのです。

でも、何年も乾かないままだったのに、なぜ今頃よみがえったのでしょう?? 松本はpH値が変わったからかなあ、と言っていましたが…。
まるで『僕のこと、忘れていたでしょ?』と言っているようです。(笑)
posted by 宮崎佐和子 at 20:37| Comment(17) | TrackBack(0) | ■ 和うるし(漆)について
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