2014年03月07日

■上塗り用に垂れ濾しした、2005年岩手県産漆です。

啓蟄を過ぎましたけど、冷え込む日々ですね…。
娘は桃の節句でいただいたお祝いで、ついに「ぽぽちゃん人形」を買いましたexclamation
ちょっと独特のお顔のお人形なので、私はどうかなあ〜と思っていたんですけど…。
以前から娘は「ぽぽちゃん」がお気に入りのようで、おもちゃがたくさんある子どもの遊び場でも「ぽぽちゃん」につきっきりなので、ついに自分のお人形を迎えることにしました。
案の定、娘は大喜びで「ん!」と言いながら、ぽぽちゃんにミルク飲ませたり連れ回したりと楽しそうです。
やっぱり、女の子だからかお人形が好きなのかなあ〜。おもしろいですね。


さて、そんな今日はこれをお見せしたいなと思います。


バッド(下向き矢印)上塗り用に濾しました。大森俊三さんの漆です。
2005年岩手県の大森俊三の末辺機械精製漆
「垂れ濾し」という方法で、時間をかけてゆっくり濾しました。
圧をかけて絞らないので、不純物が上塗り漆に出にくく調子が良いので、よく使う手法です。
蓋紙がいたんだので、濾し直しました。ムード


バッド(下向き矢印)この漆で仕上げたうつわたち。独特の濡れたようなゴージャスな塗り肌がよい感じなんですよ〜。
ヒノキ高杯2

ウルシの器22014_wan_hutatuki_.jpg
高杯 和うるし工房あい

工房の器たちは、艶消し・半艶消しのものが多いので、このガラス質のようなキラキラした肌はとっても新鮮に感じます。ぴかぴか(新しい)
また、上塗り待ちの器たちを華やかに仕上げてくれる予定です。わーい(嬉しい顔)



タケノコさて、今日のおまけ写真は…

待っていました! 先日行った産直で買った今年初のタケノコちゃんです。
とっても小さいんですが、やさしいよい味でした。
春を感じますね。ハートたち(複数ハート)

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posted by 宮崎佐和子 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) |   浄法寺うるしについて

2008年11月03日

■タイムカプセル?みたいな漆。

そういえば、先月にご紹介したビン詰めにした大森俊三さんの2006年末辺漆の写真を撮っていますのでお見せしようと思います。

バッド(下向き矢印)これが、その時にお見せしたビン詰めの浄法寺漆。
9/22浄法寺のうるし2種
左が松本の2000年末辺漆、右が大森さんの2006年末辺漆です。
どちらも浄法寺産の荒味です。(クリックで写真が拡大します)


左の松本が採った漆はもう数年、ビン詰めのままの状態なんです。この年の漆は、本当に良かったです。
いつの日か、タイムカプセルの如く開いて使う予定です。

さて、この時は杉で作られた漆桶から見本用にビンに詰められたばかりだった大森俊三さんの2006末ですが…
今は、こんなふうになっています。


バッド(下向き矢印)これが今の状態の大森さんの漆です。
10/30大森俊三の2008末辺漆
10/30大森俊三の2008末辺漆
だいぶ沈澱してきていますね。
すうーっと白いかたまりができて、ビンの内側の側面を伝って、マリンスノーのように降りているようです。

バッド(下向き矢印)底を見ると、澱のようなものが溜まってます。
10/30大森俊三の2008末辺漆
10_30_urusi_4_a_.jpg

いつも、生うるしは大きな木桶か茶わんに入れて保管しているんですが、時間が経つとこんなふうに変化していくんですね〜。
よく使う漆は茶わんに入っており、そこから必要な分取り出しているんですが、本当にちょくちょくかき混ぜて使わないといけないなと思いました。

バッド(下向き矢印)さて、左側の松本の漆ですが…。
9/22浄法寺漆
松本の採った浄法寺の漆です。
2000年の末辺(秋の漆)。

これは、採ってすぐにビンに封入した漆で、採った時からほとんど変化していません。なぜビンに封詰めしたかというと、当時は漆の保存法をいろいろ研究していた時代で、こんな実験もしていたんです。(今は、もうこの保存方法はしていません)

この松本の漆は、実はほとんど沈殿していないんです。
でも、これはうるしが粘いからではないんですね…。(実はシャバシャバのサラサラ漆です)以前も書いた通り、これはかなりマニアックなうるしなんです。
なぜ、そうなったのか前回は触れずにいたのでちょっと書き記しておこうと思います。

木から採って(2000年)すぐビンに入れたこの未熟なウルシ樹液…。入れた時は写真のような色でなく淡い黄色がかった麦酒色だったのです。
ビンに入れて2年ほど、まったくといって良いほど変化ナシのまま年月が過ぎました。しかしある日ふと「この漆って、中はどうなってるんだろう?」とむくむくと好奇心がわき、松本が封印していた蓋を開けてしまったのです!
その時はいろいろいじってまた蓋を閉まったのですが…
ビンの中が減圧されて、未熟なまま保たれていたこの生うるしにぐんぐん変化が起こりました。遅ればせながら、漆の発酵が始まったのです。
山出しの生うるし(荒味うるし)には木クズなどのごみが入っているのですが、この木クズ(イゴゾ)に発生した炭酸ガスのアワがついて、ビンの中でイゴソが上下するようになりました。(ビンの外から眺めて面白い光景でしたよ)
その時舞い上がったイゴソがビンの内側に浮き上がったまま付着してしまい、付着したまま白くなっていきました。
そして、今。
発酵はほどなくして収まったのですが、ビンの蓋が漆で固まってしまい開かなくなってしまいました。蓋を見るとちょっと盛り上がっているので、きっとビンの中の内圧も高くなっているのだと思います。(ふつうの人の手ではもう開きません…)
こんな経過を経た?かなりヘンな漆なんですね。
以前はサンプルとして展示会場に移動したり、いろんな方が動かしてごらんになったり…と安定しない時期も経て今は安静にしている漆です。

ちなみに、この松本の採った当時の浄法寺漆ですが…
この日の約半日分の収穫量で、ほかの日のものは混ぜていません。ほんとに「この時だけの漆」なんですね。

いつか使いたいけど、どうやって中身を取り出そうかな?とも思案する大事な貯金箱のようなビンなのでした。ムード


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posted by 宮崎佐和子 at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) |   浄法寺うるしについて

2008年10月18日

■いよいよ浄法寺漆の認証制度が始まります。

10/18漆の木


岩手県二戸市浄法寺町は「日本のふるさと」のイメージをそのまま形にしたような、のどかな町です。
空は澄んで夜は星がこぼれそうなほど天に近く、地元の人々は農業や畜産にいそしみ、夜の席にはその家の自慢のどぶろくも出る…
そんな素朴な町です。
そして、日本一の漆樹液産地でもあります。

その浄法寺町が、明日は活気付く日です。
きっと多くのテレビカメラや新聞も入ることでしょう。
明日、開催される第30回浄法寺漆共進会は、いつにもまして特別な日なのです。

浄法寺漆は、この時勢に合せて、二戸市が産地ブランドの確立にたいへん力を入れてきました。日本一の生産量(いっても1トン前後くらいなのですが)を誇るこの町のことは、漆のお仕事をされている方ならたいていご存知でしょう。
しかし、残念ながら消費者であるお客様の認知はまだまだ低いといわざるを得ません。
しかしながら、ほぼ「日本産漆 イコール 浄法寺漆」と言っても過言ではないくらい、漆産業にとっては大事な地であるんですね。

その産地ブランドの格付けである第一回目の認証のセレモニーが、明日の共進会で行われるのです。^^
それにともなって、いろいろ関連の発表があるかと思います。
しかし残念ながら、今年は私たちは行けないのですが(来週からまたもや作品展がたらーっ(汗))その代わりに、研修生の本間さんが共進会のレポをしてくれることになっています♪
ドキドキ…あせあせ(飛び散る汗) 工房でオーダーしている漆(大森俊三さん・大森清太郎さんの漆)も、この共進会に出品されるんですね。
とっても楽しみです。ムード


バッド(下向き矢印)浄法寺漆にはこんな出荷票が付くそうです。(サンプル)
10/18出荷表

バッド(下向き矢印)こちらは、出荷・精製履歴証明書です。(サンプル)
10/18出荷証明書
これらの書類は見本として、浄法寺漆生産組合から送られてきたもの。これからは漆の出荷後にこのような明細が送られてくるんだそうです。

いつも、漆掻きさん自身から詳しくヒアリングしていた内容がきちんとお墨付き?の書類にまとめられるというわけですね。とてもいいです。

さてさて、もう少し詳しく…。
これらの認証が適応されるのは、岩手県浄法寺漆生産組合の組合員さん、もしくは主として浄法寺町で伝統的に行われてきた漆掻きの技術で漆を採取する人であるか、浄法寺漆認証委員会が特に認めた人が採取する漆で、なおかつ採取地域が岩手県全域、青森県三戸郡、八戸市、十和田市、秋田県鹿角群小坂町、鹿角市、大館市であるもの、また品質に関しては増量等を目的にして意図的に異物を混入していないこと、浄法寺漆以外の漆を混入させないことがあげられます。(浄法寺漆認証制度の運用についてより抜粋)
※岩手県浄法寺漆生産組合 組合員
佐藤春雄(組合長)、三浦義美(副組合長)、漆田吾郎(副組合長)、工藤竹夫(幹事)、吉田信一(幹事)、大森正志(幹事)、砂子田進(監事)、横浜正雄(監事)、大森清太郎(会計)、鈴木健司(会計補佐)、大森俊三、漆田兼蔵、大森貴太郎、澤田文雄、岩館正二(顧問)、小沢純、田口長吉、田畑与吉、田口武夫、佐藤正勝、漆田忠八、横浜善蔵、砂子田宏雅、樋口昭吉 (敬称略)


ここまでの制度の組み立てには、浄法寺漆に関わる多くの方々の並ならぬ努力とご苦労があったことでしょう。それだけに、明日の共進会はたいへん、心待ちにしておられると思います。
滞りなく無事成功することを遠方よりお祈りしております。
私たちも、本間さんからのレポを楽しみに、自分たちの仕事をしていようと思います。^^


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posted by 宮崎佐和子 at 21:19| Comment(4) | TrackBack(1) |   浄法寺うるしについて

2008年09月22日

■保存法の違う、ふたつの浄法寺漆。

いよいよ明日、大阪に入ります。^^

今日、ご連絡がありまして取材の方が会場に来られることになりました。
そこで、久々にビン詰めのなま樹液も持って行くことになりました。
なぜ最近持って行かなかったかといいますと、やっぱりちょっと怖いからです。
以前、分析のサンプルに欲しいと知人の方からご依頼を受けて、フィルムキャップに入れた阿波漆(少量の漆の持ち運びによく使われます)を郵便で送ったことがあるのですが… 
なんと先方に届いた時には、中身の漆がもれていたらしくあせあせ(飛び散る汗) 「これは漆テロだ」と、冗談混じりですがそう言われたことがあります。
もし漏れたら、なかなかやっかいな代物です。
十分に気をつけて持ち運びしないといけません。

バッド(下向き矢印)さて、今までは見本用にこれを持っていっていました。
9/22浄法寺漆
松本の採った浄法寺の漆です。
2000年の末辺(秋の漆)。

これは、採ってすぐにビンに封入した漆で、採った時からほとんど変化していません。なぜビンに封詰めしたかというと、当時は漆の保存法をいろいろ研究していた時代で、こんな実験もしていたんです。(今は、もうこの保存方法はしていません)
それを、見本にと当時は展示会場に持って行く事もあったんですね。

…さて、この漆はなかなかいい漆なんですが、かなりマニアックな漆なんです。
もしかしたら公共の電波に乗るかも?しれないし、「せっかくだからもっと分かりやすいいい漆を持って行こう」ということになり、急きょ同じ規格のビンをホームセンターで買ってきました。
そしてその新しいビンに、大森俊三さんの漆を詰めました。

バッド(下向き矢印)ふたつの浄法寺漆です。ぜんぜん違いますね。
9/22浄法寺のうるし2種
左が松本の2000年末辺漆、右が大森さんの2006年末辺漆です。
どちらも浄法寺産の荒味です。(クリックで写真が拡大します)


大森さんのうるし、とってもきれいです。ぴかぴか(新しい)
大森さんの採ったうるしにしては、そうコンディションの良いものではないんですが、漆がぜんぜん分からない方でも、この二つのビンのうちどちらかを選ぶとしたら右側を選びそうですね。笑
なぜ、こんなに違うのか、といえば…。
採取者の違いもありますが(松本は大森俊三さんの技術理論に傾倒しているので基本的には似た漆を採ります)、一番の要因はうるしが未発酵か、十分発酵しているかだと考えています。
このなまの樹液のつきものの「発酵」が漆の品質を左右する鍵だという考えです。

9/22大森俊三さんの末辺
まだ、詰めて数分しか経っていないのですが、もう木屑が底にたまっています。

この木屑を濾していない、なまの樹液を『荒味漆』と呼びます。
山から持ち出して大きなごみだけをざっと取った、なまそのままの原酒のようなうるしなんですね。
大森俊三さんは仕事もきれいで、この木屑があまり入っていません。とてもスマートなお仕事をされています。
(うるし掻きさんにもいろんな方がいて、中には『ごみが多い方がよい』と教えられて、木屑をたくさん入れている人もいます)
この木屑が少ない、というのは漆の品質を左右するポイントの一つになります。
漆の木にキズを付ければ、誰でも日本産うるしを一応採れることになりますが、こんなに品質のいい漆を採れるのはほんの一握りです。


バッド(下向き矢印)もう、沈殿が始まってます。
9/22大森俊三さんの末辺
わ…こんなに沈殿が早いのですね、大森さんの漆。
いつも使う分は茶碗に入れているので、側面からしみじみ変化を見るのは初めてかも。
これは本当、使うたびにしょっちゅうかき混ぜていないといけないなあ。がく〜(落胆した顔)
でも、上の松本の漆はほとんど沈殿していませんでしたが、でもこれはうるしが粘いからでないんですね…。(実はシャバシャバです)先ほども書いた通り、これはマニアックなうるしなんです。
なぜ、そうなのかの見解は、またの機会にご紹介したいと思います。


さてさて、漆は油(ウルシオール)と水分、ゴム質・糖などの有機物の混合液体です。イメージとしては牛乳のような感じでしょうか。(乳脂肪と水分、タンパク質等)
一般に売られている牛乳は、成分が沈殿しないよう均質化(ホモジナイス)していて、最後の一滴まで白い不透明な液体ですが、原乳は置いておくと乳脂肪が上に浮き上がってくることはご存知だと思います。
加工していない漆樹液も同じ現象が起こります。
品質のいい、さらさらのオイルのような漆はこの沈殿がとっても早いです。(こんなに早いとは思いませんでしたが…あせあせ(飛び散る汗)
この大森俊三さんの末辺漆、もっと時間が経つときれいに沈殿します。
なかなか興味深い絵になりますので、また後日紹介しますね。ムード

…改めて読み返すと、そうとうマニアックな?内容になっちゃいましたね。
うるし樹液の一面を少しでも知ってくださるとうれしいです。^^


さて、では大阪に旅立っていきます。
大阪の皆さん、よろしくお願いいたします。


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posted by 宮崎佐和子 at 22:28| Comment(0) | TrackBack(0) |   浄法寺うるしについて
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