2008年09月30日

■ふだん使っている漆スプーンです。

ごく最近になって、うちの食卓にやっと工房のスプーンが、まわってくるようになりました。ムード
そのほとんどが試作品やちょっと訳あり品なのですが、やっぱり木と漆のスプーンっていいです。「どれ使う?」と言いながら、選んでいるとちょっとだけ贅沢な気分になります。


バッド(下向き矢印)その中で、松本がよく使うスプーンです。
9/30スプーン
材はクリ、長さは約18センチ。


9/30スプーン
9/30スプーン
ほどよく刃物あとを残した木地です。
使い込んで、いい感じになってきています。

クリ材は、こうした小物によく使うのですが、ほんとに可愛らしい木です。漆によく合います。
いつか、クリ材のお椀も欲しいなあ…。


バッド(下向き矢印)先日ご紹介した大椀と、このスプーン。
9/30スプーン
9/30スプーン

この大椀は、お粥をいただくのによく使うんですけど、その時にこのスプーンがしょっちゅう登場します。
チャーハンとかにもいいし…。
よく活躍してくれる、いい子なんですよ。


さて、いつものごとく?ですが、工房の漆スプーンは激しく品薄です。そこそこまとまった数がそろうのは、1年のうちでもほんの一瞬なんですね。
一本一本手削りなので、量産できないのが辛いところ…。
でも、それも仕方ないかなあ、と最近思うようになりました。シビアな作りなので、もともといっぱい作れるようなものじゃないしなあ。
なので、毎日この漆スプーンが使えるのが、ますます贅沢に思えてしまう今日この頃です。


いつもありがとう…→  人気blogランキング
にほんブログ村
posted by 宮崎佐和子 at 20:15| Comment(0) | TrackBack(0) |   漆のスプーン制作

2008年01月13日

■欠けた漆スプーンの修理。

工房のお客様から「使っていた漆のスプーンが欠けてしまったので、なおしてほしい」とのご依頼があり、先日からその修理をしています。
そのスプーンは栗の木の手削りスプーン。一番大きいサイズです。

1/13 欠けた漆スプーン1
ここが欠けてしまったんですね。あせあせ(飛び散る汗)
断面に漆を塗ったところです。

かなり気に入ってくださって、ヘビーローテーションでひっきりなしに使ったんだとか。(事故で欠けちゃったんだそうです)
1/13 欠けた漆スプーン2
きれいに割れていて、破片もちゃんと取ってあったので(助かります)修理は金継と同じで、漆で貼り付けることにします。ちょっと時間がかかりますが…きれいに仕上がります。

1/13 欠けた漆スプーンの修理
きちんと破片を戻したところ。今は漆の粘着力でくっついてるだけですが、こうしてみるとつなぎ目はもう分かりません。
これを漆室に入れて、しっかり乾かします。

この後の工程は…
付けた部分を十分乾かす→乾いたら、つなぎ目のすき間を漆で埋める→すり漆を全体にほどこす→上塗り
これで、ほとんど元の姿を取り戻すと思います。


さて、余談ですが…。
1/13 新しい漆スプーン
ほぼ同型の新品のスプーン。
かなりの艶消しになっています。

修理のスプーンは、半年前くらいの作でこのタイプのプロトタイプでした。当時の仕上がりもこのくらいの艶消しだったはずですが…あれれ? 今回戻ってきた時には「3年くらい使ってたの?」と思うくらい自然の手ずれでぴかぴかになってて、びっくりexclamation
松本は「おお〜すごい」と喜んでました。(松本はこういった漆の景色が大好きなのです) 
毎日、朝晩くらいのペースで使ってきれいにお手入れされてたのかなあ…。とにかくかなりのヘビロテと思います。
また、ちゃんと持ち主のところに帰れるようにしたいなあ、と思います。



posted by 宮崎佐和子 at 22:18| Comment(4) | TrackBack(0) |   漆のスプーン制作

2007年10月17日

■新作のスプーンが出来ました。

この秋のギャラリーの展示会に出品する予定のスプーンが、出来ました。
木地固めからすり漆4回目までが大森清太郎さんの盛辺漆、中塗り4回は大森俊三さんの末辺漆、そして上塗りは大森俊三さんの盛辺の精製漆を使っています。

10/17 スプーン110/17 スプーン2
夜に撮ったので、映りが良くないですが…。
右がベビースプーン、左側が新タイプです。


10/17 スプーン5
フィッシュスプーン(ソーススプーン)。

右手にカメラを持っているので、左手持ちで撮っています。^^
繊細なフォルムでなかなかお気に入りのスプーンです。

10/17 スプーン4栗の木のスプーン。
このブログでは初登場の形です。

浅いお皿で使うスプーンになります。栗の木目が可愛らしくて、使っているとどんどん愛着が湧いてきます。
これらのスプーンは、その他の器とともに出品します。予定では横浜と東京のギャラリーに出る予定ですが、詳しく決まれば、お知らせします。



posted by 宮崎佐和子 at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) |   漆のスプーン制作

2007年10月11日

■やっと仕事が進められます。

大阪から戻ってすぐ、さっそく少しずつ漆の仕事をしていましたが、うり坊の件もあったり、その他いろいろ雑用をしていて、思うようにはかどりませんでしたが… 
そろそろ、打ち込める状態になってきたのでほっとしています。
ありがたいことにまた、あれからまた注文も増えています。(わわあせあせ(飛び散る汗)
古いご注文から早く仕上げて、お届け出来るようにしなければ…。

10/11漆のスプーン
大阪から戻って、さっそく仕上げているスプーン。
ほんと、スプーンはいくつあっても足りません。
スプーン屋さんになろうかしら…。

また、漆の仕事以外に、進めておきたい仕事がいろいろあるのですが(もっぱら、私の仕事)家の事をしながら、ものづくりをし、そしてその他のこととなると、私のメモリが足らなくてはかどらず。
でも同じ年代の女性は、これにプラス子育てをしたりご近所付合いをしたりもしてるんですよね。^^; すごい。
頭と身辺をスッキリさせて、やっていこうと思います。



さて、うり坊のその後をご心配かと思いますが…。
彼はとっても元気で、ごはんモリモリです!
そして…
10/11むぎ君とうり坊。
うり坊の近くには、常にむぎ君の影あり。
もう猫のストーカーといった風情です。
(もう、よっぽど気になるみたいです)


うり坊の戻って来た時の、ミル&むぎの顔ときたら…笑
まさに、え〜〜がく〜(落胆した顔) といった感じで、私も心の中で「ごめんね」と言ってしまいました。




posted by 宮崎佐和子 at 21:56| Comment(6) | TrackBack(0) |   漆のスプーン制作

2007年09月09日

■新作の漆スプーン、制作中です。

工房は、すっかり通常どおりの生活です。
いつもなら作品展の出張のあとは、ちょっとのんびりしてじょじょに仕事のペースが戻っていく…という感じなのですが、今回ばかりは戻るなり漆室に水を打ち、荷物を片づけ、翌日からふつうに仕事をしていました。(珍しい…)
今月末に大阪展があるので、補填しないといけない品を大急ぎで仕上げたり、また、納期のせまっているご注文もあるので、そうそうゆっくりもできないのでした。

9/9漆のフィッシュスプーン1
さて、松本が今、楽しそうに作っている新作スプーンの一つです。写真はフィッシュスプーン。材はカエデです。(ほかにも図面をひいて、いろいろ彫っていますたらーっ(汗)
お店の方から以前リクエストがあったので、試しに作っているみたいです。

9/9漆のフィッシュスプーン2
相性のいい天然砥石との邂逅?で、松本の刃物の精度がうんと高まったんだとか。(おかげで砥石代・刃物代に私が泣かされるのですが >_<:) でも、強度を保ちつつも、うんとデリケートな造形の漆スプーンが生まれそうです。 相棒のオタクぶりに若干引きつつも「漆を塗って仕上げたらキレイだろうなあ」とちょっと楽しみな私です。^^
posted by 宮崎佐和子 at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) |   漆のスプーン制作

2007年08月27日

■あした、いよいよ搬入です。

いよいよ高島屋京都店さんで、作品展が始まります。
今日は、荷造りをしてネコさんたちを実家に預けてきました。^^
京都は1年ぶり…。楽しみです。
年によっては、台風と重なって瀬戸大橋が渡れるか心配することがよくあったのですが、今年は天候に恵まれて調子よく発てそうです。




さて、漆スプーンを「回転室」に入れて乾かしている動画です。
「回転室」とは、塗った器物を固定した桟が、一定の時間で上下逆になるよう回転しては一定時間止まり、また上下逆に回転して止まるという、漆室のことです。
うちは、個人の工房としてはかなり大容量の回転室なのですが、今回ばかりはその室の中がスプーンでいっぱいになりました。

それにしても、お箸やスプーンみたいな細長いもの、どうやって乾かしているのかというと… こんなふうにしてます。笑
お尻の面に、樹脂でつく棒を付けて一気に塗ってしまうのですね。


では明日、忘れ物のないように出発したいと思います。

ランキング参加してますムード→  人気blogランキング
ブログ村美術ランキング

posted by 宮崎佐和子 at 23:46| Comment(2) | TrackBack(0) |   漆のスプーン制作

2007年08月23日

■漆のスプーンがいっぱい。

まだまだ香川は暑いです…。
さて工房の仕事の方ですが、ここしばらくはずっと漆のスプーンばっかり作っていたといっても過言ではありません。

8/23漆スプーン2
漆スプーン、せいぞろい。
(大半が予約済みなのですが…)
こんなにたくさん並べて見るなんて、初めてかも…。
8/23漆スプーン1
これを見て松本、
「なんかカブトムシを思い出さない?」って。
わ〜この色艶、確かにそっくりかも!? 笑

それにしてもここまで作るのは、けっこう手間がかかったなあ。ちょっと感慨深いものがあります。ほんと、お椀をいっぱい作る方がうんと楽です。あせあせ(飛び散る汗)


さて、話は変わりますが、最近工房の周辺で新しいノラ猫さんが出没するようになって、むぎもミルミルも(そして松本も?)色めき立っています。
どんなネコさんかというと…
8/23猫のうり坊
流麗なゼブラ柄の男の子なのです。
(松本が望遠レンズにて盗撮)
草むらにたたずむ様は、野生動物のよう。

このネコさん、背中に太い縞が通っているので「うり坊」と勝手に名付けちゃいました。若ネコらしく、ミルミルと同じくらいの大きさ。
うり坊は、そのミルミルともけっこう仲良くしているらしく、二匹一緒にこの草むらで寝っ転がっている姿を見かけたりします。
そして、うり坊がうちの家の敷地に入ってくると、むぎ君はもうそわそわ。網戸越しにうり坊と呼び合ったりして、すごく意識し合っています。
ネコの友情ってあるのかなあ…なんとも不思議で微笑ましいものです。


ランキング参加中、毎日ムード→  人気blogランキング
ブログ村美術ランキング

posted by 宮崎佐和子 at 22:13| Comment(2) | TrackBack(0) |   漆のスプーン制作

2007年07月27日

■スプーンの木地づくり。

工房はずっと、漆スプーンの木地づくりで明け暮れています。
二人とも、木屑だらけ、粉だらけです。^^

7/27スプーンの木地1
松本が、作品展中の「実演」で彫り溜めていたスプーンの木地…。彫りあとを残さない金属のカトラリーのようなつるつるのテイストのスプーンなのですが、このタイプは、この段階から研磨して完成木地にするのが、とっても大変なのですね。(和うるし作品「漆のスプーン」の右タイプですね。左のようなテイストは研磨仕上げの工程がないので、そこまで時間はかかりません)
なので、松本がもうひと工程加えて、彫り上げた木地をさらに細かく刃物で松本が整形することにしました。今までは、木地づくりは最初から最後まで、松本だけしかできなかったのです…。(漆仕事に入れば、私も仕事ができるんですが)
これが、漆スプーンを少ししか作れない一番の理由でした。
しかし今回、工夫して、ひと手間かけて整形をさらに精密にすることで、なんとか私もスプーンの研磨仕上げができるようになりました!わーい(嬉しい顔)

7/27スプーンの木地2
今まではこの状態が「仕上げ彫り」でした。しかし、今回からさらに精度を上げた下の写真の状態を「仕上げ彫り」としました。
7/27スプーン木地4
溜まった仕上げ彫りの木地。ここまで精度を出してくれていると、私でも研磨で整形仕上げできます。

7/27スプーンの木地3
手前が研磨仕上げを途中までした木地。他は、いろんな漆の工程にに入っているものです。(いちばん奥のスプーンたちはもう行き先が決まっています)


さてさて、漆の仕事に取りかかれる状態の木地を、今の時期に集中してある程度作っておこうということになりました。
…それにしても、一枚板からここまで形作るのって、手間がかかります。それに、この形にするまでにたくさんの木材を削り捨てている…ということでもあるのです。木が大きく育つ年数を考えると、木と漆のものって、本当に贅沢だなあ〜と思います。

もしこの漆スプーンを手にされる機会がありましたら、そういったことを思い出していただければ、漆も木も喜ぶと思いますよ。^^



ランキング参加中、毎日ムード→  人気blogランキング
ブログ村美術ランキング
posted by 宮崎佐和子 at 22:00| Comment(2) | TrackBack(0) |   漆のスプーン制作

2007年06月29日

■〈利き手〉のあるスプーン。

「おい、あんたの作るスプーンは右利き用ばっかりだな」
… 東京展の会期中、神楽坂のとあるお店で、ちょっと口の悪い?マスターから松本にチェックが入りました。(このマスター、一見荒っぽい人に見えるのですが実はとっても繊細であなどれなかったりする)

6/27スプーン


松本「うっ確かにそう! そんなこと言われたの東京が初めて、今日ふたり目…。だって僕は右利きだもん。作るものも自分が使いやすい右利きになっちゃうんです」
マスター「不親切な奴だな。ダッシュ(走り出すさま)
 ……どうやらこのマスターは左利きらしいです。^_^;

このお店のお客さまが松本のスプーンを持参して、お食事をするという希有なシーンを見せてくれまして…。「スプーン」がお店でちょっとした話題になった時のエピソードです。

マスターは松本のスプーンの微細な造形に違和感を感じ「ちっ右利き用かい!」とチェックが入ったのでした。
そのかたわらで私は
「???どうゆうこと?(←分かっていない)」

6/29スプーン1
こんな感じなんですね。^^
たまたま左利き用?になったスプーンもありました。

利き手で持つと口に運ぶ部分が少し傾いてできているんですね。
(松本いわく『自然にこうなってしまうんだよ〜』なんですが ^^;)こんなちょっとした加減で使い勝手もかなり違ってくるのかも知れません。

それにしても、この東京滞在中にもう一人同じ指摘をされたお客さまがおいででした。びっくり!! 建築をされている女性だそうで… 都会は、目が利く方がいるんだなあ〜とちょっとドキリとしました。
(そのお店のお客さまの一人は、そのままスプーンを「マイスプーン」としてお店に置いて帰られたそうです。あせあせ(飛び散る汗)

ランキング参加中、毎日ムード→  人気blogランキング
ブログ村美術ランキング


posted by 宮崎佐和子 at 21:49| Comment(6) | TrackBack(0) |   漆のスプーン制作

2007年02月27日

■漆スプーンの修理、完了。


今月の頭から、修理に取りかかっていた三つのベビースプーン。
やっと仕上がりましたので、そろそろ納品しようかと思っております。^^(うちにしては、すごく早くかかることができたなあ)

経過→ 2/8 漆スプーンの修理。
    2/16漆スプーンの修理、続き。

2/27漆スプーン
こんな風になりました。


繊細な素材ですが、その気になればほぼ新品同様になるのが、漆のうれしいところですね。
今度は、大事に使ってほしいな〜〜^^; と思います ムード


posted by 宮崎佐和子 at 19:11| Comment(0) | TrackBack(0) |   漆のスプーン制作
Powered by さくらのブログ
y
<!-- [FC2 Analyzer] -->