2009年11月25日

■臼杵さん浄法寺の漆かき終わりました。

日本うるし掻き技術保存会の長期研修生だった、臼杵春芳さん。
11月10日に、うるしかきの終わった研修林の伐採も終わり、地元に戻られたそうです。
おつかれさまでした。ムード

今日は、ご実家(香川県なんです)に戻られたあと、工房にも寄ってくださいました。
松本が行った頃に比べて、あまり環境がいいとは言えない研修林のウルシの木たちを相手にの奮闘、たいへんだったと思います。そして、素朴なうるしの里、浄法寺町は近年大きく変化しているのですが、その中での数ヶ月の体験は別の意味でもとても貴重だったと思います。
ほんとうに、お疲れさまでした。ぴかぴか(新しい)


バッド(下向き矢印)みんなで近所のうどん屋さんに行きました。
 一番ご近所の大釜うどんさんです。
11_25_usuki_matu_.jpg
中央が臼杵さん。(お連れの男性はお弟子さんだそうです)


もうこれから京都にお帰りだそうで… 乾杯!とはいかないのが残念なところですね。あせあせ(飛び散る汗)


臼杵さんのうるし掻き中のブログ。
今年の研修の奮闘ぶりの様子を、ぜひごらんくださいね。^^
  ↓
11_26_urusikaki_.jpgうるし掻き日誌


…それにしても…。
こうして、うるし掻きの研修生の友人が増えていくのは、とても頼もしいものがあります。
漆芸の源流に触れて本来あるものが理解しあえる人がだんだん多くなってくれるのは、私たちにとっても、すごくうれしいことなんですよ。 
数年前までは、作り手が「うるし掻きにまでかかわる」というのは、いろものと言いましょうか、なんだか「よけいなことをしている」という雰囲気があったりしました。(お客さまは決してそう思わないでしょうが… 漆をされている方の間ではそんな空気感を感じることが多かったです)もうやだ〜(悲しい顔)
ましてや、「国産漆を使う」こということじたいがなくなってきた日本という国ですから、いろいろと隠された部分があまりにも多く、日本産の原材料に触れるということは、かなり勇気のいることでもあったのです。

そして漆芸という伝統工芸の手仕事と、原材料のうるしの育成や採取は、長い間まったく別分野の仕事とみなされてきて、不干渉の部分が多々ありました。
時代の変化とともに、そういった位置づけでものごとを進行していくには、かなりぎくしゃくしてきたのですが、それが近年の文化庁の事業のてこ入れや、漆樹液産地の地元の方々の努力のおかげで、だんだん解きほぐれてきたような気もします。

まだまだほんの小さな変化にすぎないのでしょうが…。

以前と違って、「この時期のあのうるしの表情っていいよね!」とか「あの人の掻いたうるしは、なかなか好みだ」とか「この漆の木の育ちぐあいは、こんなふうだよね」というような… マニアックな?話題を、自然と交わせる仲間が増えてくるのは、純粋に嬉しいものです。ハートたち(複数ハート)

今年の研修生の皆さま、お疲れさまでした。
これからもよろしくお願いいたします。

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posted by 宮崎佐和子 at 23:11| Comment(0) | TrackBack(0) |   臼杵さん研修報告(2009年)

2009年09月21日

■臼杵さんの浄法寺の漆かきだより3

浄法寺町の「日本うるし掻き技術保存会」の今年の長期研修生に行かれている、京都の木工家の臼杵春芳さんから、16辺目の様子のお知らせをいただきましたので、ご報告いたします。^^

3一昨年の浄法寺産jpg



昨日(※9/18)で16辺目が終わりです。
浄法寺のうるしの木が紅葉し始めました。<臼杵さん>


今の浄法寺町(岩手県)は、昼の気温が17度、夜が11度 exclamation×2と冷え込んでいるそうです。さ、さむそう…ふらふら
漆かきの仕事じたいは、秋になって4日間隔→5日間隔になったので、すこし仕事にゆとりがでてきたそうです。

バッド(下向き矢印)葉っぱの赤くなった木を撮ってくれました。
9_21_joubouji_1_.jpg

9_21_joubouji_2_.jpg

わあ、今年はけっこう赤くなっていますね。ムード
工房のある香川県に植えてあるウルシの木では、なかなかこうはなりません。(茶色がかった黄葉という感じです→※こんな葉っぱです
こんな葉っぱを見ると、「漆掻きももう終わりだな〜」と思います。


バッド(下向き矢印)臼杵さんの研修林の様子。(拡大します)
9_21_joubouji_3_.jpg

漆の原木不足で、漆を採る木が少なくなって研修生に割り当てられる漆畑は、どんどん条件の厳しいところになっているそうです。(条件が厳しい…というのは、木の状態がさほど良くない、足場が悪い、通うのが大変な場所である、というようなことをさします) マムシさんもいっぱいいらっしゃるようですよ…(> <) わ〜気をつけてくださいね ;;
…たしかに、松本が浄法寺の研修に行った初期のころ(2000年)は、木も肥ってたし畑の場所も良いところでした。
でも、今は日光東照宮さんの修復の需要ができて、あと数年はたくさんの浄法寺漆が必要になったので、今は少しでも条件のよい木は、プロの漆掻きさんに使ってもらわないといけませんね。あせあせ(飛び散る汗)

…ここまで読んでくださった方の中から、なんだか「将来の需要を見越して、苗の植栽を以前からもっとたくさんしていればよかったじゃないか?」っていう声も聞かれそうですね。;;
が、これがなかなかむつかしいところなのです。
当時は(今もそうですが)浄法寺をはじめ日本産漆の生産の場じたいが、将来の展望を見いだせず、とても倦み疲れていたので、近年はそれほど植栽がすすんでなかったようなのです。
2007年からはじまった、日光東照宮さんからの浄法寺漆の大量発注で浄法寺の漆産業はちょっとした好景気です。
それにともなって、大量の原木が一気に必要になり、それで漆の木の「在庫」が急激に少なくなりました。
さすがの浄法寺町も原木不足が深刻になっています…。
でも、これにはいろいろ背景があるのです。
それまで浄法寺漆をはじめ、日本産漆は、多くの人や媒体から「すばらしい素材だ」と賞賛されていましたが、それにもかかわらず、現実に国産漆をちゃんと買って使う企業さん職人さん作家さんは、ほんの一握り。
せっかく苦労して採った、貴重なはずの漆も売れずにたくさん残り、漆掻きさんは、長年つらい思いをされてきました。
そんな当時の状況では「たくさん苗を植えておこう」という気にはならなかったのも自然のことでしょう。
まあ、いろいろたいへんなんです…。

ちょっと、そんな表には出ない事情も、すこし知っていただけるとうれしいです。^^



そんな中、日本産漆の可能性を求めて、滋賀県から一人の男性が5日間の短期研修にいらしていました。ぴかぴか(新しい)

短期研修生の渡辺さんも来ています。なぜか、わたしが指導しています。
今日は田子のうるし掻き道具を作っている中畑さんの所に2人で行きます。<臼杵さん>

9_29_jouboiji_4_.jpg

わあ、がんばってらっしゃいますね exclamation
渡辺さんは、長浜で仏壇の漆塗や山車の修復など漆塗の仕事をされているそうです。
実は、先日の京都での工房の作品展に渡辺さんがわざわざいらしてくださって、松本と弟子はごあいさつをすませているんですね…!
田子町(青森ですけど、浄法寺から近いんです)で漆掻きの道具を作られている中畑さんのところでは、品薄の鎌、掻きカンナ、掻きヘラを運良く?手に入れることができたそうですよ。
渡辺さんのような方が、増えてくださると嬉しいです。



9_21_higanbana_.jpgさて今、工房のまわりの田畑のあぜ道にヒガンバナがたくさん顔を出して咲いています。ムード
この赤い彩りを目にすると、残暑が厳しくても「ああ、秋だな」と思うのですよ。
今年は涼しくなるのが早くて、朝夕は肌寒いほどなのですが、日中の日射しは強く肌を刺すよう。その陽の中で、ヒガンバナは燃えるように立っています。

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posted by 宮崎佐和子 at 20:47| Comment(0) | TrackBack(0) |   臼杵さん研修報告(2009年)

2009年09月06日

■臼杵さんの浄法寺の漆かきだより2

今年の「日本うるし掻き技術保存会」の長期研修生は3名。そのうち、一名は京都の木工家の臼杵春芳さんです。

3一昨年の浄法寺産jpg


その臼杵さんから、14 辺目の写真が届きましたので、ご様子をお見せしたいと思います。^^




お久しぶりです! うるしの辺は14辺目になりました。
漆協会のコブだらけの木の写真と、福田の木の写真を送ります。<臼杵さん>


もう14辺なのですね。^^
臼杵さんは、文化財漆協会の畑と、別の研修林の漆を掻いてらっしゃるんですよ。

9_6_usukisan_2_.jpg
協会の木。

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福田(研修林の地名)の木

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協会の木は相変わらず、1本につき5グラムしかでません。
福田の木は、やっと1本につき10グラムでるようになりました。<臼杵さん>


浄法寺は、ずっと気温が20度程度の涼しい日が続いていたのですが、つい最近になって27度くらいになったそうです。
…だって、四国もかなり涼しいものね。なので、浄法寺の気候はかなり心配になっていました。漆の質に、どれほどの影響が出るのかなあ。


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ウルシの木の葉っぱ。


臼杵さん、どうもありがとうございました。ムード


さてさて、いま臼杵さんが行かれていて、松本自身も2000年に行った、日本うるし掻き技術保存会の漆かき研修生制度。
…どうやら、最近は人気らしいんです。
長期研修生に関しては、地元からの申し込みが殺到?していて、県外の人には、狭き門になるかもしれません。
でも、地元の希望者は、漆掻きさんの子供さんやお孫さんが多いそうで、それはうれしいことですねexclamation
掻けるウルシの木がないと、技術を身につけても発揮できないままになってしまうので、ちゃんとバックボーンのある方が研鑽を積むのは意味があると思います。
そして、もっともっと日本産うるしの良さが世に伝わって、若い世代の漆掻きさんにちゃんとお仕事がいくようにならなければ…。

微力ながら、私達もがんばろうと思います。



posted by 宮崎佐和子 at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) |   臼杵さん研修報告(2009年)

2009年07月27日

■臼杵さんの浄法寺の漆かきだより1

今年の「日本うるし掻き技術保存会」の長期研修生は3名。そのうち、一名は京都の木工家の臼杵春芳さんです。

3一昨年の浄法寺産jpg
一昨年の浄法寺の苗と臼杵さん。


臼杵さんは、浄法寺へすでに短期研修生に行った経験があり、その後も中国漆掻き取材に行ったり、地元の京都でウルシの木を見つけて掻いちゃったり…と、とても行動的な人です。
漆掻きとしての実績はまだまだ少ないのにもかかわらず、純な研修生といった雰囲気ではなく、すでに「手練者」の感がただよいます。
この6月から浄法寺入りして、生産組合の会長・佐藤春雄さんのご指導のもとフットワーク軽く仕事をしているみたいです。^^
その臼杵さんから、いま漆掻きをしているご自分の研修林の様子の写真が届きましたので、ご紹介しますね。ムード


* * * * * * * *

臼杵さんは、6月10日ごろから辺を入れ始め(漆掻き開始)、ただいま9辺目だそうです。
今年の長期研修生の猪狩さん、久慈さんと三人で同じ研修林で仕事をされています。

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7_24_yosida_2_.jpg

この写真は「文化財漆協会」の吉田の木です、こぶだらけでカマズリがたいへんです。<臼杵さん>


わ、臼杵さんがこの植栽地の木を掻いているんですねexclamation
(この黄色はペイントだそうです)
漆掻き研修生は、うるし掻き技術保存会から研修用の漆の植栽林が割り当てられて、与えられた木で漆掻きの勉強をします。なので、どんな畑が振り分けになるか、分からないんですよね。
写真を見る限り、この木はちょっと元気がなく、皮が厚くて仕事がしにくそうです。
では、臼杵さんたちがここで採った漆が協会で頒布することになるのかな? だとすれば、責任重大?ですね。がんばってうんといい漆を採ってもらわなくては…。


次の写真は浄法寺の福田というところにある木です、北斜面であまり日がさしません。でもこの木だけは朝日がいっぱいさして、うるしがあふれるほど出ます。<臼杵さん>
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臼杵さんお気に入りの木なんですね。^^
やっぱりたくさん樹液を出してくれる木の前では、こちらも元気になってしまいます。


今年は浄法寺ではうるし掻きさんがふえて27人になっています。研修生をいれると30人です。それで木が足らなくなっています、だから昨年みたいな良い木は研修生には、あたらなくなっています。<臼杵さん>
日光東照宮の修復に、すべて浄法寺の漆が使われる事になり、浄法寺町は昨年ごろからにわかににぎわっています。
なので、一度やめていた方が復職したり、新しく始める方が入ったりとで、漆掻き職人さんが増えているのです。(とは言っても、昔に比べるべくもないですが…)
それでも、一時のにぎわいを感じるのはうれしいことですexclamation
研修生の皆さん、たくさんの木たちを相手にするので、手首を痛めないようにがんばってくださいね。

posted by 宮崎佐和子 at 20:31| Comment(7) | TrackBack(0) |   臼杵さん研修報告(2009年)
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